はやりの電動キックボード。運転中の事故にはどのような保険が適用される?
配信日: 2023.10.28
より多くの人が親しめるようになった一方で、心配されているのが交通事故の増加です。そのため、利用者には保険への加入が義務付けられています。では、運転中の事故にはどのような保険が適用されるのでしょうか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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電動キックボードってどんな乗り物?
電動キックボードは、足で地面を蹴って進むキックボードに、ハンドル、モーター、バッテリー、最高速度表示灯などが搭載された特定小型原動機付自転車です。警察庁によると、特定小型原動機付自転車は、原動機付自転車(原付きバイク)のうち、車体の大きさが190cm以下で幅が60cm以下のものを指します。
また、運転に高度な技能を必要としないことなども大事な要素の1つです。そのうえで、速度が20kmを超えないことや、AT機構が採用されていることといった、機能面の条件を満たしている必要があります。
特定小型原動機付自転車には座席が付いた座れるタイプもありますが、電動キックボードには座席がありません。そのため、利用者はボードの上に立ったまま運転します。
道交法の改正で何が変わったのか?
東京などの大都市を中心に、電動キックボードを利用する人が増えています。その背景には、電動キックボードに関する道路交通法の規定変更があります。
・規定の主な変更点
新たな規定の施行前まで電動キックボードは原付きバイク扱いだったため、原則として原付き免許やヘルメットの着用が必要でした。一方、変更後の規定では、16歳以上であれば原付き免許不要で運転でき、ヘルメットの着用も努力義務となっています。
また、車道だけでなく自転車道や、例外的に歩道の走行も可能です。(歩道を走行する場合は、自転車と同じルールを守ったうえで原則歩行者優先)
・禁止事項
電動キックボードは、16歳未満の利用が禁止されています(提供も禁止)。また、二人乗り(子どもを含む)や飲酒をしての運転も禁止です。違反した場合は、それぞれ懲役や罰金などの罰則が科されます。
電動キックボードに適用される保険
電動キックボードを運転する際には、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)への加入が義務付けられています。自賠責保険に未加入のまま電動キックボードを運転していると、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科されます。
・自賠責保険とは
自賠責保険(共済)は、交通事故の被害者を救済するために設けられている保険です。電動キックボードの利用者が人身事故を起こした場合、被害者への損害賠償の穴埋めとして、自賠責保険から保険金(共済金)が支払われます。
・自賠責保険による穴埋めの内訳(数字は国土交通省公式サイトから引用)
自賠責保険からは、被害者が死亡した場合に最高3000万円、後遺症による損害の場合は75万〜4000万円(後遺障害の等級によって異なる)、障害による損害には最高120万円が穴埋めされます。なお、物損事故は対象外です。
自賠責保険は免罪符ではない
警察庁によると、令和2(2020)年1月〜令和5(2023)年1月までの電動キックボードによる交通事故は76件でした。
電動キックボードは便利で楽しい乗り物ですが、道路交通法上の規定の変更によって交通事故の増加を懸念する声も少なくありません。自賠責保険があるからといって安心せず、交通ルールの順守はもちろん、歩道を走行する際は必ず歩行者優先の原則を守りましょう。
出典
警察庁 特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード等)に関する交通ルール等について
警察庁 電動キックボードに関連する交通違反・事故の発生状況2
国土交通省 自賠責に入らないと、電動キックボードには乗れません。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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