出生前検査ってなに?費用はどれくらいかかる?

配信日: 2021.06.08

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出生前検査ってなに?費用はどれくらいかかる?
晩婚・高齢出産が増えるなか、出生前検査を受ける人が少しずつ増えています。出生前検査とはなにか、どのような種類があるのか、費用はどのくらいか、基本知識をお伝えします。
篠原まなみ

執筆者:篠原まなみ(しのはら まなみ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士

外資系証券会社、銀行で20年以上勤務。現在は、日本人、外国人を対象とした起業家支援。
自身の親の介護、相続の経験を生かして分かりやすくアドバイスをしていきたいと思っています。

結婚、出産の状況

女性の社会進出や独身の気楽さ、非正規雇用者の増加など、さまざまな理由から晩婚化が進んでいます。内閣府が発表した、令和2年版「少子化社会対策白書」(※)によると、日本人の平均初婚年齢は、2018(平成30)年で、夫が31.1歳、妻が29.4歳でした。この平均初婚年齢は、1985(昭和60年)と比較すると、夫は、2.9歳、妻は3.9歳上がっています。
 
これに伴い、出生時の母の平均年齢も第1子の時は30.7歳、第2子の時は32.7歳と、1985(昭和60)年と比較してそれぞれ4歳、3.6歳と上昇しています。
 
日本産婦人科医会によれば、35歳以上で初めて妊娠・出産することを「高齢初産」といい、注意が必要とされています。注意が必要な理由には、流産率が高い、産道が固くなって難産になりやすい、心疾患やダウン症などの先天異常の赤ちゃんが生まれやすい、などがあります。
 
赤ちゃんのダウン症などの染色体異常は、例えば20代の母親から生まれてくるダウン症の赤ちゃんは、1000人に1人程度ですが、40歳では100人に1人の確率です。ただし40歳でも99%は問題ないということですので、どう考えるかはその人しだいということになります。
 

出生前検査とは

出生前診断とは、胎児診断とも呼ばれ、出生前に胎児の状態を診断することを目的とします。広い意味では、出産に先立って、母体中の胎児を知ることを指し、妊娠初期に行われる出産予定日の推定や流産しないかどうかの診断を目的とした超音波検査による胎児発育の検査、また妊娠途中で行われる胎児発育の診断、分娩中の胎児心拍のモニタリングなとも含まれます。
 
けれども、この言葉は通常もっと限定した狭い意味で使われます。狭義では、胎児に先天性異常があるかどうかを診断することを指します。これに先立って行われる検査を出生前検査といいます。
 

出生前診断の目的

出生前診断は、大きく分けて3つの目的で行われます。
 
第1の目的は胎児の治療です。第2の目的は、出産方法を決めて、出生後のケアの準備を行うものです。そして第3の目的は、妊娠を継続するか否かに関する情報をカップルに提供するということです。
 

出生前検査の種類

出生前検査は、大きく侵襲的な検査と非侵襲的な検査に分けることができます。侵襲的か非侵襲的かは、副作用によって胎児が失われることがあるかどうかにより区別されます。
 
侵襲的な検査には、羊水検査、絨毛検査、胎児採血などがあります。
 
例えば羊水検査は、妊娠15~16週目以降に受けることができます。羊水検査は、母体のおなかの上から子宮の中まで細い針を刺して羊水を採取して、羊水中の胎児細胞から胎児の染色体を調べるものです。子宮に刺すので害がないとはいえず、およそ300~500回に1度の割合で流産など胎児を失う恐れがあります。費用は、11万~15万円が多いです。
 
非侵襲的検査には、超音波検査やMRIによる画像診断、母体血清マーカー試験、新型出生前(遺伝学的)検査(NIPT)があります。
 
母体血清マーカー試験は、妊娠15~21週の頃に妊婦の血液検査を行い、複数のたんぱく質やホルモンの値の高低と妊娠時の年齢から、胎児がダウン症や、脳や脊髄の形成異常があるかどうかを推定し、「確率」を出すものです。費用は約2万円です。
 
NIPTは、妊娠10週目から受けることができ、母体血を用いた新しい出生前遺伝学検査と呼ばれています。母体血から胎児のDNA断片を分析して、13番か18番か21番の染色体が通常より1本多いこと(13トリソミー、18トリソミー、21トリソミー)につき、陽性か陰性かの判定となります。21トリソミーは、ダウン症候群です。
 

まとめ

母体血清マーカー試験やNIPT等の非侵襲的な検査は、胎児へのリスクは低いのですが、非確定検査です。非確定検査の結果で、胎児が疾患を持っている可能性が高いと、羊水検査や絨毛検査等の胎児に害を与えるリスクの高い確定検査に進むことになります。
 
出生前検査により、胎児に異常が見つかった場合、妊婦は妊娠を継続するかどうか決断を迫られることになり、不安や葛藤を抱えることになります。そのため専門家によるカウンセリング体制が整った医療機関で受診をすることが望ましいといえるでしょう。
 
(※)令和2年版「少子化社会対策白書/3 婚姻・出産の状況」
 
執筆者:篠原まなみ
AFP認定者、第一種証券外務員、内部管理責任者
 

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