更新日: 2021.03.27 その他暮らし
生活保護はどのような制度?給付額は?要件と申請方法って?
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
生活保護とはどのような制度なのか?
生活保護は生活に困窮する人に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行うためのもの。その目的は、健康で文化的な最低限度の生活を保障することと、自立を助長するために設けられている制度です。生活保護を申請すると、最低限度の生活が送れるよう、現金が給付されます。
ただし、申請したといっても、無条件で生活保護が認められるわけではありませんし、困窮したといっても、自分の感覚ではなく客観的な要件を基に判断していきます。
生活保護の要件を知っておこう
生活保護を利用するためには、単純に自分の苦しい現状を訴えるだけではNGです。申請者が所有している資産や能力などを考えあわせ、それを活用しても、収入が基準額となっている「最低生活費」に満たない場合に認められるものであり、これが要件となっています。
●不動産、自動車、預貯金等のうち、直ちに活用できる資産がない(不動産、自動車は例外的に保有が認められる場合があります)
●就労できない、または就労していても必要な生活費を得られない
●年金、手当等の社会保障給付の活用をしても必要な生活費を得られない
●扶養義務者からの扶養は、保護に優先される(※)
(※)保護申請が行われたときには、夫婦、中学3年生以下の子の親は重点的な調査の対象になり、福祉事務所のケースワーカーが原則として実際に会って扶養できないか照会します。その他の扶養義務者については、書面での照会を行います。
●日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)
●アパート等の家賃(所定範囲内)
●義務教育を受けるために必要な学用品費
●医療サービスの費用(本人負担なし)
●介護サービスの費用(本人負担なし)
●出産費用(決められた範囲で実費を支給)
●就労に必要な技能の修得等にかかる費用(決められた範囲で実費を支給)
●葬祭費用(決められた範囲で実費を支給)
生活保護の給付額はいくらになるの?
ここで気になるのは、生活費としていくら保障が得られるのかということではないでしょうか?
必要な生活費は、年齢や世帯の人数、いわゆる家族構成等により最低生活費の決まりが設けられています。児童手当などの収入があったときには、最低生活費以下の収入の場合、生活保護を受給できます。
~計算式~
最低生活費 > 年金・児童扶養手当等の収入・・・不足額を支給
つまり、
年金・児童扶養手当等の収入 + 支給額 = 最低生活費
となります。
生活保護が受けられるかどうかは、上記以外にも細かく決まりがあります。まずは、住所地の福祉事務所(役所)相談するようにしてください。
生活保護の手続きの流れ
1. 福祉事務所(役所)相談する。
↓
2. 保護申請を行った場合、福祉事務所は訪問調査や資産調査等を行い、保護を受けられるか、支給する保護費はいくらか審査を行う。
↓
3. 保護の申請から原則14日以内に生活保護を受けられるか判断される。
生活保護の受給が始まった後は、ケースワーカーの訪問調査や指導を受けることになりますし、毎月の収入状況も申請しなければなりません。
生活保護は、あくまでも自立するために利用可能な手段のひとつに過ぎません。自分が思い描く暮らしがあるのなら、それに向かって自分ができることを考えていくようにしましょう。
ケースワーカーは複数の家庭を受け持っているため、相談時間が十分に取れないケースも考えられます。受け身の姿勢から、自ら動くことも考えてみましょう。
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト