「子供が生まれて、学資保険への加入を勧められたけど、加入した方がいいの?」
配信日: 2019.01.07
子どもが生まれたら、学資保険に加入することは必要不可欠なのでしょうか。そもそも、学資保険は何のために入るのでしょうか。
まず、学資保険の仕組みとその必要性を確認して、学資保険に代わる手段について考えてみましょう。
Text:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
そもそも学資保険とは?そのメリット、デメリットは?
学資保険とは、下図のとおり親が契約者となり、生まれた子どもを被保険者とする保険です。大学入学時などに、「祝い金」などの名目で給付金や満期保険金を受け取ることができます。
また、子どもが死亡した場合は、わずかながら死亡保険金が支払われます。万が一、親が死亡した場合は、以降の保険料の支払いが免除されます。さらに、育英年金や一時金が支払われるものもあります。
次に、学資保険のメリットとデメリットを考えてみましょう。
《学資保険のメリット》
・保険料を支払うことで、教育資金を貯めることができます。
・万が一、親が死亡したときは、保険料の支払いが免除されます。
《学資保険のデメリット》
・金利が低い現在では、返戻率※が低い場合や100%を割るものもあります。
※返戻率(%)=給付金や満期保険金の受取総額÷払込保険料総額×100
・保険会社が破綻した場合や中途解約した場合は、受け取る解約返戻金などがそれまでに支払った保険料を下回る場合があります。
学資保険の目的は、教育資金を確保することですので、少なくとも支払保険料総額を超える給付金や、満期保険金を受け取ることができなければ、その目的を叶えることはできません。
したがって、学資保険を利用される際には、必ず返戻率を確認されることをおすすめします。
教育資金を計画的に貯めることは不可欠!
子育て世帯の家計の推移を予測(キャッシュフロー分析)すると、子どもが大学に進学する時期に家計の危機を迎えることが多いと分かります。
なぜならば、大学進学に伴う教育費がかさむと同時に、多くの家庭が住宅ローンの返済中であるからです。そして、進学する子どもの数が増えれば増えるだけ、その負担は大きくなります。
したがって、教育資金を計画的に貯めることは必要不可欠です。
教育費を積み立てるための手段を考えよう!
教育費を積み立てるための手段は、学資保険に限られたものではありません。
ここでは、会社員などが利用できる「勤労者財産形成貯蓄(一般財形貯蓄)」と、親を被保険者とする「低解約返戻金型終身保険」について紹介します。
まず、「一般財形貯蓄」は、会社員などの勤労者が金融機関などと契約を結び、原則3年以上の期間にわたって積み立てていく貯蓄のことです。定期的(毎月またはボーナス時期など)に、事業主を通じて賃金から天引きされます。使途は自由ですし、複数の契約も可能です。
一方、「低解約返戻金型終身保険」は、親を被保険者にし、教育費として積み立てたい目標額を死亡保険金額に設定します。この終身保険は、短期間(出生から15~17年程度)で保険料の払い込みを完了するように契約することが可能です。
この際、保険料払込期間中の解約返戻率を低く設定することにより、保険料を抑えることができます。そして、教育費が必要になった際に、一部または全部を解約して解約返戻金を教育費に充てることができます。
一般財形貯蓄および低解約返戻金型終身保険と、学資保険を比較すると、以下のような違いがあります。
まとめ
子どもが生まれたら、子どもの将来の夢を叶えるために、大学進学を前提とした教育費の準備を始めることが大切です。
その手段として、以前から学資保険が利用されてきました。しかし、低金利の現在は返戻率が低く、時には100%を割ることもあります。
そこで、給与天引きで確実に貯金を積み立てることのできる一般財形貯蓄や、比較的返戻率の良い低解約返戻金型終身保険の利用を検討されることをおすすめします。
Text:辻 章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士