では、賃借人が無断で、契約終了後も存在し続けるような建物を再築してしまった場合はどうなるのでしょうか。
そのような場合においても、建物の買い取り請求は認められるのでしょうか。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
友人に土地を貸したAさん
Aさんは友人であるBさんに対し、期間を30年と決めて土地を貸し出しました。
Bさんはその土地の上に家を建てて住むつもりであり、Aさんもそれについて承諾していました。
ところが、ある日Bさんの建てた家は火事で焼失してしまいました。
その後、Bさんは建物を再築しましたが、そのことをAさんに相談しておらず、無断での再築となってしまいました。
当然、Aさんは再築の事実を知らず、てっきり土地の上にはもう家は存在しないと思っていました。
賃貸借契約が満了し、土地を返還する際、AさんはBさんから「実は家を再築していたんだ。建物を買い取ってほしい。」と言われ、そこではじめて再築の事実を知りました。
納得のいかないAさんは「家を再築した話は聞いていない。いきなりそんなことを言われても困る。」
と、Bさんからの申し出を拒否しました。
この場合、Aさんは建物を買い取らなければならないのでしょうか。
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Aさんは建物を買い取らなければなりません
結論として、AさんはBさんの請求に応じ、再築された建物を買い取られなければなりません。
今回、Bさんは土地の貸主であるAさんに対し、無断で建物を再築しています。にもかかわらず、なぜそのような結論となるのでしょうか。
答えは借地借家法13条1項と2項にあります。条文が長いため全文を載せることはしませんが、13条1項には次のように定められています。
「建物の所有を目的とした土地の賃貸借契約が満了にて契約終了した際、貸主は借主の請求があれば建物を買い取りなさい。」
しかし、これでは無断で建物を再築した場合にどうすればいいのかわかりません。そこで、13条2項の出番です。
「建物が無断で建てられていた場合、裁判所に頼んで代金の支払いについて期限を与えてもらうことができますよ。」
つまり、無断で再築された建物であっても契約の終了時、貸主は買い取り請求に応じなければならない。しかし、裁判所に頼んで代金の支払いを猶予してもらうことができる。ということになるのです。
では、実際に今回の事例に当てはめて結論を導いてみましょう。するとこうなります。
AさんはBさんからの建物の買い取り請求に応じなければならない。しかし、Bさんは無断で建物の再築を行っていたので、Aさんは裁判所に頼んで代金の支払いを相当期間猶予してもらうことができる。
土地上の建物は請求があれば買い取りが原則となります
借地借家法の適用される土地の賃貸借においては、契約の満了時の土地上に建物があれば、賃借人の請求により、賃貸人はその建物を買い取ることが原則となります。
仮にそれが無断で再築されてしまったものであっても、原則は変わらず、あくまでも裁判所によって代金の支払いが相当期間猶予されるにすぎません。
もし、借地借家法の適用を受ける条件で土地を貸すのであれば、建物の買い取りについても考えておくようにしてください。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー