更新日: 2021.09.03 子育て

子どものために必要な貯金。最低ラインはいくら?

執筆者 : 新井智美

子どものために必要な貯金。最低ラインはいくら?
子どものために必要な資金として考えられるのは、主に教育資金でしょう。子どもにかかる教育費用は、国公立なのか、もしくは私立なのかによって異なりますし、習い事やそれらにかかる交通費などにかかる費用も考えておかなければなりません。
 
実際に教育費用としてはどのくらいかかるものなのか、その詳細について解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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子どもの教育資金の目安

冒頭でも述べたように、子どもの教育資金については、通う学校の形態で変わります。
 
文部科学省が発表している資料に基づき、幼稚園から高等学校までの費用が公立と私立でどのくらい違うのか、調べてみました。ちなみに記載している金額は年間に必要な額となっています。
 

■幼稚園

公立の場合:総額22万3647円(内訳:学校教育費12万738円、学校給食費1万9014円、学校外活動費8万3895円)
私立の場合:総額52万7916円(内訳:学校教育費33万1378円、学校給食費3万880円、学校外活動費16万5658円)

 

■小学校

公立の場合:総額32万1281円(内訳:学校教育費6万3102円、学校給食費4万3728円、学校外活動費21万4451円)
私立の場合:総額159万8691円(内訳:学校教育費90万4164円、学校給食費4万7638円、学校外活動費64万6889円)

 

■中学校

公立の場合:総額48万8397円(内訳:学校教育費13万8961円、学校給食費4万2945円、学校外活動費30万6491円)
私立の場合:総額140万6433円(内訳:学校教育費107万1438円、学校給食費3731円、学校外活動費33万1264円)

 

■高等学校

公立の場合:総額45万7380円(内訳:学校教育費28万487円、学校外活動費17万6893円)
私立の場合:総額96万9911円(内訳:学校教育費71万9051円、学校外活動費25万860円)

 
(参考:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」(※1))
 

パターン別にみる15年間の教育費用

では、幼稚園から高等学校までの15年間にかかる教育費用の総額を、パターン別にご紹介します。

1.すべて公立に通った場合:541万円
2.幼稚園は私立、小学校・中学校・高等学校は公立に通った場合:635万円
3.幼稚園・高等学校は私立、小学校・中学校は公立に通った場合:788万円
4.すべて私立に通った場合:1830万円

(参考:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」(※1))
 

支援制度の活用

公立と私立によって違いはあるものの、教育資金については高校卒業までを見ても最低でも500万円はかかることになります。もちろん、現在は国から受けることができる教育資金の援助制度もありますので、上手に活用していきましょう。
 
■子ども・子育て支援制度
 

1.幼稚園、保育所、認定こども園等

3~5歳:幼稚園、保育所、認定こども園、地域型保育、企業主導型保育(標準的な利用料)の利用料が月額上限2万5700円となります。また、0~2歳の場合で上記の施設を利用する場合は、住民税非課税世帯の方が無料となります。

 

2.幼稚園の預かり保育

保育の必要性の認定を受けた場合、幼稚園に加え、利用実態に応じて月額1万1300円もしくは1万6300円までの範囲で利用料が無料となります。

 

3.認可外保育施設等

3~5歳:保育の必要性の認定を受けた場合、認可保育所における保育料の全国平均額(月額3万7000円)までの利用料が無料となります。また、0~2歳の場合、保育の必要性の認定を受けた住民税非課税世帯の子どもたちを対象として、月額4万2000円までの利用料が無料となります。

 
(参考:内閣府「子ども・子育て支援新制度」(※2))
 
■就学援助制度
小・中学校への就学にあたり、学用品や学校給食、修学旅行費などの支払いが困難な人に対して、自治体がこれらの費用を支援する制度です。
 
生活保護を受給している人、またはそれに準ずる程度に経済的に困窮していると認められた方が対象となり、補助の概要や対象品目などについては各自治体によって異なります。
 
(参考:文部科学省「就学援助制度について」(※3))
 
■高等学校等就学支援金制度
高等学校等における教育に関わる経済的負担の軽減を図り、教育の実質的な機会均等に寄与することを目的とした制度です。国公私立問わず、高等学校等に通う所得等の要件を満たす世帯の生徒に対して、授業料に充てるため、国から支給されます。
 
日本国内に在住し、高等学校等に在学する方が対象で、世帯で年収約910万円未満という所得制限があります。
 
公立高校に通う生徒であれば、授業料相当額(年額11万8800円)が支給され、国公立高校の場合は授業料負担が実質0円になります。私立高校の場合は、所得に応じ支給額が変わる仕組みとなっています。
 
また、この支援金制度以外にも「高校生等奨学給付金」、その他の修学支援策として家計急変への支援、学び直しへの支援、各都道府県が独自に実施する高等学校等奨学金等の事業があります。
 
(参考:文部科学省「高等学校等就学支援金制度」(※4))
 

児童がいる世帯の平均貯金額は?

では、実際に子どものための貯蓄を、皆さんはどのくらい行っているのでしょうか。
 
厚生労働省による国民生活基礎調査の結果を見ると、児童がいる世帯における貯蓄割合は約84%となっており、貯蓄額が100~200万円台の世帯と500~700万円台の世帯に分かれているという特徴があるものの、1世帯あたりの平均貯蓄額は723万円となっています。
 
(参考:厚生労働省「国民生活基礎調査(2019年)」(※5))
 

大学進学にかかる費用と支援策

さらに大学に進学するとなると、当然のことながらさらに費用が必要となります。ちなみに、文部科学省が発表している2019年の私立大学の初年度納付金の平均は以下のとおりです。
 

1.入学金:24万8813円
2.授業料:91万1716円
3.施設設備費:18万194円

 
入学金以外の費用は4年間ずっとかかる費用ですので、私立大学に進学するのであれば、4年間の学費総額は約460万円ということになります。ただ、学部によっても異なりますし、自宅外での通学であれば、下宿代等も加味する必要があります。
 
(参考:文部科学省「令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」(※6))
 
■授業料・入学金の減免および給付型奨学金
2020年4月より、高等教育の修学支援新制度が導入されることとなり、授業料等の減免や給付型奨学金が支給されることとなりました。
 
対象となる学生は住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生となっていますが、授業料については、進学先ごとに定められている授業料免除額を上限に、世帯収入に応じて上限額の満額、3分の2または3分の1となります。
 
さらに、学業に専念することを目的として、返済不要な奨学金が支援されることは注目すべきことといえます。
 
(参考:文部科学省「高等教育の修学支援新制度について」(※7))
 

まとめ

子どものために必要な貯金額については、進路によって異なりますが、幼稚園から高校まですべて公立の場合、550万円程度が必要となります。この金額が教育費として必要となる金額の、最低ラインの目安になるのではないでしょうか。
 
幼稚園から高校、そして大学進学においてもさまざまな支援制度が用意されていますので、自分たちの年収や子どもの希望を考慮しながら、貯蓄額を決めていくとよいでしょう。
 
教育支援策は、少子化の影響により今後手厚くなることが予想されますので、情報収集を怠らないようにしておきましょう。
 
(※1)文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」
(※2)内閣府「子ども・子育て支援新制度」
(※3)文部科学省「就学援助制度について」
(※4)文部科学省「高等学校等就学支援金制度」
(※5)厚生労働省「国民生活基礎調査(2019年)」
(※6)文部科学省「令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
(※7)文部科学省「高等教育の修学支援新制度について」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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