更新日: 2019.07.04 その他暮らし

突然のリストラで家賃が払えない!そんな時に助かる助成金と注意点は。

執筆者 : 新美昌也

突然のリストラで家賃が払えない!そんな時に助かる助成金と注意点は。
会社の倒産、リストラなど失業のリスクは誰にでもあります。共働きであれば、失業してもすぐにお金に困ることはないかもしれませんが、失業が長引けば、やがて貯蓄も底をつく可能性があります。子どもがいれば、教育費の負担も大きくのしかかってきます。家賃の支払いも滞りがちになるでしょう。

家賃が数か月滞れば、退去を請求され住居を失う恐れがあります。学校へも通えなくなります。家族の崩壊寸前です。このような状況では就職活動にも支障をきたします。そこで、活用したい制度が、就職活動を支えるために家賃を有期で給付する「住宅確保給付金」や「生活福祉資金(総合支援資金)」です。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

失業給付について

失業したときに、だれでも思い浮かべるのが失業給付(基本手当)ではないでしょうか。まずは、失業給付について確認しておきましょう。
 
失業給付は、離職の日以前2年間のうち、1ヵ月の賃金支払日数が11日以上ある月が12か月あるときに支給されます。会社都合で離職する場合は、離職の日以前1年間のうち、1ヵ月の賃金支払日数が11日以上ある月が6か月あるときに支給されます。自己都合で離職した場合は3か月の給付制限がありますが、会社都合で離職した場合には給付制限はありません。
 
しかし、会社都合でも、すぐに失業給付をもらえる訳ではない点は注意が必要です。
 
失業給付をもらうには、退職した会社から「離職票」をもらい、必要書類をそろえて、住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)で求職の申込みを行います。ハローワークでは、受給要件を満たしていることを確認した上で、受給資格の決定を行ないます。その後、指定の日時に受給説明会に参加します。説明会では、雇用保険の受給について重要な事項の説明が行われます。
 
ここで「雇用保険受給資格者証」、「失業認定申告書」が渡され、第1回目の「失業認定日」が知らされます。そして、原則として、4週間に1回、ハローワークで失業の認定を受け、直前の28日間について失業給付を請求します。
失業給付の額は、離職日以前6か月の賃金日額の50%~80%(60歳~64歳は45%~80%)です。
支給を受けることができる日数(所定給付日数)は、離職理由が会社都合か自己都合か、離職日における年齢、雇用保険の被保険者期間によって90日~360日となっています。
 

住宅確保給付金について

住居確保給付金は、生活困窮者自立支援法に基づき、離職又は自営業の廃業(以下「離職等」という。)により経済的に困窮し、住居を喪失した方又は住居を喪失するおそれのある方を対象に、家賃相当額(上限あり)を支給する制度です。
 
給付を受けるには、「世帯の収入、金融資産が一定額以下であること」、「申請日において65歳未満であって、かつ、離職等の日から2年以内であること」、「ハローワークに求職の申込みをし、誠実かつ熱心に常用就職を目指した求職活動を行うこと」などの要件があります。離職理由は問いません。
 
申請はお住いの地域を管轄する生活困窮者自立相談支援機関です。相談窓口は、「都道府県名+生活困窮者自立支援制度」で検索して調べることができます。経済的な悩み以外にも、日々の生活での悩み事、どこの誰に相談すればよいのかわからない方も利用できます。 
 
支給額は、「家賃-(月の世帯の収入合計額-基準額)」です。世帯の収入合計額が基準額以下の方は、住居確保給付金支給額は家賃額(ただし、生活保護法に基づく住宅扶助の限度額が上限です。)となります。返済義務はありません。世帯の収入合計額が基準額を超える場合は、一部支給となります。
 
支給額は、住居の貸主(大家)の口座へ直接振り込まれます。なお、支給額については、地域により異なりますので、都道府県や市区町村にお問い合わせください。
 
支給期間は、原則3ヶ月間です。ただし、誠実かつ熱心に求職活動を行っている等、一定の要件を満たす場合には、申請により3ヶ月間を限度に支給期間を2回まで延長することができます(最長9ヶ月間)。
 
また、住居確保給付金は、原則1人1回の支給ですが、住居確保給付金を受け、その結果、常用就職(雇用契約において、期間の定めのない又は6か月以上の雇用期間が定められているもの)に至ったものの、会社都合で解雇になった場合や会社が倒産した場合に限り、2度目の支給を受けることができます。

住居確保給付金の注意点

住居確保給付金受給中は、自立相談支援機関の就労支援やハローワークを利用等して、常用就職に向けた次の求職活動をしなければなりません。
 
具体的には、月4回以上、自立相談支援機関等の就労支援を受けること、月2回以上ハローワークで職業相談を受けること、原則週1回以上求人先へ応募を行う又は求人先の面接を受けること、が必須です。これらの活動を怠ると支給が中止なりますので注意してください。
 

住宅を喪失している方への貸付制度

住宅を喪失してる方で、住居確保給付金の受給を受けるまでの間の生活が必要な方は、社会福祉協議会の臨時特例つなぎ資金(10万円以内)を無利子で借りることが可能です。連帯保証人は不要です。
 
賃貸住宅に入居するための「初期費用」(敷金、礼金等)の支払が困難な方や、住居確保給付金を受給中の生活費が必要な方は、社会福祉協議会の「生活福祉資金(総合支援資金)」を借りることが可能です。住宅入居費は40万円以内、生活支援費(原則3か月以内、最長1年間)は2人以上世帯では20万円以内(単身は15万円以内)です。一時生活再建費(原則3か月以内)は60万円以内です。連帯保証人を立てる場合は無利子、立てない場合は年1.5%です。
 
生活困窮者は公的貸付制度(無利子又は低利子)を知らず、高金利の消費者金融や「ヤミ金」からお金を借りて家計が破綻してしまうケースが少なくありません。生活が困ったら、生活困窮者自立相談支援機関を活用しましょう。
 
TEXT:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする