「2024年10月から『年収50万円』でも社会保険に加入するって本当!?」実はそれ、誤解かも? 本来の改正について解説

配信日: 2023.12.02 更新日: 2023.12.04

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「2024年10月から『年収50万円』でも社会保険に加入するって本当!?」実はそれ、誤解かも? 本来の改正について解説
少子高齢化による社会保障費の増加が続き、財源の確保は国の急務となっており、政府は社会保険料をより多く確保できるよう改正を進めています。2022年10月には従業員数101人以上の会社で働いている短時間労働者(パートなど)が扶養から外れて社会保険料の負担が生じる年収、いわゆる「年収の壁」は、106万円になったところです。
 
そして2024年10月には新たな社会保険制度の改正を控えていますが、筆者は「2024年10月から年収50万円で社会保険加入って本当!?」と質問を受けました。一部ではそのような理解が広がっているようですが、結論から言うとそれは少し違います。
 
本記事では、本来の改正はどうなる予定なのか、なぜこのような勘違いが起きたのかについて解説します。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

2024年10月にまた社会保険の改正がある

まず「2024年10月から」というのは間違いではなく、実際に社会保険の改正が予定されている日程です。
 
2023年11月時点において、従業員数101人以上の会社で働いている人が社会保険に加入しなければならなくなる年収は「106万円」となっていますが、これが2024年10月からは従業員数「51人以上」の会社に改正されます。この人数になると、中小企業であっても該当する会社が増えることでしょう(図表1)。
 
図表1

厚生労働省 従業員数500人以下の事業主のみなさま
 

「年収50万円で社会保険加入」は「51人以上」の勘違い?

2024年10月の改正において、「年収50万円」という要件はありません。年収の壁についても、2023年11月時点において年収50万円の壁は存在しないので、恐らくではありますが「従業員数51人以上」を読み違えた結果なのではないでしょうか。
 
従業員数51人以上になるとしても年収106万円までは扶養に入れるので、年収50万円とは衝撃度が大きく異なるのではないでしょうか。年収50万円だと月4万円強しか稼ぐことができません。現時点で年収130万円の壁で働いている人であれば、家計が大きく狂ってしまうでしょう。
 

2025年10月には年収50万円の壁が誕生するかも

2025年は5年に1度の年金改正の年となっています。政府は2023年10月から、年収106万円と130万円の壁を超えても扶養に影響しない「年収の壁・支援強化パッケージ」を開始しましたが、2年間限定の制度であることを考えると、2025年に社会保険の扶養に関して大きな改正がある可能性があります。
 
社会保険の適用範囲がどんどん狭まっていることから、年収50万円の壁が誕生する可能性がないとは言い切れないでしょう。
 
年収の壁・支援強化パッケージは、「バラマキだ」と揶揄(やゆ)されるほど予算を必要とする制度ではありますが、2年後には社会保険料収入が大幅に増加することを見越しての政策なのかもしれません。
 

まとめ

「2024年10月から年収50万円で社会保険加入」にはなりません。同日から行われる改正は、「従業員数51人以上」の会社で働いていて所定内賃金額などが条件を満たす短時間労働者は社会保険に加入しなければならなくなる制度です。これを「年収50万円」と勘違いしたのではないでしょうか。
 
ただし、今の流れからすると、近い将来には年収50万円の壁が誕生しているかもしれませんね。もしかすると、もっと小さな壁になる、さらには年収の壁自体が撤廃になることも考えられます。働き方をどうするのか、今から検討しておいてもよいかもしれません。
 

出典

厚生労働省 従業員数100人以下の事業主のみなさま
厚生労働省 年収の壁・支援強化パッケージ
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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