退職を勧められたので辞める決断をしました。この場合、一方的な解雇として失業保険をすぐ受け取れるのでしょうか?
配信日: 2024.03.09
本記事では、会社都合と自己都合において、失業保険の給付がどうなるのか解説します。離職票に自己都合と書かれた場合の対処法にも触れているため、退職勧奨をきっかけに退職する人は参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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退職を勧められて退職した場合は解雇になる?
労働契約を終了する場合の扱いについては、労働者が会社を退職するまでの流れによって違いが生まれます。会社都合の退職は主に「解雇」と「退職勧奨」があるため、違いについて以下で見ていきましょう。
・解雇→一方的な労働契約の終了
・退職勧奨→企業側が退職を勧めること
解雇は、企業側が一方的に労働契約の終了を言い渡すものです。期間の定めを設けて労働契約をした場合や整理解雇も含みます。解雇の場合は、会社都合での退職です。
一方、退職勧奨は、労働者に対して企業が退職を勧める行為です。勧めるだけなので、会社をやめさせる強制力はありません。退職勧奨を受けて労働者が自分の意志でやめた場合であっても、自己都合ではなく会社都合の退職となります。
退職理由による失業保険の違い
退職理由には自己都合と会社都合があり、失業した際に給付を受けられる雇用保険の求職者給付の基本手当、いわゆる失業保険に違いが生まれます。失業保険は、失業した際に安定した生活ができるようにしつつ、新しい仕事に就くための支援が受けられる制度です。
本項では、自己都合と会社都合によって失業保険の給付を受けるための日数・期間・給付額について解説します。
給付までの日数
自己都合と会社都合では、失業保険が給付されるまでの日数が大きく違います。以下で給付までの日数を見ていきましょう。
・自己都合……離職票を提出して求職申し込みをしてから7日間の失業している日(待期)が経過し、さらに3ヶ月の給付制限が経過したあと
・会社都合……離職票を提出して求職申し込みをしてから7日間の失業している日(待期)が経過したあと
自己都合で退職してしまうと、失業保険の給付まで待期+3ヶ月以上の期間を要してしまいます。しかし会社都合であれば、待期ののちに給付を受けられるでしょう。
給付期間・給付額
失業保険はさまざまな状況によって給付を受けられる期間が変わります。雇用保険の求職者給付のうち、基本手当を受け取れる給付日数を以下で見ていきましょう。なお基本手当は65歳未満まで受け取れます。
・定年、契約期間満了、自己都合退職……90~150日
・特定受給資格者、一部の特定理由離職者……90~330日
・障がい者等の就職困難者……150~360日
特定受給資格者とは、退職勧奨による退職を含む倒産・解雇によって離職した人のことです。給付日数は、被保険者期間によって変わります。
1日あたりの基本手当日額は、これまで受け取っていた賃金から算出されます。基本手当日額の計算方法は、原則として離職日以前の6ヶ月に支払われた賃金を合計し、180で割った額の50~80%(60~64歳は45~80%)です。
離職票に「自己都合」と書かれた場合
退職勧奨によって退職したのに、離職票に自己都合と書かれてしまうケースもあります。失業保険を受け取るまでの給付日数に影響が出るため、その場合は、ハローワークに審査請求をして調査してもらい、退職理由を会社都合に変更してもらいましょう。審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3ヶ月以内に申請します。
退職勧奨からの退職は会社都合となる
退職を勧められて退職した場合は、自己都合ではなく会社都合による退職です。失業保険の基本手当は、一方的な解雇と同様の日数で給付されます。
しかし、退職勧奨による退職にもかかわらず、離職票に自己都合と書かれることもありえます。その際はハローワークに審査請求をして調査してもらい、会社都合であると認めてもらいましょう。
出典
厚生労働省 労働契約の終了に関するルール
厚生労働省 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー