会社で新型コロナウイルスに罹患…….。そんな場合、労災は適用される?
配信日: 2020.12.29
※この記事は2020年12月25日時点の情報を基に執筆しています。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
新型コロナウイルスに罹患したら労災が適用される
新型コロナウイルスに罹患した場合でも労災は適用されます。厚生労働省によると、2020年12月18日時点で新型コロナウイルスに罹患したことを理由とした労災申請は2562件報告されており、うち1348件に対して支給決定がなされております。
当然ですが休日や就業後の出先など業務に起因した罹患とみなされない場合、労災は適用されません。
新型コロナウイルスに罹患したことで認められた労災適用の事例を紹介
厚生労働省が発表している、新型コロナウイルスに罹患したことで労災の適用が認められた事例を紹介します。
飲食店従業員の事例
新型コロナウイルス感染者の来店が確認されたことでPCR検査を受けた結果、陽性と判定。同時期に働いていた複数の従業員も感染が確認された。感染経路が特定され、かつ、感染源が業務に起因するものだと認定されたため、労災の適用が認められた。
介護職員の事例
訪問介護の利用者宅で介護業務に従事していたところ、利用者の新型コロナウイルスへの感染が確認された。濃厚接触者としてPCR検査を受けて陽性と判定され、労働基準監督署の調査から業務外で感染したことが明らかではなかったため、労災の適用が認定された。
小売店販売員の事例
小売店店頭で接客業務中、発熱や咳といった新型コロナウイルスの諸症状が出ていたため検査を受けたところ陽性であった。感染経路の特定までは至らなかったものの、日々、数十人の客を相手に接客しており、業務内容から感染リスクが相対的に高いと判断された。
一方、私生活では日用品の買い物や感染リスクの低い場所での散歩程度でしか外出しておらず、最終的には業務に起因した感染と判断され、労災の適用が認定された。
新型コロナウイルスに罹患して労災を申請するにはどうすればいい?
労災の申請には会社の協力が必要不可欠です。なぜなら、基本的に労災の申請書には事業主の証明が必要になるからです。そのため、新型コロナウイルスの感染が疑われる症状が出た場合は早めに会社に報告するようにしてください。会社によっては手続きの簡略化や従業員の負担軽減の観点から、会社が主導となって労災の申請手続きをサポートしていることがあるからです。
その後、医療機関の受診、労災申請という流れとなります。労災適用の流れについては受診先が指定の医療機関であるか否かによっても異なるため、詳細は勤務先や最寄りの労働基準監督署などへ問い合わせるといいでしょう。
また、会社の協力が得られない、会社が認定証明をしたがらないという場合も労働基準監督署へ相談することで解決する可能性があります。
仕事が原因で新型コロナウイルスへ感染した場合、労災が認められることがある
仕事中に新型コロナウイルスに感染した場合、業務と感染の間に一定の起因性が認められれば労災の認定を受けることができます。
もし、仕事中に新型コロナウイルスに感染したと疑われるような状況に陥ってしまった場合、早めに会社や労働基準監督署に相談し、労災の適用を検討するようにしてください。
出典・参考
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症に関する労災請求件数等
厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る労災認定事例
厚生労働省 労災保険制度の概要、給付の請求手続等
執筆者:柘植輝
行政書士