更新日: 2021.09.07 その他暮らし
個人事業主やフリーランスにも必要? DXって何?
今回は「DX」について、それが個人事業主にどうかかわってくるのかを説明します。
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
そもそもDXとは? IT化と何が違うの?
DXはデジタル・トランスフォーメーションの略で、2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマンという大学教授が考えたといわれています。ストルターマン教授は、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面で良い方向に変化させる」定義しています。
また、日本では経済産業省が「デジタル・トランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を2018年12月に発表し、その中で、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義付けています。
簡単に言うと、「デジタル技術を活用にして会社の業務を改革して、もうかるようにしよう」といったところではないでしょうか。
同じくIT化という言葉がありますが、両者に明確な違いはありません。ただ、IT化の主な目的が業務の効率化に対し、DXはビジネスモデルから業務まで幅広く含まれていることで、よく「IT化=“戦術”、DX=“戦略”」という違いになると筆者は思います。
個人事業主、フリーランスにどのように関係してくるの? どうやれば良いの?
定義や考え方を見ていると、個人事業主やフリーランスには少しハードルが高いと感じるかもしれませんし、そもそもIT化すらされていないと思ってらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際には気付いていないだけで、部分的にすでに行っているかもしれません。では、実際どのように導入していけば良いのか見ていきます。一般的なDX導入についての考え方は、
(1)アナログだったものをデジタルにする
この分野はもう実際に実行している方もいらっしゃると思います。例えば、これまで顧客との打ち合わせや商談等を、実際に合うのではなくオンラインで行うことです。これはコロナ禍で急速に広まりましたがデジタル化の1つですね。
また、店舗を経営している場合、実店舗だけでなくECサイトも運営したり、あるいはその際の決済を現金や振込だけでなくバーコード決済にしたりするといったことも含まれます。また、業務においては会計ソフトや労務管理ソフト、販売管理ソフトの使用などが挙げられます。
(2)生産効率・業務効率が向上し、デジタルデータが蓄積される
デジタル化により上記の例ですと、打ち合わせ等の行き来がなくなることによる時間の節約や、各種ソフトの使用により単純なミスが減ることによる業務効率の高まり、生産性向上があります。それとともに販売においてもデジタルデータが蓄積されていきます。このデジタルデータがとても大切です((3)に続く)。
(3)デジタル・トランスフォーメーション(ビジネス・組織を変える)
とても大切なデジタルデータをビジネスに活用します。同じく上記の例ですと、会計データを原価管理や顧客管理に活用したり、バーコード決済データや販売管理ソフトのデータを使って売れ筋商品仕入や在庫管理に活用したりします。これを経済産業省の定義にある「ビジネスモデル」や「業務のプロセス」に活用すればDXになりますね。
目的意識をもって導入しましょう
何事もそうですが、“仏作って魂入れず”になっては経費の無駄です。もちろん無料や安価なソフトもありますが、経営資源が限られている個人事業主やフリーランスにとってこれらの投資額は決して小さくありません。DXやIT化はあくまで手段です。何のために(どのようなことをするために)やるのかという目標を決めて行いましょう。そうすれば、今まで以上に結果が出せるかもしれません。
出典
経済産業省「デジタル・トランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」
経済産業省「ミラサポplus/「デジタル・トランスフォーメーション」DXとは何か? IT化とはどこが違うのか?」
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表