コロナに負けるな!(1) 飲食店でお酒をテイクアウト販売する方法

配信日: 2020.05.23

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コロナに負けるな!(1) 飲食店でお酒をテイクアウト販売する方法
新型コロナウイルスによる経済への影響が大きくなっています。外出自粛、そして営業自粛により飲食業界が多大なダメージを受けています。居酒屋やレストランなどの飲食店は、この波を乗り越えるため、あらゆる手を尽くしていることと思います。
 
そのような状況の中、先日、国税庁において「料飲店等期限付酒類小売業免許」が設けられました。これは、「飲食店がお店で提供しているお酒を、お客さんの持ち帰り(テイクアウト)用に販売することができるようになる」という免許です。
 
今回は、この免許の取り方や、この免許を持っているとできるようになること、できないことについて解説してみたいと思います。
 
長崎元

執筆者:長崎元(ながさき はじめ)

行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表

学校を卒業後、IT企業に就職。約15年勤めた後、行政書士として開業。前職で培ったITの技術と知識を活かし、効率的で、お客様にストレスのかからないサービスを提供している。主な取扱業務は、「許可の取得」や「補助金の申請」。

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免許の取り方(1)申請書一式を用意する(申請書、次葉1、次葉2、住民票または法人登記事項証明書)

免許を取るにはまず申請書を用意することが必要です。申請書一式の中の“申請書“と”次葉1“、”次葉2“は、国税庁のホームページからダウンロードできます。同じ場所に“記載例“も掲載されているので、参考にすると良いでしょう。
 
以下は国税庁ホームページに掲載されている申請書の記載例です。赤枠を追加しています。この赤枠で囲まれた箇所は、変更不要です。記載例のとおりに書けば大丈夫です。
 
図1 申請書記載例(国税庁ホームページより抜粋。赤枠追加)


 
「臨時販売場の開設区分」と「既に有している主たる酒類販売場の明細」が空欄になっているので、どうすればよいか戸惑う人もいるかと思います。
 
「臨時販売場の開設区分」は、デパート等の催事場で一時的にお酒の販売を行う場合に記載する欄です。「既に有している主たる酒類販売場の明細」は、既に他の酒類販売免許を有している場合に、その免許の情報を記載する欄です。
 
これらに該当しない場合は空欄のままで問題ありません。押印箇所があります。忘れないよう、気を付けてください。次葉の1と2は図面になります。次葉1がお店周辺の地図、次葉2はお店内のレイアウトです。こちらは手書きでも良いです。
 
飲食店を開業する際に、保健所にお店のレイアウトを提出しているかと思います。もし手元に残っているようでしたら、流用が可能ですが、最新のレイアウトと相違ないことをご確認ください。
 
これら3枚の申請書とあわせて、個人営業の場合は住民票、法人の場合は法人登記事項証明書が1部必要です。住民票は最寄りの区役所、市役所で取ることができます。法人登記事項証明書は法務局で取ることが可能です。
 
どちらも“郵送”でも請求できますが、手元に届くまでに時間がかかる点、定額小為替や収入印紙が必要になる点などのデメリットもあります。役所の混雑具合やご自身のご都合を考えて、取得方法を決められたら良いと思います。

免許の取り方(2)管轄の税務署に提出する

申請書一式がそろったら、税務署に提出します。提出先は、飲食店の所在地を管轄している税務署です。1つの税務署が複数の地域を管轄していることもあるので、管轄税務署が分からない場合は、以下の国税庁ホームページ(※)から調べることができます。
 
税務署への提出は、持参の他、郵送で受け付けているところもあります。
 
持参の場合、万が一、記載内容に誤りがあった場合、その場で訂正できるなどの利点はありますが、昨今の状況を踏まえると郵送のほうが無難でしょう。その場合は、念のため郵送先や免許が交付された後の対応方法(郵送先、返信用封筒の有無)など、確認しておいたほうが良いです。
 
なお、申請時のワンポイントとして、申請書類一式をコピーして“控え書類”を作っておくと良いです。申請時に見せると控え書類にも申請日などが書かれた印が押されます。郵送の場合は、控え書類を返送してもらってください。
 
この控え書類を手元に持っておけば、何か問題があった際に、申請番号の照会であったり、記載内容の確認であったりの対応が取りやすくなります。今回、申請書は数枚程度なのでコピーを取るのも、それほど手間ではないと思います。ぜひ、控え書類の作成をお試しください。
 
これで申請は完了です。内容に問題がなければ、免許が交付されることになります。おおむね1週間から数週間程度で免許が交付されます。通常の酒販免許は申請から免許交付まで、2ヶ月ほどかかるため、かなり早く対応される印象です。
 
私は、横浜で申請した際に1週間で交付されましたが、申請が混むほどに時間は要すると思われます。早め早めの対応をお薦めします。

料飲店等期限付酒類小売業免許を持っていて、できることとできないこと

■免許を持っているとできること。

今回の「料飲店等期限付酒類小売業免許」を持っているとできることは、以下になります。
 
1.飲食店が、通常、店内で提供しているお酒をテイクアウト販売することができるようになる。
2.テイクアウトの1つの形態として、量り売りが可能。
※量り売り:お客さんやお店が容器を用意し、お客さんの希望する量だけ販売する。例えばワインを樽からボトルに注いで売るなど。
3.同一都道府県内から電話、インターネットにより注文を受けて宅配することができる。
4.一定の手続きが追加で必要となるが、あらかじめ別の容器にお酒を小分けしておいて販売する「詰め替え」販売ができる。

■免許を持っていてもできないこと。

「料飲店等期限付酒類小売業免許」を持っていてもできないことは、以下のとおりです。
 
1.都道府県をまたいだ宅配はできません。2都道府県以上の広い地域で酒類を販売するには、別途「通信販売酒類小売業免許」が必要です。今回の免許ではできません。
2.飲食店の所在地以外での販売はできません。宅配を除き、例えば催事場や路上などでお酒を販売できません。
(4月20日時点の情報であり、今後変更となる可能性は考えられます)

今回の注意点

今回の免許は、新型コロナウイルスによる飲食店への影響などが考慮され、申請時の書類が少なく、非常に取得しやすくなっています。ただし、酒税法に関係する免許であることには間違いがなく、免許を取得した場合、相応の義務が生じる点は留意しておく必要があります。
 
その1つが「報告」です。販売数量等を記帳し、報告等を行う必要が生じます。他にも、免許を取得した後で提出する書類もあります。例えば納税証明書や土地建物等の契約書などが、これにあたります。
 
免許が取れたからといって油断し、書類の提出を怠ったり、記帳を怠ったりすると、ペナルティも生じます。注意事項は、免許と一緒に書類が同封されているので、忘れずに確認しましょう。
 
また、今回の免許はあくまでも「期限付き」。有効期限は6ヶ月です。事業として長くお酒の販売を行いたい場合は、通常の酒販免許が必要となる点も覚えておいたほうが良いでしょう。
 
(※)国税庁「税務署の所在地などを知りたい方」
 
執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表


 

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