更新日: 2021.08.06 子育て
男性の育児参加状況と育休の実態は? 収入減のリスクや職場の雰囲気から育児参加しにくいパパも
実際に男性の育児への意欲や、育休取得状況などはどのようになっているのでしょうか。
株式会社明治が発表した、パパの育児参加状況の調査結果(※1)を見てみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
育児に積極的に関わりたいと思っている男性は6割強
この調査は、株式会社明治が株式会社ママカラの運営する「男性版産休・育休応援プロジェクト」と共同で行ったものです。対象は0歳児(0歳から1歳未満)を育児中の25歳から39歳の男性590名。
まずは、育児参加への意欲について見てみましょう。
●積極的に関わりたいと思う 64.1%
●できる限り関わりたいと思う 32.9%
●どちらともいえない 2%
●あまり関わりたいと思わない 0.5%
●関わりたいと思わない 0.5%
育児に対して積極的な男性は、6割強。「善処します」といったタイプの男性が、およそ3割という結果に。
そもそも特別な事情がない限り育児は双方で行うものですので、「積極的に関わりたいと思う」が9割を超えていてほしかった……と思う人もいらっしゃるのではないでしょうか。
育児に思うように関われない理由は、収入の減少
さて、意欲はさておき、実際に男性は育児にどのくらい関わっているのでしょうか。
●希望以上に関わっている 21.7%
●希望と同じくらい関わっている 57.5%
●希望よりも関われていない 20.8%
自分の思うように育児に関われている男性は、およそ8割という結果に。これはいい傾向といえるかもしれません。
一方で、思うように関われていないと回答した人は2割でした。その理由を見てみると、切実な事情も……
1位:育児に時間を割くと収入が下がるため 36.6%
2位:育児のために休んだり、早く帰りづらい雰囲気がある 31.7%
3位:自分の仕事を他の人に任せることができない 27.6%
4位:母親の方が育児をうまくやれるから 24.4%
5位:妻からダメ出しをされるから 20.3%
3割を超えているのは、「収入が下がるから」と「育児のために休んだり早退したりしづらい雰囲気だから」という理由でした。たしかに子どもを養っていかなければならない状況で収入が下がるというのは、大きな不安です。
また、「(男性なのに)育児のために仕事を休むのはおかしい」という雰囲気が職場に残っているというのも、古くからの陋習といえそうです。
女性として少し耳が痛いのは、「妻からダメ出しをされるから」ではないでしょうか。ついついオムツ替えのやり方などで夫にチクっといってしまうこともあるでしょう。それが続くと、ダメ出しを恐れて男性が育児に思うように関われなくなってしまうということもあるようです。
男性の育休取得状況は4割。しかしその期間は……
次に、男性の育休取得状況を見てみましょう。
1位:利用していない 59.7%
2位:5日未満 13.4%
3位:5日~2週間未満 9.3%
4位:1ヶ月~3か月未満 6.8%
5位:2週間~1ヶ月未満 4.4%
ダントツで多いのは、およそ6割の「利用していない」でした。
育休を取得している男性は4割ということになりますが、その半数以上はたったの2週間未満にとどまっていることが分かります。
赤ちゃんが家に来て2週間というのは、ようやく赤ちゃんのいる生活に慣れてきたころに当たるのではないでしょうか。母親は産後の体を休める間もなく日中のワンオペが始まりますから、もう少し男性の育休が長く取れる環境が整うといいですね。
男性が育休を取りづらいと思う理由は「取得しづらい雰囲気」や「収入の減少」
最後に、男性が育休を取得しなかった理由を見てみましょう。
1位:取得しづらい雰囲気がある 39.2%
2位:職場の人員が不足していた 34.4%
2位:所得を下げたくない 34.4%
4位:会社に制度が整備されてない 33.8%
5位:お世話をする人がほかにいる(妻・祖父母など) 19%
1位は先ほどの「育児に思うように関われていない理由」にも通ずるものがありますね。同率2位には「所得を下げたくない」という経済的な理由がランクインしました。
しかし、男女関係なく一定の条件を満たせば、休業開始時賃金の67%(休業開始から6ヶ月経過後は50%)の育児休業給付金が支給される仕組みになっています(※2)。
非課税のため所得税はかからず、育休中の社会保険料は労使とともに免除されるため、給与所得がなければ雇用保険料も生じないということに。
そのため、手取り賃金で比べると休業前の最大約8割のお金が確保できるという計算になります。きっちり制度を活用できれば、そこまで経済的に大きな打撃を受けずに育休が取れるということになりますね。
さて、今回の調査結果をまとめると、男性が「育児に思うように関われない」「育休を取得できない」と考える理由には大きく分けて2つあり、ひとつは「収入が減少するから」ということ。もうひとつは、「育児に関わりにくい雰囲気が職場に漂っているから」ということだといえそうです。
男性が育児に積極的になるには、まだまだ社会の構造改革が必要なのではないでしょうか。
経済的に不安にならないようしっかりとした補償を設けること、そして、その制度を男性が活用することが当たり前という風潮になること。今後の政府の対応にぜひ期待したいものですね。
[出典]
※1 株式会社明治「6月20日は父の日 『パパの育児参加状況』実態調査」(株式会社共同通信ピー・アール・ワイヤー)
※2 厚生労働省 イクメンプロジェクト「育児休業制度とは」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部