更新日: 2024.10.21 生命保険
20代の社会人です。終身保険に加入しようとしたら「養老保険」もあると知りました。「終身保険」との違いとどちらに加入すればよいかを教えてください。
「養老保険」は貯蓄性に優れた生命保険として知られていますが、保険選びの際によく選択肢に挙がる「終身保険」とはどのような違い、特徴があるのでしょうか。本記事で解説していきます。
執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。
生命保険の種類を把握しよう
加入した生命保険の方向性が、自分の想定するリスクに合っていなかった場合は、保険効果が十分に得られなくなってしまうおそれがあります。生命保険を利用して万が一の際に備えるには、加入する生命保険の種類ごとに特徴を知り、何のために生命保険に加入するのか目的を明確にすることが重要です。
生命保険の種類には、保険料が掛け捨てではあるものの割安な保険料で一定期間のみ大きな保障を備えることのできる「定期保険」、一生涯保険が続くが定期保険と比べて保険料が高く、貯蓄性はあるものの契約できる死亡保険金が少ない「終身保険」、貯蓄を主な目的として同時に死亡保障も兼ね備えた「養老保険」などがあります。
終身保険の特徴と養老保険の違いは?
保険のメリットを得つつ貯蓄も進めたいという場合は、終身保険と養老保険が選択肢に挙がります。この2つの保険の違いは、次のとおりです。
【保険期間の違い】
終身保険は終身の名称が示すとおり、保険期間は一生涯続きますが、養老保険は保険期間に限りがあります。
【返戻金の違い】
養老保険は、満期になると死亡保険金と同額の満期返戻金を受け取ることができます。終身保険は、満期がないため満期返戻金はありませんが、中途解約すれば解約時返戻金を受け取ることができるものがあります。
【保障性と貯蓄性の違い】
終身保険と養老保険は、いずれも保障と貯蓄を兼ね備えています。保険期間の限りがない分、終身保険のほうが保障性を重視しており、養老保険のほうが貯蓄性を重視しています。
20代初めての保険はどちらがよい?
結婚、出産、老後というライフステージが変化すれば、想定されるリスクも変わっていきます。例えば、病気やけがなどで働けなくなった場合は、独身時代であれば医療費の備えだけで済みますが、家族が増えてくるとその生活費も考慮に加える必要があります。
生命保険はひとつの保険で全てのリスクに備えられるわけではないので、いくつかの保険を組み合わせて対応していくことになります。
特に、最初に契約する生命保険は保障の柱となります。今後契約する生命保険契約の内容を左右することになるので、保険を契約する目的を考えたうえで選びましょう。
まず、養老保険は貯蓄性に目が行きがちですが、超低金利時代の今は基本的に満期返戻金が払い込んだ保険料よりも少ないので、純粋な貯蓄性は預貯金に劣ります。また、保障性も保険料が同額であれば、定期保険よりも弱くなってしまいます。
終身保険であれば、保険料の払込期間満了までは解約返還金の額が抑えられているものの、保険料の払込期間満了後に解約返還金が増える低解約返還金型のものでは、解約までの期間を長くとれた場合、払い込んだ保険料よりも多く解約時返戻金を受け取れる可能性があります。解約時返戻金を受け取るときには、保障がなくなることは注意が必要です。
また、保障金額が減額となる代わりにそれ以降の保険料支払いを済ませる払い済み保険にした場合、以後の保険料負担なしで死亡保障と貯蓄性を両立できるので、ライフステージの変化で保険料の支払いが難しくなっても、死亡保障・相続税対策・葬儀費用の確保・老後生活費といったさまざまなシーンに対応することができます。
20代初めての保険は終身保険がおすすめ
20代の社会人でそろそろ生命保険に入っておきたいという方は、養老保険か終身保険かという選択肢であれば、最初は終身保険をおすすめします。終身保険の保険商品を選ぶ際は払い済みにできるか否か、払い済み保険の予定利率を比較・検討するとよいでしょう。
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表