新型コロナウイルスの影響で収入が減少した人は国民健康保険料・介護保険料が減免される! その1
配信日: 2020.08.31
この記事では、これらの減免措置の内容を説明したいと思います。まず自分が条件に当てはまるかをこの記事を読んで確認してみてください。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
減免の条件は何か?
減免の対象となる社会保険と保険料
減免の対象となる社会保険は、都道府県・市区町村が管轄する国民健康保険、介護保険(第1号被保険者)および後期高齢者医療制度で、健康保険および介護保険(第2号被保険者)は対象になりません。
また、上記保険の保険料のうち、2020年2月1日から2021年3月31日の間に普通徴収の納付期限(特別徴収の場合は特別徴収対象年金給付の支払日)が設定されているものが減免の対象になります。
減免の対象となる世帯
減免の対象となる世帯は次のとおりです。
(1)新型コロナウイルス感染症により、主たる生計維持者が死亡または重篤な傷病を負った世帯
(2)新型コロナウイルス感染症の影響により、主たる生計維持者の事業収入、不動産収入、山林収入または給与収入(以下「事業収入等」)の減少が見込まれ、次のⅰからⅲまでのすべてに該当する世帯
【要 件】
Ⅰ. 事業収入等のいずれかの減少額が前年の当該事業収入等の額の10分の3以上であること(実際には今年の見込み額に基づき申請します)。
Ⅱ. 前年の合計所得金額が1000万円以下であること。
Ⅲ. 減少することが見込まれる事業収入等に係る所得以外の前年の所得の合計額が400万円以下であること。
減免の割合
上記の要件をクリアした場合、次に減免の割合が問題になります。これは前年度の世帯の合計所得金額がいくらかによって決まります。所得が小さければ、減免割合が大きくなります。
世帯の主たる生計維持者の 前年の合計所得金額 |
減額または免除の割合 |
---|---|
300万円以下であるとき | 全部 |
400万円以下であるとき | 10分の8 |
550万円以下であるとき | 10分の6 |
750万円以下であるとき | 10分の4 |
1000万円以下であるとき | 10分の2 |
どんな世帯が減免されるか?
減免の条件を再度確認して、どのような世帯が減免の対象となるかを見ていきたいと思います。
まず、新型コロナウイルス感染症により主たる生計維持者が死亡または重篤な傷病を負った世帯は、(1)の条件に当てはまるので保険料の全額が免除されます。(2)の場合、すなわち収入が減少した世帯ですが、主に次の世帯が対象となります。
1.個人事業主
主たる生計維持者の収入が事業収入、不動産収入または山林収入である世帯の場合、世帯主の年齢にかかわりなく、国民健康保険料が減免の対象になります。また世帯主が65歳以上の場合、介護保険第1号被保険者となるので、介護保険料も減免の対象となります。
2.給与所得者
主たる生計維持者の収入が給与収入である世帯の場合、通常、健康保険に加入しているので、国民健康保険の減免の対象にはなりません。65歳以上で、まだ給与所得者である場合は介護保険第1号被保険者となるので、介護保険料は減免の対象となります。
3.1.または2.に該当する世帯のうち、主たる生計維持者の今年の事業収入、不動産収入、山林収入または給与収入の減少割合が10分の3以上であることが条件です。
4.前年度の所得に関する条件があります。
(1)前年度の合計所得金額が1000万円以下であること。すなわち、所得の高い世帯は対象になりません。
(2)事業収入、不動産収入、山林収入または給与収入以外の前年度の所得がある場合(例えば、年金所得)、その所得が400万円以下である必要があります。この条件は分かりにくいので、「その2」の計算の項を参照してください。
「その2」では、この措置の意味を確かめるため、どのくらいの保険料が減免されるのか、実際に計算してみたいと思います。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー