更新日: 2021.10.06 その他暮らし
コロナ禍で多発!? 国際ロマンス詐欺に気を付けて
コロナ禍で気軽に外国旅行ができないため、直接本人(外国人)を訪ねていく可能性が低いことも、犯罪者側には詐欺と気づかれる機会が減って好都合な環境のためか、こうした詐欺が横行しているとも考えられます。
では、どのように防いだらよいのでしょうか。
執筆者:岩永真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/
まずは彼らの手口を知る
どんな人がどんな手口で詐欺にあっているかを見てみましょう。オンラインツールで知り合うため、被害者は日本各地に存在し、各県警は注意を呼び掛けています。最近発表されている事件では以下のような事例があります。
(各県警のホームページを参考に筆者作成)
今年に入ってからの被害総額は、一県だけで6600万円以上という県もあり、被害者の中には2000万円以上をだまし取られたという人もいるといいます。特徴としては、被害者が40~60代と幅広く、比較的お金を持っていそうな中高年がターゲットになりやすいといえます。
犯人が装う職業や国籍はさまざまですが、男性の場合は医師や軍人など、女性の場合は夫を亡くした未亡人など、その他、ハリウッドスターを名乗ることもあるようです。
詐取されるのは、現金のほか電子マネーを購入させてコード番号を求めたり、暗号資産(仮想通貨)であったりすることもあります。投資話を持ち掛けられる場合は、外国為替証拠金取引(FX)などを求められるケースもあるようです。
金銭要求の口実は、上記のほかに「荷物を送りたいので配送料を負担してほしい」「将来を見据えて投資を始め、2人のお金をためよう」「500万米ドル(約5億5000万円)が入った金庫を預かってほしいので、配送時の保険料や手数料がかかる」などがあり、指定口座への送金を要求する手口が多いとされています。
いずれのケースでも「後で返すから一時的に立て替えてほしい」といわれることもあります。
会ったこともない人からお金の話をされたら、まず第三者へ相談する
なぜ、見ず知らずの相手に金銭を振り込んでしまうのでしょうか。
SNSや、恋人を探す「マッチングアプリ」で知り合うことで、スタート時点から恋愛感情を持ちやすい背景があることも考えられます。恋愛感情や親切心を抱かせるために、早い段階から甘い言葉を投げかけ、1ヶ月ほどメッセージのやりとりを繰り返した後に金銭要求が始まるようです。
メッセージのやりとりの間には、信用してもらうために自身の写真やパスポートのコピーなどを送ってくることもありますが、詐欺では当然本物ではありません。
ネット上の写真を検索する機能を使えば、相手が送ってきた写真が、すでにネット上に出回っている他人のものかどうかを判断できるかもしれません。既出の写真であれば、明らかに詐欺を疑うことができます。
初めに要求される金額は少額だからと応じてしまうと、要求が次々と高額になるケースもあります。どんなに感情移入した相手であっても、実際に一度も会ったことがない人に対して、お金を預けたり送ったりすることは避けるのが無難です。
送る前に、同じような事例の報告を受けている可能性のある消費生活センターなどへ問い合わせてみるとよいでしょう。
犯人の実態とは? 最大の防御は未然に防ぐこと
国際ロマンス詐欺をはたらく犯罪者は単独犯の場合もあれば、国際的犯罪組織である場合もあります。国籍や居住国もさまざまです。
日本に在住している「外国人」や「外国人になりすました日本人」である場合もあります。性別もなりすませば、男女どちらの性別でもあり得ます。国際的犯罪組織になると、日本在住の日本人を巻き込んでいる可能性もあります。
犯人が日本在住であっても、振り込め詐欺と同様に、すでに振り込んでしまった金銭は取り返すのが困難とされています。国際ロマンス詐欺の被害にあわないためには、未然に防ぐことが最大の防御となります。国際的犯罪組織になるとさらに事態は悪化します。
2019年1月の外務省ホームページ(※)には、南アフリカ共和国での国際ロマンス詐欺事件が報告されています。
コロナ禍以前ですので、実際に南アフリカ共和国へ会いに行って被害にあったケースです。今後コロナ禍が終息したら、金銭だけでなく金銭を奪う目的で身柄を拘束されるなど、身の安全も脅かされる可能性すらあります。
まとめ
SNSやマッチングアプリは、どんな人にでもなりすますことが可能です。この事実をしっかりと認識した上で、利用することが重要です。
恋愛感情を抱いている相手に対して、疑ったり冷静に考えたりすることが難しいところへ漬け込まれ、ちょっと変だと思っても「気のせい」だと肯定してしまい正しい判断ができなくなることが、詐欺と気づくのが遅れる最大の原因でしょう。
お金絡みの話が出て、少しでも変だと思ったら、家族や友だちなどの身近な人、あるいは消費生活センターや警察などの第三者に一刻も早く相談をして、1人で決断しないことが詐欺を防ぐ第一歩です。
(※)外務省 海外安全ホームページ「インターネットを通じた国際ロマンス詐欺事件の発生」
(参考・引用)各県警ホームページ
執筆者:岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士