更新日: 2019.01.11 その他暮らし
人の4倍のスピードで歳をとっていく犬と猫の定期健康診断 年に何回行うべき?費用は?
近年、このような質問を多くいただきます。
今回は動物の定期健康診断についての費用や内容についてご紹介いたします。
Text:行光基(ゆきみつ はじめ)
獣医師 株式会社361°執行役員。
兵庫県出身、日本大学生物資源科学部獣医学科卒。
卒業後、外資系製薬会社にて全国の1000件以上の動物病院やトリミングサロンを訪問。
動物医療業界やトリミング業界をさらに良い業界にするべく2017年に株式会社361°の立ち上げに関わる。
http://www.361corp.com/
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com
定期健康診断は必要?
人の場合、一般企業では年に1回以上の健康診断を実施している企業は多いですね。
また、近年、病気の早期発見を目的として健康診断を取り上げるテレビ番組も増えてきています。動物も人と同じように定期健康診断を受けることができます。動物の健康診断を行うメリットも病気の早期発見です。
ほとんどの場合、何も見つからずに済みますが、稀に隠れた病気が見つかることもあります。
犬や猫の年のとりかたと定期健康診断を始める時期
近年、犬の平均寿命は約14.85歳、猫も約15.75歳(ペットフード協会調査)と、平均寿命が伸びてきています。
犬猫ともに1歳になれば、成人の年齢になります。
4歳になれば、人の30歳前後の年齢になり、だいたい1年で「人の約4歳」年齢を重ねていきます。シニア犬や猫は7歳以上とよくいわれますが、人でいうと約50歳くらいですね。
人と同じように定期健康診断を行わなければならないと考えると、
・犬猫の4歳:「人でいう約30歳」で、定期健康診断をしっかり行い始める年代
・犬猫の7歳:「人でいう約50歳」で、定期健康診断をしっかり行うことが推奨される年代
と考えられます。
ただ、4歳以下の子であれば受けなくてもよいというわけではなく、健康診断を実施することにデメリットはありません。4歳くらいまで特に病気をせずに過ごしていても、1度健康診断を受けた方が良いかもしれません。
また同様に、7歳くらいまで病気をせずに過ごしていても、同じように健康診断を受けるべきかもしれません。
健康診断の内容及び頻度
続いて、健康診断の内容についてご紹介します。
多くの動物病院では、以下のような項目があります。
・身体検査、尿検査や便検査
・血液検査
・レントゲン検査
・超音波検査
・CTなど高度医療機器による検査
など
簡単に項目を説明すると、
・身体検査、尿検査、便検査:適切な成育状況や尿や便の状態
・血液検査:貧血、肝臓、腎臓、高脂血症、糖尿病などの病気の発見
・レントゲン検査:心臓や肺、胃、消化管などの異常の発見
・超音波検査:肝臓や脾臓、腎臓などの異常の発見
・CT検査ではレントゲン検査では発見されにくい数ミリメートル程度の小さながんや、心臓や血管などに隠れた病変の発見を目的としています。
では、どのような内容の健康診断を行うべきかですが、特に決まりはありません。
そこで、よくあるケースをご紹介します。
「生まれてから10歳まで、避妊去勢の手術や予防接種以外でほとんど動物病院に行ったことがなく、健康だったが、高齢になってきたのでチェックしたい」
この場合、人でいえば、60歳前後になっていますので、レントゲン検査や超音波検査などの精査を推奨することが多いです。
「2〜3歳くらいだが、念のため、健康診断を行いたい」
この場合は、まずは血液検査までを推奨することが多いです。
費用について
さて、定期健康診断の費用ですが、1回数千円〜数万円の費用になります。ペット保険は残念ながら適応になりません。
例えば、血液検査までの定期健康診断でしたら、ほとんどの動物病院において数千円で実施できます。毎年のフィラリア検査時に採血をする際に、同時に血液検査を行う方が多いですね。
これにレントゲン検査や超音波検査が加わると、検査部位によっても変わってきますが、1〜3万円ほどの費用がかかってきます。CT検査などの高度医療機器を使い、検査するとなると加えて数万円かかります。
例えば、15年間毎年、定期健康診断において血液検査を行なっている子がいるとします。すると、15年間のその子の健康診断の合計費用は10万円かからないくらいです。
重い病気に気付かず、長期入院などになると、数十万円の費用がかかるケースも少なくありません。
もし、健康診断時に何らかの異常が見つかれば、重大な病気の発見にも繋がり、大きな費用もかからずに済むかもしれません。
犬や猫は人の約4倍のスピードで年齢を重ねていきますので、1年に1回の定期健康診断を行なったとしても、人でいえば、「4年に1回」になります。
年に2回行っても「2年に1回に」になります。そうしたことから、年2回以上の定期健康診断を勧める動物病院があります。
動物は「痛い」などと話すことができません。「元気や食欲がなくなってきた」など些細な変化が見られたら、1度定期健康診断を受けてみてはいかがでしょうか。
Text:行光 基(ゆきみつ はじめ)
獣医師 株式会社361°執行役員。
監修:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者