児童手当をそのまま「学資保険」に回しても大丈夫?

配信日: 2019.03.24 更新日: 2020.04.06

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児童手当をそのまま「学資保険」に回しても大丈夫?
前回は、児童手当の支給額について見ていきました。今回は、もらった児童手当をどのように活用していけばいいかを考えていきたいと思います。
 
児童手当は入ってくるお金なので、家計内では「収入」・「支出」・「資産」・「負債」のうち「収入」に当たります。お金が入ってきたので、それをどのように使うかを普通考えると思いますが、どんな使い道があるでしょうか。
 
重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

児童手当をそのまま「学資保険」に回すのは問題ない?

以前、「子ども手当」ができたときに、「その使い道は学資保険に!」という流れがありました。
 
今は、「子ども手当」ではなく「児童手当」に制度の名称が変わっていますが、確かに児童手当を学資保険として、将来の子どもの教育資金のために活用するというのもひとつの使い道かもしれません。
 
ここで、家計簿内のお金の流れを少し確認しておきましょう。
 
「収入」に入ってきた児童手当は、子どもの養育・教育資金といった「支出」にあてがうことで制度設計がされています。つまり、子育てにかかる費用を補填するのが児童手当の役割となっているため、「目先の支出の増加を抑える」というのが本来の使い道です。
 
収入-支出=純利益(≒余るお金)が多少増えることになるので、家計にとっては助かります。
 
現に、児童手当における制度の目的は、「家庭等の生活の安定に寄与する」や、「次代の社会を担う児童の健やかな成長に資する」とされています。ご家庭やお子さんに何かプラスになればという思いで、この制度が設計されているのです。
 
それを、一直線に「児童手当⇒貯蓄」という図式で考えてしまうのは、いささか問題があるような気がします。
 
確かに、この意味は分かります。1万5000円や1万円というのは切りのいい数字ですし、だからこそ、このお金を学資保険の保険料に回そうというのは分かりやすいのかもしれません。
 
しかし、我が家のお金というものは、部分的に考えるのではなく、家計全体で考えるのが原理原則です。
 

家計状況が変わると、子どもの目先の養育・教育に必要なお金を用立てられなくなる恐れあり

仮に、「夫の給料が減った」「マイホームを買うために住宅ローンを組んだことで毎月の支出が大きく増えた」などで、家計の状況が変化したらどうでしょう。つまり、収入-支出=純利益(余るお金)が減るということです。
 
定期的に入ってくる児童手当を、毎月支払う学資保険の保険料に完全に当ててしまうと、純利益の減少に対して家計が硬直化してしまいます。そして、お子さんの目先の養育・教育に必要なお金を用立てられなくなる恐れが高まります。
 
このように、児童手当の使い道は、「児童手当⇒貯蓄」と単純に考えるべきではありません。
 
まずは子育てに対する考え方を整え、そのためにお金をどのように工面するかを検討しましょう。そのうえで、児童手当を「今」使うか、「将来のために」使うかという視点でしっかりと考えていくことが大事です。 
 
次回は、教育資金と進学資金の意味についてまとめていきたいと思います。
 
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
 


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