【おさらい】ダイレクトメールなどで勧誘がくることのある「保険の無料プラン」。これって、どうなの?

配信日: 2020.10.26

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【おさらい】ダイレクトメールなどで勧誘がくることのある「保険の無料プラン」。これって、どうなの?
コロナ禍による外出自粛やテレワーク導入によって、家にいる時間が格段に増えた方も少なくないでしょう。
今までならばそのまま捨てていたダイレクトメールの封書なども一応は開封して、ざっと目を通すようになったかもしれませんね。
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

「保険の無料プラン」とは

そんな中で、ときどき見かけるのが「保険の無料プラン」です。封書以外にメールでくる場合もありますが、送ってくるのはクレジットカード会社や銀行など。つまり、カードや口座を持っていて取引関係のある会社からなのです。
 
保険の具体的な内容はさまざまですが、次のような事例があります。
 
<事例1>
◇対象     交通事故傷害保険
◇内容     交通事故などで5日以上入院した場合に3万円(入院一時金)
◇期間     3年間
 
<事例2>
◇対象     がん保険
◇内容     がん(悪性新生物)と診断された場合に5万円(診断給付金)
◇期間     1年間
 
大まかな内容だけですが、5日以上入院の交通事故やがん診断などの重い状況が条件となっている割には、受け取れる金額の少なさが目につきます。
 
万が一の備えとしては心細い印象はあるものの、どうして無料で提供しているのでしょうか。そして、本当に無料なのでしょうか。
 

無料プランの仕組みは

「保険の無料プラン」は、例えばクレジットカード会社、銀行、その他業種の企業がチューリッヒ保険会社と提携する「フリーケア・プログラム」という仕組み(※)で提供されるケースも多いようです。内容や期間には幅がありますが、ざっと次のようなものです。
 
(1)提携企業が顧客サービス拡充の一環として保険料を負担するので、顧客は無料で利用できる。
(2)無料保険は満期になると終了し、自動的に有料で継続されることはない。
(3)申し込みは提携企業を通じて行い、顧客が保険会社に直接申し込むことはできない。
(4)顧客が別に料金を負担すれば、補償の範囲や金額を増やせる追加プランも用意されている。ただし、追加プラン加入は強制ではない。
 

それぞれの立場から見るとどうなの

顧客から見ると、補償(保障)は十分なレベルとはいえないものの、確かに無料です。動画有料配信サービスなどで無料視聴ができるケースでは、無料期間内に解約をしておかないと有料プランに自動移行してしまうことがありますが、先述の2つの事例はいずれもそのようなことはありません。
 
その代わり、無料サービスとはいえ個人情報を提供することになります。また、追加プランが用意されている場合、その費用が必ずしも割安とは限らない点なども要チェックポイントといえます。
 
保険会社の立場では、いろいろな提携企業のたくさんの顧客の個人情報が得られ、追加有料プランへの加入を含めて自社商品の販路拡大につながるメリットがあるでしょう。
 
そして、こうした無料プランの保険料を負担する提携企業にとっては、自社の顧客が保険商品を有料購入した際の手数料収入につながったり、無料保険を提供していることでクレジットカードや口座の解約を防げて顧客のつなぎ止めになる点などを期待しているようです。
 

まとめ

こうした「保険の無料プラン」ですが、同じ内容のものが市販されていることはありません。その価格価値ですが、一般の保険商品の補償(保障)内容や保険料と比較してみると、おそらく数百円程度くらいにすぎないのではないでしょうか。
 
あくまでも「お試し」であり、役に立つことがあるかもしれませんが、それだけでは結局モノ足りないような存在感です。全体の「さわり」を体験するためのものであって、その結果よいと思えば実際の商品を有料で買ってください、といった流れなのでしょう。試供品や試食品を思い浮かべていただくと実感がわくと思います。
 
そして一般的には、試供品や試食品、そして有料プランの期間限定無料キャンペーンなども含めて、それらのための費用は本来の価格に上乗せされています。最終的に負担しているのは、その商品やサービスを実際に購入した人たちなのです。
 
試供やキャンペーンに派手な動きがあれば、その分はどこかで値段に乗っていると考える視点をお忘れなく。そして、本当に必要なものは、そうしたコストの存在も気にしながら、やはりおカネを出して自分の判断で選んで買うといった意識を持つようにしたいものです。
 
[出典]
(※)チューリッヒ保険会社「フリーケア・プログラム」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士


 

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