更新日: 2024.02.29 損害保険
令和5年1~9月は1日平均約106件発生! 火災保険はどこまで補償してくれるの?
火災は、家や家財道具だけでなく、生命まで奪うかもしれないものです。本記事では火災保険についてみていきます。
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
火災の現状は
消防庁の資料によると、令和5年1~9月における火災状況の総出火件数は2万8825件です。1日平均で約106件の火災が発生したことになります。そのうち、建物火災が1万5353件で全体の54%を占めています。
火災保険とは、補償内容・補償の対象は
火災保険とは、火災だけでなく、風水災などの自然災害・盗難等で、建物や家財道具などに生じた損害を補償する損害保険です。
具体的にいうと、火災による損害、落雷による衝撃・電気機器への波及損害、爆発または破裂による損害、風・雹(ひょう)・雪による損害の場合です。これに家財道具の保険も加わると、物体の落下・飛来・衝突・接触または倒壊、水漏れ、デモや労働争議による破壊、盗難、洪水等水災が追加されます。
保険商品にもよりますが、補償の対象は図表1のとおりです。
図表1
なお、建物+家財の場合はこの両方が補償されます。
補償の対象外となる火災もある
火災であればすべて火災保険で賄えるわけではありません。
まず、火災保険では地震を原因とした損害は補償の対象外である点が特徴です。地震、それが原因の津波・噴火等で建物や家財が火災・損壊・流失等の被害が出ても、火災保険のみの保険では補償を受けることができません。
よって、地震による被害を補償してもらうためには、地震保険に加入する必要があります。ただし、地震保険は火災保険とのセットでしか加入できないので注意が必要です。
よその家からのもらい火も自分の保険で?
隣家等からのもらい火による火災に関しては、「失火責任法」という法律によって「相手の重大な過失がある場合でない限り、損害賠償請求ができない」と規定されています。よって、そのような場合は、自身が加入している保険で賄う必要があります。
保険料はどのように決まるの?
火災保険料は、主に次のような条件によって決定します。
1.建物の所在地。構造区分・築年数
前述のとおり、火災保険は火災以外の自然災害による被害も補償されます。よって、その建物の所在地がどこにあるかによって保険料が変わります(地震保険と同じ考え方です)。同様に、建物の構造もコンクリート造りや鉄骨造り、木造によって変わりますし、築年数によっても変わってきます。
2.建物の評価
建物の評価額は「新築費単価法」と「年次別指数法」のいずれかで算出します。新築費単価法は、1平方メートル当たりの標準的な単価や延べ床面積・専有面積を基に算出する方法です。一方、年次別指数法は、建物代金を基に算出する方法です。
3.補償内容
補償の範囲・保険金額・保険期間によって、保険料は変わってきます。
まとめ
火災保険は、損害額のすべてを賄うことはできません。しかし、火災で資産をすべて失ってしまうと、実際に被害に遭った場合の生活の再建にも影響が出てきます。
特に、ご自身の家でIHを使っていたり、オール電化の家にしていたりすれば火災の可能性は低いですが、近隣からのもらい火の場合はその補償がありません。万が一のときのリスクを考えると、加入する意義はあるでしょう。
また、地震保険は単独での加入はできません。地震は24時間365日、いつ発生するかは分かりません。日本は地震の多い国なので、そういった意味でも火災保険と地震保険への加入をおすすめしたいところです。
出典
消防庁 令和5年(1月~9月)における火災の概要について(概数)
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表