更新日: 2020.07.28 子育て
奨学金が打ち切りになることも? 知っておきたい適格認定について(貸与奨学金編)
また、奨学生にとっては、修学状況や生活状況を振り返り、奨学生としての責務を再確認する機会にもなります。貸与奨学金の適格認定の基準等を確認し、奨学金が打ち切られないように注意しましょう。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
貸与奨学金の適格認定の基準
「奨学金継続願」の提出にかかる書類は、毎年12月頃に、学校から交付されます。対象の学生は全員必ず提出します。インターネット経由で提出(入力)された「奨学金継続願」の記入内容と、平素の学業成績等を総合的に審査し、奨学金継続の可否を学校が判定します。
「奨学金継続願」を提出しないと、貸与奨学生の資格を失い、4月以降の奨学金は振り込まれません。とても大切な手続きです。必ず期限までに提出することが必要です。初めての方は継続願の入力方法などについて、学校で開催される説明会には必ず参加しましょう。
◆適格認定の基準
※出典:奨学生の適格認定に関する施行規則第3条
貸与奨学金の適格認定に基づく判定結果
前述したように、適格認定に必要な書類が期限までに提出されない場合には、奨学金の貸与を継続する意思がないものと見なされ、奨学生としての資格を失います。
また、手続きを行った場合でも、学業不振等の場合には「廃止」・「停止」の処置等により、奨学金の交付の取りやめまたは停止の処置等を受けることがあります。特に、留年しないよう学業にしっかり取り組むことが大切です。
◆適格認定の判定結果
イ 学業成績の向上に努力するよう指導するとともに、学業成績が回復しない場合、次回の適格認定時以後に貸与奨学金の交付を停止、または貸与奨学生の資格を失わせることがあることを警告し指導する。
出典:奨学生の適格認定に関する施行規則第4条
具体例
奨学金が打ち切られてしまう「廃止」「停止」について、どのような場合に「廃止」「停止」になるのか確認しましょう。
学費や生活費のために、アルバイトをせざるを得ない学生は少なくありません。しかし、アルバイトを頑張りすぎて学業がおろそかになると成績が落ち、最悪は留年のリスクがあります。留年すると奨学金が打ち切られてしまいます。アルバイトは学業との両立を考えて行いましょう。
●廃止
1.学業成績が次のいずれかに該当する者
(1) 卒業延期が確定した者または卒業延期の可能性が極めて高い者
(2) 当年度の修得単位(科目)数が皆無の者または極めて少ない者
2.次のいずれかに該当する者
(1) 「貸与奨学金継続願」を提出しなかった者
(2) 在学学校で退学・除籍の処分を受け学籍を失った者
(3) 学校内外の規律を著しく乱し、貸与奨学生の資格を失わせることが適当である者
(4) その他、貸与奨学生としての責務を怠り、特に貸与奨学生として適当でない者
3.第3条第3号に該当しない者(※)
※経済状況について
修学を継続するために、引き続き貸与奨学金の貸与が必要と認められること。
4.第2条第1項第2号(※)に掲げる者であって次のいずれかに該当する者
(1) 停止の事由が継続している者のうち、1年以内に当該事由が止む見込みがない者
(2) 停止の処置を受けている期間が継続して2年を経過した者
(3) 在学学校長が指定する日までに、停止期間の終了に伴う交付再開を願い出ない者
※第4条第2項第2号の停止の処置を受けている者
●停止
1.学業成績は廃止該当者と同じであるが、成業の見込みがある者
2.廃止に該当しない者のうち、次のいずれかに該当する者
(1) 停学その他の処分を受けた者
(2) 学校内外の規律を乱し、貸与奨学金の交付を停止させることが適当である者(不起訴処分の場合に限る)
3.第2条第1項第2号に掲げる者であって停止の事由が継続している者のうち、1年以内に当該事由が止む見込みがある者
出典:奨学生の適格認定に関する施行規則第5条
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー