更新日: 2021.09.06 インタビュー

「資金だけでなく、生活面からも老後の暮らしを支援したい」セゾンファンデックスの青山社長にインタビュー

Interview Guest : 株式会社セゾンファンデックス 代表取締役社長  青山 照久

「資金だけでなく、生活面からも老後の暮らしを支援したい」セゾンファンデックスの青山社長にインタビュー

Interview Guest

株式会社セゾンファンデックス 代表取締役社長  青山 照久

株式会社セゾンファンデックス 代表取締役社長  青山 照久(あおやま てるひさ)

成城大学を卒業後、1987年西武クレジット(現クレディセゾン)入社。2011年取締役。2016年セゾンファンデックス代表取締役社長就任。

FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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いろんな意味でお金に困っている方が当社のお客さま

――セゾンファンデックスさまの事業内容、特徴をお伺いできれば幸いです。
もともとパーソナルローンと呼ばれるものからはじまりましたが、現在は不動産融資事業が中心です。「セゾンのリースバック」など不動産に関する「ソリューション事業」も行っています。その他、物件の売買や仲介、場合によっては不動産の開発業務も行います。
 
お客さまは幅広く、個人から法人、個人事業主までが対象で、外国籍の方も含みます。対象物件は北海道から沖縄までと全国にお客さまがいらっしゃいます。
 
――個人の不動産融資事業ではどのようなお客さまが多いですか?
わたしたちのお客さまは、分かりやすくいうと銀行で審査に通らなかった方が多いです。あるいは今すぐお金が必要だけれど、銀行の審査の時間を待っていると間に合わないから、スピードを重視するという方。あとは銀行だと細かい部分まで聞かれるので、そういう秘匿性の部分を気にされる方も多くいらっしゃいます。いろんな意味でお金に困った状況の方が当社のお客さまですね。
 
――法人向けの不動産ビジネスは競合が多く非常に難しいマーケットだと思いますが、何かお考えがあるのでしょうか?
おっしゃる通りで、ここは銀行さんのマーケットです。なので法人の分野でも同様に銀行の審査に漏れた方々を対象としています。法人でもささいな理由で審査に通らない方がいらっしゃいます。
 
例えば表面は赤字決算だけど実態は黒字であるとか、創業してまだ1、2年でほとんど売り上げの実績や取引の実績がないけれど実はものすごく将来有望な新しい法人であるとか、そういうところが、担保価値のある不動産を持っていれば普通に考えれば融資が受けられるはずなのですが、なかなか銀行が融資してくれないというケースがあります。当社はそういった方々のお手伝いをさせていただいております。
 

シニアのお金の悩みは切実……? ローンの使い道とは?

――パーソナルローンもシニア向けに行っていると思うのですが、どのような理由があるのですか?
シニアはこれまでのパーソナルローン業界では、どちらかというと敬遠される層だったんですね。
 
もともとパーソナルローンっていうのは若年世代がターゲットなんです。なぜかというと、会社に入ってだんだん給料が右肩上がりになっていくので、最初は給料(収入)と生活費(支出)のギャップがあって当然。これをローンで埋めましょうという考え方です。
 
つまり年収がこれから上がっていくので返済できますよね、というのが大前提なんですが、シニアは逆に定年になり収入がなくなる、収入が減っていく傾向にあるわけです。そこに対して当社ができることがあるのではないかと考えました。
 
――なるほど。お客さまはどのようなニーズでご利用される方が多いのですか?
生活費や急な入り用が多いですね。次の年金までのつなぎ資金や歯の治療費、入院費用などの医療費。バリアフリーなどのリフォーム資金なども多いです。あとはお孫さんの教育資金をおじいちゃんが不動産を担保にお金を借りるというケースも結構あります。
 
例えば返済原資は乏しいけれどお孫さんを卒業させるためにあと2年間お金が必要だというときに、不動産を担保に融資を受ける方もいらっしゃいます。不動産を売って手放して別のところに移り住むことになっても、孫は卒業させたい。そんな風に考えるんですね。
 
――すごいリアルな話ですね
やっぱり自分の息子や孫の学歴が大事だと考えてる人が多いということだと思います。だからそのときに貸すか貸さないかの決定にはすごく悩みます。この人にお金を貸して本当に幸せになれるのかと。やはりここ一番の出費というのは何歳になっても必ずあるものですから。
 
当社の社員にもよく言っているのですが、金融って審査をするのが基本的な仕事なんです。審査をするというのは、この人には貸していい、この人には貸しちゃだめと選別する、言ってみれば「上から目線」の行為なんですね。だから無意識のうちに「上から目線」の姿勢みたいなものが染みついちゃう。
 
選ぶというのは気持ちがいいものです。洋服を買うにしてもメガネを買うにしてもとっても気持ちがいい。だけど、選ばれる身になってみてと。審査の結果を待つ身になってみてと。そういう気持ちがないとサービス業としては終わりですので、自分にも、社員にも言い聞かせています。
 
――そう考えるようになったきっかけが、何かあるのでしょうか?
契約をするときにはご家族で来ていただくことがあります。その家族が不安げに、寄り添うようにして、いらっしゃるわけです。でも、全部手続きが終わってお金が手に入るんだっていうことが分かった帰りの顔と、来るときの顔がまるで違うわけです。
 
お金を借りるという行為は非日常的なことで、スーパーでレタスを買うのとは全然わけが違います。本当にひっ迫した状況の中で当社に来ていただいて契約して、印鑑押して、安心したときの表情が全然違うんですよね。だからそういうことをやっぱり考えないといけない、と思います。
 

お金の工面だけでなく、生活の質をいかに高められるか

――貴社はリースバック事業も行っていますが、どのような狙いで始められたのですか?
シニア世代のお金の悩みというのは増えておりますが、融資だけでは手当できないところがあります。そのような理由から、自宅を売って、資金を手に入れながらそのまま家に住み続けることができるリースバックをはじめました。当社が開始したのは2016年ですが最近では競合する他社さんも増えはじめました。これからはさらに老後のお金の悩みに直面する人が増えてくると思います。
 
――2016年というと比較的、早めの参入でしょうか?
はい、比較的早い方だと思います。現在ではさまざまな会社がリースバックを行っていますが、商品が標準化されていくというのは業界にとって良いことだと思います。
 
また、当社に来られるお客さまは銀行のリバースモーゲージという商品と比較し、よく吟味されていますが、このようにユーザーが選べる状態になってきたのも非常に良いことだと思います。
 
――貴社としても新しいチャレンジだったわけですね。
はい。やはり数百万、数千万単位の生活資金や老後資金となるとキャッシングでは限界がありますので、自宅や所有不動産を活用しないと生まれてきません。
 
しかしノンバンクで個人の自宅を担保にした貸し付けが認められているのは住宅ローンやリフォームローンなど総量規制の「除外貸付け」に該当する一部の契約に限定されます。でも実際はみなさん自由に使いたいお金が欲しい。それを工面するためにリバースモーゲージとかリースバックを活用される人は多いです。だから老後2000万円問題がニュースで取り上げられたときには、本当に申し込みが増えました。
 

――差別化が難しい業界だと思うのですが、貴社の特徴などはありますか?
差別化とは違うのかもしれませんが、リースバックを扱っている業者さんの中で金融業を行っているのは当社以外ほとんどないんです。他社さんは不動産仲介業あるいは不動産業ですので、そういう意味で言うと、当社は本業だといえます。
 
当社が掲げているテーマに、お客さまがお金に困窮している状態を解決するだけでなく、満足できる老後の暮らしをお手伝いするというものがありますので、例えば付加価値サービスに力をいれています。リースバックをご契約いただくと、好きなサービスをチョイスすることができます。
 
その中でも人気なのがお掃除サービスです。
 
私の親もそうなんですけど、年を重ねていくとお片付けが苦手になる傾向にあるようです。お申し込みいただいてご自宅を拝見しますと、ご本人たちは片付けができているつもりでも、わりと雑然としていることがあります。当社のお掃除サービス使って、いわゆる断捨離のようなことをやると、一気に生活の質が変わるお客さまがいらっしゃるんです。
 
実際にお掃除サービスに行って、これゴミですから捨てますよって言っても、それはゴミじゃないから捨てないでくれって、ここから始まるんです。ですので充実した老後の生活をお手伝いするっていう観点で言うと、お金だけではなくそのような付加価値をどれだけボリュームアップできるかというのも大事だと思っています。
 

リモートワークの進展は、金融業界にとってビジネスチャンス?

――リースバックの市場は、不動産市場と関連してくるかと思います。コロナを機会に、リモートワークが進み、地方居住のトレンドもございますが、今後、個人住宅の不動産市場は、どのようになっていくと考えていらっしゃいますか?
 
世間でも言われているとおり、郊外の暮らしや地方での暮らしが見直されてくるのだと思います。当社でも不動産業者さんへ貸し出しを行っておりますが、彼らは土地を買って、家を建てて売っています。これまでは東京圏が中心だったのですが、報道の通りで、郊外での取引事例がものすごく増えてきています。聞くと、売れるというんです。
 
不動産金融の目からいうと、やはり地方の土地は担保性が低いんです。だからこれまでは地方のお客さんからお金の相談があっても十分なお手伝いができないという問題がありました。でも今お話ししたように、日本全国の地方の土地価格が上がってくるならば前向きにいろんなものを考えられると思うんです。
 
――業界の人はビジネスチャンスになりそうですね。
そうだと思います。不動産開発も、暮らしも、金融も活性化して人が集まれば、地方での経済効果も高まるはずです。そうなれば労働力も必要になり、高齢者の求人もでてくる。そんな将来が期待できるのではないでしょうか。
 

貯金・節約も大事だけれど、楽しむことを忘れずに

――メディアの読者層である、30代、40代の働く人々が備えておくべきこと、やっておいたほうが良いことがあれば、ぜひ、メッセージをお願いします。
 
将来のことを考えて貯蓄や節約をするのも良いのですが、そのとき、その年齢でしか味わえない大事な経験というものがあります。楽しめるときに楽しんでおくことは大切なことですので、今しかできないチャンスを逃さないようにしましょうと伝えたいです。
 
また、時には高いサービスや高い商品に手をだしてみることも大切です。高価なものにはそれなりの理由があります。そういったものを使ってみるとなぜ高いのか理由がわかります。さまざまな経験をすることで人生をより豊かに過ごせるのではないでしょうか。
 

取材を終えて

今回のインタビューで印象的だったのが、資金面だけでなく高齢者の生活の課題までも解決しようとする青山社長の姿勢でした。お金だけでは不十分で、豊かな人生を送るためには生活環境を良くすることも大切。そのような青山社長の考えを伺い、ローンというビジネスの可能性を知ることができました。
 
また青山社長の普段の心がけ(相談にきたお客さまの気持ちになって考える)を聞いて、ローンに対するイメージが変わり、安心感につながりました。良い意味で、資金の相談をすることのハードルが下がったインタビューでした。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

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