地方移住を後押しする補助金にはどんなものがある?
配信日: 2021.06.23 更新日: 2021.09.20
また、観光地やリゾート地でテレワークをしながら休暇を取るワーケーション(=ワーク[仕事]+バケーション[休暇])という働き方も注目されています。
こういった時間や場所にとらわれない働き方として、地方移住に関心がある方もいらっしゃるでしょう。内閣府が2020年5月・6月に実施した調査では、東京23区に住む20代の人のうち、3分の1以上の人が地方移住に関心がある結果になっています(※1)。
一方、地方移住するとなると引っ越し代だけでなく、新しい家具や家電製品の購入、あるいは地方では必須ともいわれる自動車の購入費用などのお金が掛かります。このような費用面の支援を行うために、国や都道府県では補助金を整備しています。
地方移住を検討、もしくは関心を持っている方などに向けて、国や都道府県の、地方移住を後押しするための補助金制度について確認してみたいと思います。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
地方創生起業支援・移住支援事業
この事業は、2019年度から6年間をめどに地方公共団体が主体となって実施しているものです。
具体的には、地方での起業や東京圏からUIJターンにより、起業・就業をする方へ支援金を支給する地方公共団体の取り組みを支援しています。では、これらの事業を詳しく見ていきます。
<地方創生起業支援事業>
■概要
都道府県が、地域の課題解決に資する社会的事業を新たに起業等する方を対象に、起業等のための伴走支援と事業費への助成(最大200万円)を通して、効果的な起業等を促進し、地域課題の解決を通して地方創生を実現することを目的とした事業です。
なお、事業分野としては、子育て支援や地域産品を活用する飲食店、買い物弱者支援、まちづくり推進など地域の課題に応じた幅広いものが想定されます。
都道府県が選定する執行団体が、計画の審査や事業立ち上げに向けた伴走支援を行うとともに、起業等に必要な経費の2分の1に相当する額を交付します。
(内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生」(※2)より抜粋)
■対象者の一例
(1)新たに起業する場合(次のア~ウすべてを満たすことが必要)
ア.東京圏以外の道府県、または東京圏内の条件不利地域(※3)において社会的事業の起業を行うこと。
イ.公募開始日以降、補助事業期間完了日までに、個人開業届または法人の設立を行うこと。
ウ.起業地の都道府県内に居住していること、または居住する予定であること。
(2)事業承継または第二創業する場合(次のア~ウすべてを満たすことが必要)
ア.東京圏以外の道府県、または東京圏の条件不利地域において、Society5.0関連業種等の付加価値の高い分野で、社会的事業を 事業承継または第二創業により実施すること。
イ.公募開始日以降、補助事業期間完了日までに、事業承継または第二創業を行うもの。
ウ.本事業を行う都道府県内に居住していること、または居住する予定であること。
(※3)東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)内でも、東京都奥多摩町、埼玉県秩父市、千葉県館山市、神奈川県山北町などを条件不利地域と呼び、その地域を含みます。
(引用・抜粋:内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生」(※2))
<地方創生移住支援事業>
■概要
東京23区に在住または通勤する方が、東京圏外へ移住し、起業や就業等を行う方に、都道府県・市町村が共同で交付金(※4)を支給する事業です。
(※4)100万円以内(単身の場合は60万円以内)で都道府県が設定する額。
■対象者
次の(1)(2)(3)すべてに該当する方が、対象となります。
(1)【移住元】東京23区の在住者、または東京圏から東京23区へ通勤している者。
(2)【移住先】東京圏以外の道府県、または東京圏の条件不利地域への移住者(移住支援事業実施都道府県・市町村に限る)。
(3)【就業等】地域の中小企業等への就業やテレワークにより移住前の業務を継続、地域で社会的起業などを実施。
上記事業は、国が地方公共団体を支援するものです。具体的な開始時期、支給額等の制度の詳細は地方公共団体により異なります。皆さんが移住したい、起業したいと思う都道府県が公表する情報を確認してください。
(引用・抜粋:内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生」(※2))
全国自治体支援制度
全国の自治体が独自に行っている支援制度もあります。「移住体験」や「移住者限定」の支援制度、「子育て支援」「住宅建築補助」「起業支援」などの各種支援制度があります。
移住関係でいえば、例えば、北海道ニセコ町では、ニセコ町へ移住体験ができる「長期滞在プラン」があったり、福島県では、移住を検討している若者を対象に1万円/月で県営住宅を提供したり、広島県三次市では、移住者で市内に住宅を新築した場合に、住宅に関わる固定資産税相当額の奨励金を5年間交付するなどの制度があります。
こういった支援制度は、北海道から沖縄までの全国の自治体で行われています。一般財団法人移住・交流推進機構が公表している2020年度版の支援制度一覧表では、3500以上もあります(※5)。
また、地方創生起業支援事業・地方創生移住支援事業同様、各自治体で制度を策定、実行していますので、利用の際には、必ず自治体の担当窓口で最新情報を確認するようにしましょう。
(※1)内閣府「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」
(※2)内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生」
(※5)一般財団法人 移住・交流推進機構「2020年度版 知らないと損する全国自治体支援制度」
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー