「学資保険は加入する価値なし!と言われた」これって本当ですか?

配信日: 2019.04.25 更新日: 2019.06.19

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「学資保険は加入する価値なし!と言われた」これって本当ですか?
筆者は学資保険について、ファイナンシャルプランナーの間であまり評判が良くないという印象をもっています。しかし、学資保険は何のメリットもない商品なのでしょうか。
 
そこで、今回は学資保険のメリットとデメリットを整理し、学資保険に加入することの是非について考えてみます。
 
横山琢哉

執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター

保険を得意ジャンルとするFP・フリーライター。
代理店時代、医療保険不要論に悩まされた結果、1本も保険を売らずに1年で辞めた経験を持つ。
FPとして、中立公正な立場から保険選びをサポートしています。

学資保険は根強いニーズがある

保険会社によっては、販売している保険の契約件数をホームページで公開しているところがあります。
 
例えば、フコク生命の場合、平成29年度末における学資保険の契約件数は44万9279件、金額ベースでは9837億700万円であることが分かります。1件あたりの平均は約220万円です。
 
また、アフラックの場合は平成29年度末の契約件数が79万397件、金額では1兆7412億9900万円です。これら2社だけで、学資保険の契約件数は約124万件にのぼります。
 
総務省統計局のデータによると、平成30年4月1日時点における15歳未満の子どもの人口は約1553万人です。おおざっぱな話ではありますが、こうした数字から、学資保険には根強いニーズがあると言えないでしょうか。
 

学資保険のメリット・デメリット

子どもの教育資金を準備する手段として学資保険を選ぶ場合、その理由は何でしょうか。まず、学資保険のメリットを整理してみましょう。
 
・教育資金をしっかりと貯めやすい
子どもの教育資金は確実に準備したいお金ですが、学資保険に加入することで、しっかりとそのお金を別枠で確保することができます。
 
・定期預金よりも利回りが良い
記事執筆時点(2019年4月)において、定期預金の金利は高いところでも0.2~0.3%程度しかありません。
 
仮に毎月1万円を0.2%の利率で18年間(12カ月複利)積み立てた場合、元金216万円は利息とあわせて219万1322円(101.1%)になります。これではお金が増えたとは言えないでしょう。
 
しかし、商品によって差はありますが、学資保険なら単純計算で105%程度は期待できます。そのため、学資保険は少しでも利回りの良い商品で運用したいという人に選ばれていると考えられます。
 
・死亡保障がついている
学資保険は契約者が死亡すると、以降の保険料が免除されます。そのため、万が一のことがあっても子どもの教育資金を確保できます。
 
しかし、以下のようなデメリットがあります。
 
・中途解約をすると、解約返戻金が払い込んだ保険料を下回ることが多い
学資保険は中途解約をすると、解約返戻金が払い込んだ保険料を下回ることが多いです。そのため市場金利が上昇しても、預金など保険以外の手段に変えづらいです。
 
・元本保証がない
学資保険には元本保証がありません。ただし、国内の生命保険会社はすべて生命保険契約者保護機構に加入していますし、加入中に保険会社が破綻する可能性があると考える人ばかりではないでしょう。
 

学資保険の返戻率をみるうえで注意したい点

学資保険を選ぶときは、いわゆる「返戻率」を基準にする人が多いと考えられます。学資保険における返戻率とは、総額でいくらの保険料を払っていくらのお金が戻るのかということです。
 
返戻率の高い商品を選ぶポイントは、貯蓄性重視をうたっている商品を選ぶこと、医療保障などムダな保障がついていない商品を選ぶ(ムダな特約を付加しない)ことです。
 
なお、学資保険の返戻率を考えるときは支払った保険料と受け取る学資金から単純計算するだけでなく、以下の2点も考慮してください。
 

生命保険料控除による節税効果

支払った保険料は所得税や住民税の計算上、生命保険料控除として扱われるので節税効果があります。ただし、生命保険料控除には上限があります。そのため、他の保険の保険料ですでに枠を使い切っている状態なら、新たに学資保険に加入しても節税効果は得られません。
 
また、住宅ローン控除を受けている人の場合は、その節税効果が大きいため、新たに学資保険に加入しても、それによる節税効果はそこまで期待できない点に注意が必要です。
 
・死亡保険の保険金額を減らせる効果
学資保険は契約者が死亡すると以降の保険料の払い込みが免除されます。そのため、学資保険とあわせて死亡保険に加入する場合、学資保険で確保している分を考慮して保険金額を決めることができます。
 

学資保険はデメリットを理解して利用する分には問題なし

個人差はあるものの、学資保険の実質的な返戻率は現状であれば決して悪くありません。そのため、積極的に選ぶべきとまでは言えないものの、学資保険を選ぶことは非合理な選択でもないでしょう。
 
なお、学資保険に加入するときは学資金の受け取り時期に注意してください。タイミングが悪いと必要なときに必要なお金を受け取れないことがあります。
 
学資保険に加入するなら、いつの時点でいくら受け取りたいのかをはっきりさせ、その条件での返戻率を代理店で試算してもらって総合的に判断して決めましょう。
 
出典
富国生命保険相互会社「2018フコク生命の現状」
アフラック生命保険株式会社「アフラックの現状 2018」
総務省「我が国のこどもの数 -「こどもの日」にちなんで- (「人口推計」から)」
 
執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
 

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