更新日: 2021.04.21 その他暮らし

コロナ禍の詐欺、その手口とは? 詐欺にならない・遭わないための暮らし方

執筆者 : 岩永真理

コロナ禍の詐欺、その手口とは? 詐欺にならない・遭わないための暮らし方
コロナ禍が続く中、失業や雇止めなど苦しい生活を余儀なくされている人もいる一方で、こうした救済措置のための「持続化給付金」を、不正受給しているケースが相次いで発覚しています。知らず知らずのうちに詐欺に加担してしまうと、どうなるのでしょうか。
 
また、持続化給付金以外にも、コロナ禍の詐欺にあわないために、どのような手口があるのかを知り、防げるようにしておくことが重要です。
岩永真理

執筆者:岩永真理(いわなが まり)

一級ファイナンシャル・プランニング技能士

CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/

加担すると怖い「持続化給付金」の不正受給

新型コロナウイルス感染拡大で事業を自粛するなどにより、大きな影響を受けた事業主(個人事業主を含む)に対して給付されるのが「持続化給付金」です。つまり、受給資格があるのは、事業を行っている人であり、会社員や学生、無職の人が、事業者と偽って申請することは犯罪行為(詐欺罪)にあたると考えられます。
 
「会社員でも無職でも持続化給付金100万円が受け取れる」などと、受給資格がない人へ不正受給を持ちかける悪質な勧誘にのった人自身も、罪に問われる可能性が高いといえます。
 
持続化給付金の申請には、前年の所得証明として税務署への確定申告が必要です。自分で確定申告や給付金申請をしていなくても、給付金を受け取ったならば、必ず税務申告の痕跡が残っています。本当に事業を行っているか否かなど、その真偽を問われる公文書を残していることになります。
 

不正受給と判断されたら?

経済産業省によると、現在、持続化給付金の不正受給の調査を進めているとのこと。また、不正受給と判断された場合は、以下の処遇を受けることになります。
 

1. 給付金の全額に、不正受給の翌日から返還の日まで、延滞金(年3%)を加え、これらの合計額にその2割に相当する額を加えた額の全額返還請求。
2. 申請者の屋号や氏名等を公表。不正の内容が悪質な場合は刑事告発。

 
例えば、100万円の不正受給を300日後に返還する場合、その金額は約123万円になり、一括で全額返還が求められます。
 

計算式:{100万円+(100万円×3%×300日÷365日)}×1.2≒123万円

 
また、給付金から手数料などを詐欺の勧誘者に請求されて支払った場合でも、返還するのはあくまでも給付金申請者本人となり、申請者が全額返還しなければなりません。
 
持続化給付金の詐欺が発覚すると、社会人では懲戒免職、学生なら退学など、給付金返還だけではすまない重い処分を受けることもあり、人生を大きく狂わせるきっかけになってしまいます。誤って受給してしまった場合には、不正受給と判断される前に、自主的に返還するのが得策でしょう。まずは、持続化給付金事業コールセンターへ相談することです。
 
ちなみに経済産業省の発表によると、2021年4月8日時点の持続化給付金の返還は以下のとおりです。

返還件数:1万979件
返還金額:11775百万円
返還申出件数(返還完了分を除く):5210件

となっています。
 

持続化給付金以外の詐欺とは?

<持続化給付金の返還手続きを装った詐欺>
返還を決めたら、必ず自分で持続化給付金事業コールセンターへ連絡をして、正確な手順や返還先を確認することです。返還申請の代行などは、利用してはいけません。
 
<新型コロナワクチンに便乗した詐欺>
「ワクチン接種に必要」と語り、お金や個人情報を盗み取ろうとする電話などがあります。
 
<それ以外の詐欺>
給付金や融資などお金にからむ話が多く、いずれも電話の事例です。
 

 
応対してしまうと、

●手数料や利息などと称して、先にいくらか支払わせる
●給付金などを振り込むと称して、キャッシュカードを用意させて暗証番号を聞き出す
●家族構成を聞いて独居の人を狙う

などが考えられます。
 

まとめ

詐欺にあわないための注意も必要ですが、最近では詐欺に加担させられるリスクも意識しなければなりません。SNSなどで「ラクに稼げる」などと勧誘するものには、「裏がある」と考えて慎重に行動することが大切です。
 
従来の手口の詐欺は、コロナ禍であっても高齢者がターゲットになりやすく、親などの近しい高齢者へは積極的に伝えて、詐欺から守る行動が必要でしょう。

1. 最初の接点は一般には電話が多いので、電話は留守電にしておき、相手を確認してから出る。
2. 給付金、支援金、返還金、など「お金」に関する話や、クレジットカード、キャッシュカードなど「お金を引き出すことのできるもの」の話がでたら、まずは警戒をするクセをつけておく。
3. 2のような話が出たら、すぐに電話を切って家族に相談する。
4. 以下をいつも目につくところへ貼っておく。

 

●警察や銀行がカードの暗証番号を聞くことは絶対にありません。
●相手が名乗っても見知らぬ人へは、絶対に現金やカードを渡してはいけません。

 
詐欺対策の基本をしっかり理解して、詐欺にならない、詐欺にあわない暮らし方を身に着けることが重要です。
 
(参照)
経済産業省「持続化給付金の返還について」
 
執筆者:岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士

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