「掛け捨ての生命保険は損」って本当?貯蓄性のある生命保険に入ったほうが良いの?

配信日: 2019.01.16 更新日: 2022.06.14

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「掛け捨ての生命保険は損」って本当?貯蓄性のある生命保険に入ったほうが良いの?
生命保険には、貯蓄性のある生命保険と貯蓄性が低い(掛け捨ての)生命保険があります。掛け捨ての生命保険は、もったいない感じがします。無理をしてでも貯蓄性のある生命保険に入ったほうが得なのでしょうか。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

貯蓄性のある生命保険とは

貯蓄性のある生命保険は、保障に貯蓄性を備えた保険です。保障と貯蓄性を備えた保険には、終身保険や養老保険があります。保障よりも貯蓄性を重視した保険には、個人年金保険や学資保険があります。
 

貯蓄性のある生命保険の種類

<保障と貯蓄性を備えた保険>

・終身保険
終身保険は、保障が一生涯続く保険です。被保険者が死亡もしくは重い障害を抱えたときなどに保険金を受け取ることができます。また、解約の時期によっては多額の解約返戻金を受け取ることができます。
 
・養老保険
養老保険は、被保険者の死亡、または満期の際に保険金を受け取ることができます。中途解約の場合は、解約返戻金を受け取ることができます。子どもの学資保険の代わりや、老後の資産形成に役立ちます。

<保障よりも貯蓄性を重視した保険>

・個人年金保険
個人年金保険は、公的年金だけでは老後資金が不安なときなどに、自分で用意することができる私的年金です。一般的に60歳や65歳など、契約時に決めた年齢まで保険料を支払い続け、設定した年齢に達すると年金を受け取ることができます。
 
・学資保険
学資保険は、子どもの学資金(教育資金)を準備するための保険です。毎月保険料を支払うことで、18歳や20歳など、満期に設定した年齢に子どもが達した際に学資保険金を受け取ることができます。また、子どもの成長に合わせて進学準備金やお祝い金がもらえる商品もあります。
 
一般的に、学資保険は契約者(原則として親)が死亡または所定の高度障害状態になった場合、それ以降の保険料の払込が免除となります。保障はそのまま継続されるので、この場合も学資金を受け取ることが可能です。

掛け捨ての生命保険とは

掛け捨て型保険と呼ばれるのは、解約返戻金や保険期間満了時に受け取れるお金がないか、あってもごく少額となる保険商品です。掛け捨て型保険には、定期保険、収入保障保険、一般的な医療保険・がん保険などがあります。

掛け捨ての生命保険の種類

・定期保険
定期保険は保険期間が一定期間の生命保険です。被保険者が死亡または重い障害を抱えたときなどに保険金を受け取ることができます。
 
保険期間は5年、10年など年数で決める「年満了」と、65歳まで、70歳までなど年齢で決める「歳満了」があります。また、満期を迎える度に更新する「更新型」と、保険期間が満了すると契約が終了する「全期型」があります。
 
加入当初の保険料は「更新型」のほうが安くなっていますが、更新の度に保険料が上がるため、いずれ保険料が一定の「全期型」を超えることとなります。保険期間が短期間であれば「更新型」、長期間を希望するのであれば「全期型」が向いていると言えるでしょう。
 
・収入保障保険
収入保障保険は、被保険者が死亡または重い障害を抱えたときなどに、保険期間が終わるまで保険金を年金形式で受け取ることができます。時間の経過とともに保険金総額が下がっていくという特徴があるため、定期保険よりも保険料が低めです。
 
・医療保険
医療保険は病気やケガの際の入院費、手術費などに備える保険です。民間の保険会社が販売している医療保険が主に保障するものは、入院給付金、手術給付金ですが、「先進医療特約」や「三大疾病特約」、「がん診断一時金特約」、「女性疾病入院特約」など特約を付加することでさまざまな保障を受けることができます。
 
・がん保険
がん保険はがんに特化した医療保険です。がん保険には一定の期間保障される「定期型」と、一生涯保障される「終身型」があります。いずれも保険料は掛け捨てが一般的です。「診断給付金」や「手術給付金」をはじめとして、さまざまな保障を受けることが可能です。

貯蓄性のある生命保険と掛け捨ての生命保険の違い

貯蓄性のある生命保険 掛け捨ての生命保険
保険の種類 ・終身保険
・養老保険
・個人年金保険
・学資保険 など
・定期保険
・収入保障保険
・医療保険
・がん保険 など
解約返戻金 あり なし(もしくは少額)
満期保険金 あり(養老保険) なし
メリット ・貯蓄性がある
・契約時の予定利率で固定されるため、高金利時に加入すれば得
・保険料が比較的安い
注意点 ・保険料が比較的高い ・解約返戻金、満期保険金がない(もしくは少額)

貯蓄性のある生命保険のメリット

一般の生命保険は、契約時の予定利率で固定されます。したがって、低金利のときに貯蓄性の生命保険に加入するのは不利です。逆に高金利のときに加入すれば、予定利率も高いので得ということになります。
 
「お宝保険」ということばを聞いたことがあると思いますが、これは、予定利率が高いときに加入した生命保険のことです。こういう保険は、保険料の支払いが負担になったときに解約せずに、「払済保険」への変更を検討すると良いでしょう。

貯蓄性のある生命保険に入る際の注意点

貯蓄性のある生命保険について、以下の3点に注意しておきましょう。

5-1貯蓄性のある生命保険は預貯金とは違う

一般に、契約後、早期に解約した場合には、通常は、解約返戻金はないか、あってもわずかな解約返戻金しかありません。したがって、解約時、多額の解約返戻金を受け取るためには、長期間保険料を払い続ける必要があります。
 
また、先述のとおり一般の生命保険は契約時の予定利率で固定されますので、予定利率の低いときに加入すると、保険料を何十年払っても、支払った保険料の総額以上に解約返戻金を受け取ることができないというケースもあります。
 
いつ、解約しても元本割れすることはない預貯金と保険とは根本的にしくみが違います。

5-2予定利率は預貯金などの金利とは違う

よくある勘違いに、例えば、予定利率2%という場合、支払った保険料全額を2%で運用してくれると思っているケースがあります。
 
保険料には、保険金や解約返戻金に充てられる「純保険料」と保険会社の経費に充てられる「付加保険料」があります。このうち「付加保険料」は運用に回されません。支払った保険料から「付加保険料」などが差し引かれた残りが予定利率で運用されるのです。
 
したがって、「付加保険料」などの部分が大きいと、予定利率がよっぽど高くないと、満期時に元本割れするというケースがあります。予定利率は預貯金などの金利とは違いますので勘違いしないようにしましょう。

5-3掛け捨ての生命保険に比べて保険料が高い

貯蓄性のある生命保険は、掛け捨ての生命保険(定期保険、医療保険など保障重視の保険)に比べ、保険料がかなり割高になります。

掛け捨ての生命保険は損?

上述のように貯蓄性のある生命保険は、掛け捨ての生命保険に比べ割高な保険料を払い続けなければなりません。中途解約した場合には、元本割れするだけではなく保障も失うことになります。貯蓄性のある生命保険は継続しなければ意味がありません。
 
高い保険料は家計を圧迫します。長い人生の中では、結婚、出産、教育、住宅購入など、大きなお金がかかります。支払保険料の額が多すぎて、これらライフイベントに必要な貯蓄を十分にできないようでは本末転倒です。
 
保障と貯蓄は、別々に考え、保障は、保険料の安い掛け捨ての保険で備え、貯蓄は他の金融商品を検討するほうが、無理なく保険を継続できるでしょう。
 
また、同じ保険料を支払うのであれば、掛け捨ての生命保険のほうが大きな保障を買うことができます。このように、掛け捨ての保険は一概に損とは言えません。
 
もちろん、高い保険料でも無理なく支払えるという方は貯蓄性のある生命保険に加入するのも良いと思います。ただし、予定利率が高いときに加入しましょう。
 
※2020/8/20 内容を一部修正させていただきました。
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー


 

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