更新日: 2024.03.19 医療保険

保険の基本をおさらいしよう! がん保険を検討するポイントとは?

保険の基本をおさらいしよう! がん保険を検討するポイントとは?
厚生労働省が発表した「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」の「表7 性別にみた死因順位別死亡数・死亡率(人口10万対)」によると、日本人の死因で最も多いのが「悪性新生物(腫瘍)」、つまり「がん」です。
 
また、同じく厚生労働省の資料「傷病手当金について」の「協会けんぽにおける傷病手当金の疾病別構成割合(平成30年度)」では、全体の2割近くを「がん」が占めています。そして傷病手当金の、支給期間の全体の平均が164日なのに対し、「がん」になった方の傷病手当金の支給期間の平均は180日となっています。
 
「がん」は死につながりかねない病気であり、また闘病生活には時間が掛かることが分かります。
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

傷病手当金とは?

傷病手当金とは健康保険の制度です。治療等により「働くことができない」ときに、最長1年6ヶ月の「働くことができない期間」に支給されます(ただし、最初の3日間は待期期間といって不支給)。その額の目安は月給のおおむね3分の2で、非課税所得です。なお、傷病手当金にはボーナスに相当するものはありません。
 
また、冒頭で述べたとおり、「がん」になった方の傷病手当金の支給期間は平均で180日です。つまり、およそ半年間を傷病手当金で家族とともに生活し、加えてご自身の闘病生活を送ることになります。闘病生活が長くなるということは、その分、治療費などの経済的な負担も積み重なっていくことが考えられます。
 

がん保険の検討

がん保険は健康保険等とは異なり、生命保険会社や損害保険会社が販売している民間の保険商品で、補償の対象を「がん」のみに絞った医療保険の一つです。がん保険は医療保険に比べると補償の対象が絞られているため、医療保険と比べると保険料が安くなります。
 
これまで述べたように、「がん」は闘病生活に時間が掛かり、その分、治療費などの経済的な負担が増していくことが考えられます。一方で、闘病生活中の収入源は傷病手当金が考えられますが、既述のとおり、傷病手当金は月給の3分の2が目安であり、またボーナスに相当するものがありませんので、減収になることが想定されます。
 
そこで、治療費や減収分を補うことを目的に、がん保険を検討することになるでしょう。
 

がん保険の留意点

がん保険のなかには、上皮内がんなどの初期段階の「がん」については、商品によっては補償の対象外となっているものや、保険金が少ないものもあります。しかし、上皮内がんなどの初期段階の「がん」も、「がん」と同じ補償内容となっているものも増えています。
 
なお、がん保険を契約する前に、「がん」と診断確定されている場合は加入が難しい、あるいは過去に「がん」を経験されているか否かなどによって、保障内容などが変わる場合があります。また、がん保険の契約後、保険期間の初日から90日間は待期期間といって、やはりがん保険の補償の対象外です。
 

まとめに代えて

「がん」は闘病生活に時間を要し、経済的な負担も増していくことが考えられます。その「がん」の闘病生活に伴う、経済的な負担の軽減を目指すのが、がん保険です。契約した後は当然、保険料が必要で家計からの支出が増えることになります。
 
また、がん保険の対象は「がん」に限られますので、「がん」にならなければ、保険料が無駄になると思う方もいらっしゃるでしょう。
 
がん保険が必要か否かは、ご自身の勤め先の福利厚生制度やすでに加入している民間の保険、貯蓄等の状況を整理したうえで検討しましょう。
 

出典

厚生労働省 令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況
厚生労働省保険局 傷病手当金について令和2年3月26日 第127回社会保障審議会医療保険部会 資料1
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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