国民健康保険料は住む地域や収入によって異なる? 国民健康保険料のしくみを解説
配信日: 2021.02.13
そこで1958年に国民健康保険法が改正され、1961年から、誰でも・どこでも・いつでも公的医療保険を受けられる国民皆保険制度が確立しました。今回は、公的医療保険の中で「国民健康保険」について分かりやすく説明します。
国民皆保険制度とは
国民皆保険制度は、国民の安全・安心を守っていくための、社会保険方式による公的医療保険に国民全員が加入するというものです。
主な公的医療保険の「種類・加入者・加入者数」(平成28年3月末時点)は以下の通りです(※1)。
(1)国民健康保険(自営業者など) 約3500万人
(2)協会けんぽ(中小企業に勤務する方など)約3700万人
(3)組合保険 (大企業に勤務する方など) 約2900万人
(4)共済組合保険(公務員など) 約 900万人
(5)後期高齢者保険(75歳以上の高齢者) 約1600万人
そして公的医療保険の「保険料の自己負担」は、以下の通りです。
(1)75歳以上: 原則1割負担(現役並所得者は3割)
(2)70歳から74歳: 2割負担(現役並所得者は3割)
(3)義務教育就学後から69歳 3割負担
(4)義務教育就学前: 2割負担
国民皆保険制度の「主な特徴」としては、次の4点が挙げられます。
(1)国民全員を公的医療保険で保障する
(2)医療機関を自由に選べる
(3)安い医療費で高度な医療を提供する
(4)社会保険方式を基本としつつ、皆保険を維持するため公費を投入する
国民健康保険とは
それでは、公的医療保険の中でも3500万人と多くの人が加入している国民健康保険についてくわしく見ていきましょう。
目的
疾病、負傷、出産そして死亡に関する給付を行い、社会保障および国民保険の向上を図ることを目的としています。
被保険者とは
国民健康保険(市町村健保)は、他の医療保険(被用者保険・後期高齢者医療制度)に加入していないすべての住民を被保険者としています。具体的には自営業者、年金生活者、無職者などです。
保険者とは
保険者は、市町村(特別区を含む)と国民健康保険組合です。なお、国民健康保険事業の運営に関し、いくつかの市町村では一部事務組合または広域連合により実施しているところもあります。
また平成30年4月より、国民健康保険制度は、都道府県と市区町村が一緒に運営することになりました。
国民健康保険制度の安定化を図るため、都道府県が財政運営の主体になり、実際の窓口対応業務は各市町村が行っています。したがって相談業務などは、従来通り変わりなく各市町村で行われます。
保険料
保険料は、全国平均で、一人当たり年額約11.0万円です。実際の保険料は、各市町村が医療費水準などを勘案して決めており、単純比較は難しいのですが、平均所得者の保険料水準で見ると、平成29年度では、最も高い徳島県(約14万円)と最も低い埼玉県(約10万円)では1.4倍の開きがあります(※2)。
医療給付費
「医療給付費」は総額約11.5兆円(平成29年度予算ベース)で、内訳としては被用者保険からの交付金が約3.8兆円、残りの約8兆円を、原則公費50%、保険料50%負担します。
国民健康保険の保険料のしくみは
国民健康保険料は、「医療分保険料」、「後期高齢者支援金分保険料」、「介護分保険料」で構成されます。各市町村で違いがありますが、全世帯が負担する「平等割」、加入者一人一人が負担する「均等割」、所得に応じて負担する「所得割」の合計で計算します。
主な特徴として次の5点が挙げられます。
(1)世帯ごとに、加入者数や年齢・収入などを基に保険料が決められています
(2)保険料は被保険者数や所得差に基づき各自治体が決定します
(3)保険料の上限額は82万円(除く後期高齢者分)です
(4)被保険者は保険料を経費として申告できます
(5)被保険者が保険料を全額負担にします
まとめ
約3500万人の加入者がいる国民健康保険は、医療保険の最後のとりでです。
国民健康保険の保険料は、企業が半額負担する被用者保険に比べると割高で、負担を感じている方もいらっしゃると思います。
しかし、公的医療保険である「国民皆保険制度」の導入により、国民全員が安心して医療を受けられるようになっているのも事実なので、今後も維持されていってほしいものです。
[出典]
(※1)厚生労働省「日本の国民皆保険制度の特徴」
(※2)厚生労働省「平成29年度 市町村国民健康保険における保険料の地域差分析」
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表