更新日: 2021.06.21 子育て
子どもの医療費負担がゼロ? お金がかかる地域と無料の地域
今回は子育て世代が知っておきたい、子どもの医療費助成制度や助成金額の例をご紹介します。地域によって医療費の負担にどのくらいの違いあるのかもチェックしていきましょう。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
乳幼児医療費助成制度とは
乳幼児医療助成制度は、子どもの医療費の自己負担分について、その全額や一部を助成してくれる制度です。各地方自治体が制度を管轄しているため、利用できる子どもの年齢や保護者の所得制限、助成金額の割合については、住んでいる地域によって大きな違いがあります。
厚生労働省が行った調査(※1)によると、2018年4月1日現在、全ての都道府県や市区町村が乳幼児等に係る医療費の援助を実施しています。援助の対象となるのは、都道府県では通院・入院ともに就学前までの児童が最も多くなっています。一方、市区町村では通院・入院ともに15歳年度末(中学生まで)が最多という結果でした。
また、通院の場合に助成制度を利用できる家庭について、47都道府県のうち、17の地域は所得制限なし、29の地域は所得制限があることが分かりました(交付金のため規定なしが1)。
地域によって異なる助成金
では、地域によってどのくらい医療費負担額が異なるのか、具体的にチェックしていきましょう。ここでは小学1年生が通院した場合を例に、助成制度の利用に所得制限がない東京都江東区(※2)と、所得制限と一部負担金がある広島県広島市(※3)の医療費について比較します。
医療費の自己負担分が5000円だった場合
→全額助成対象となるので、実質0円
●扶養家族が1人、年間所得が333万2000円未満の場合
→500円を支払う(初診料算定時1日500円を限度/月4日まで)
●扶養家族が1人、年間所得が333万2000円以上570万円未満の場合
→1500円を支払う(1日1500円を限度/月2日まで)
●扶養家族が1人、年間所得が570万円以上の場合
→5000円を支払う(助成なし)
このように、住んでいる地域によって子どもの医療費の助成金額が大きく異なります。健康で、ほとんど病院に行く必要がないお子さんの場合はあまり関係ないのですが、風邪をひきやすかったり、持病があったりするお子さんの場合、毎回支払わなければならない医療はご家庭にとって大きな負担になるかもしれません。
助成制度の利用方法と注意点
こうした医療費助成制度を利用する際は、住んでいる地域の役所で手続きを行います。現物給付方式の場合、助成金が差し引かれた最終的な自己負担額のみを医療機関の窓口で支払えば完了です。一方、償還払い方式の場合、いったん窓口で2~3割の自己負担額を支払い、後日、自治体で手続きをすることで助成金を受け取れます。
ただし、住んでいる地域以外や、助成金制度による診療を取り扱わない医療機関で診療を受ける場合などは、助成金制度の利用方法が異なるケースがあります。
例えば東京都の場合、助成金制度の対象外の医療機関で診察を受けると、医療保険の自己負担分をまず医療機関の窓口に支払い、その領収書を持って住んでいる地域の担当部署などに医療費助成の申請をしなければなりません。この点を忘れずにチェックしておきましょう。
いかがだったでしょうか。子育て世代にとって子どもの医療費は、しっかりと確認しておきたいポイントです。引っ越しで管轄の自治体が変わる場合や、子どもが大きな手術を行う場合など、事前に確認しておくと安心でしょう。今回の記事を参考にしながら、ぜひ自分の住んでいる地域の助成制度について、詳しくチェックしてみてはいかがでしょうか。
出典
(※1)厚生労働省 平成30年度「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」について
(※2)江東区 子ども医療費助成
(※3)広島市 こども医療費の補助
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者