家庭の収入が激減、大学の奨学金は年度途中でも申込みできる?

配信日: 2021.10.08

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家庭の収入が激減、大学の奨学金は年度途中でも申込みできる?
家族の生計を維持している親が職を失ったり、病気や事故で収入が激減、またコロナ禍の影響により生活が困窮するなど、大学に進学したが学費を継続して払えなくなるかもしれない、という不安を抱えている学生の方もいるかと思います。
 
しかし、奨学金は年度の途中でも申し込みができますし、そのほかの支援策も用意されています。どんな順番で考えていけばいいのか、今回は給付奨学金などについてお伝えします。
上山由紀子

執筆者:上山由紀子(うえやま ゆきこ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者

1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者 鹿児島県出身 現在は宮崎県に在住 独立系ファイナンシャル・プランナーです。
 
企業理念は「地域密着型、宮崎の人の役にたつ活動を行い、宮崎の人を支援すること」 着物も着れるFPです。
 

現状の把握が大切、学費がいくら足りない?

大学に納める学費が足りない、生活費が足りないなど、まずは何がいくら足りないのかを計算してみることが大切です。
 
いつまでに、いくら準備する必要があるか把握し、家族や在学している大学に相談することで一歩前へ進み、学習意欲を持ち続けてください。
 

給付奨学金(家計急変採用)の申し込みの手順は?

家計の急変によって困窮している場合は大学に相談し、「給付奨学金案内(家計急変)」といった給付奨学金(家計急変採用)の申し込みに必要な書類をもらってください(※1)。
 
原則、家計急変の事由が発生して3ヶ月以内に必要な書類を大学に提出して、インターネット(スカラネット)で申し込みます。また、申し込みには独立行政法人日本学生支援機構(以下、日本学生支援機構)へのマイナンバーカードの提出も必要です。
 
申し込み後は大学が日本学生支援機構へ推薦し、選考の結果(大学から通知)、採用になれば奨学金の支給が始まります。
 

経済的に困難な学生が活用可能な支援策は?

 

●高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)

対象者は以下の2つの要件を満たす学生です(※2)。


(1)世帯収入や資産の要件を満たしていること
(2)学ぶ意欲がある学生であること(学力基準)

支援内容は以下のとおりです。


(1)授業料・入学金の免除または減額(入学後3ヶ月以内の期日までの申し込みの場合、入学金の免除・減額が受けられます)
(2)給付型奨学金の支給

被災・家計急変時の給付奨学金の家計基準には、収入基準と資産基準の2つがあります(※3)。
 

【収入基準】

収入基準には第1区分、第2区分、第3区分があり、家計急変後の年間の収入・所得(見込み額)を基に支給額算定基準額が算出されます。
 
下図は参考となる収入・所得の上限額の目安です。給与所得者世帯は年間の収入金額、給与所得者以外の世帯の方は年間の所得金額となります。あくまでも目安のため、実際はこの金額を上回っていても支給の対象となったり、下回っている場合でも対象外と判断されることがあります。
 


出典:独立行政法人日本学生支援機構 「被災・家計急変時の給付奨学金の家計基準」(収入・所得の上限額の目安)
 

出典:独立行政法人日本学生支援機構 「被災・家計急変時の給付奨学金の家計基準」(収入・所得の上限額の目安)
 
給付奨学金の対象となるのか、日本学生支援機構の進学資金シミュレーターで確認したり、奨学金相談センターに相談することもできます。
 

【資産基準】

申し込み時点での学生本人と生計維持者(2人)の資産額の合計が、2000万円未満(生計維持者が1人の場合は1250万円未満)に該当する必要があります。
 

●日本学生支援機構の貸与型奨学金


(1)被災・家計急変時の第一種奨学金(緊急採用)
(2)被災・家計急変時の第二種奨学金(応急採用)

第一種奨学金は無利子、第二種奨学金は有利子での貸与となります。いずれも申込先は在学している大学で、年間を通じて随時、採用を行っています(※4、※5)。
 
有利子の第二種奨学金の場合、申込時に利率の算定方法を以下の2つの方式から選びます(※6)。
 

(1)利率固定方式

貸与終了時に決定した利率が返還終了まで変わりません。

 

(2)利率見直し方式

貸与終了時に決定した利率がおおむね5年ごとに見直され、市場金利の変動に合わせて利率が変わります。

 

●日本学生支援機構の緊急特別無利子貸与型奨学金

新型コロナウイルスの影響でアルバイト収入などが大きく減少した学生を対象に、令和3年度限りで月額2万円から最大12万円(大学院生は15万円)を貸与するものです(※7)。
 
貸与型ですが国の補てんにより実施無利子となり、大学ごとの期限はありますが令和3年度で随時、申し込み可能となっています。
 

●その他の支援策(※8)

・大学独自の授業料等減免など(高等教育の修学支援新制度の対象外の世帯)
授業料の納付猶予や独自の授業料等減免を実施している大学もあります。
・国の教育ローン(日本政策金融公庫)
・緊急小口資金(特例貸付)
・生活福祉貸付金(教育支援資金)
・母子父子寡婦福祉資金貸付金(ひとり親家庭のみ)

 

まとめ

コロナ禍で経済的に困窮している学生は多いと思います。ぜひ給付奨学金などの支援策を利用して、将来の自分のための手だてとしてください。
 
最後にもう1つ、国民年金保険料の納付もままならない状況の場合は、学生納付特例制度があります(※9)。申請することによって在学期間中の保険料の納付が猶予され、10年以内であれば追納することができます。
 
ただし、追納をしないと将来受け取れる年金額が少なくなるので注意してください。
 
出典
(※1)独立行政法人日本学生支援機構 給付奨学金(家計急変)案内等

(※2)文部科学省 大学生の皆さんへ 学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度

(※3)文部科学省 被災・家計急変時の給付奨学金の家計基準

(※4)独立行政法人日本学生支援機構 被災・家計急変時の第一種奨学金(緊急採用)

(※5)独立行政法人日本学生支援機構 被災・家計急変時の第二種奨学金(応急採用)

(※6)独立行政法人日本学生支援機構 第二種奨学金の利率の算定方法の選択

(※7)独立行政法人日本学生支援機構 『緊急特別無利子貸与型奨学金』について

(※8)文部科学省 経済的に困難な学生等が活用可能な支援策(令和3年5月~)

(※9)日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
 
執筆者:上山由紀子
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP(R)認定者

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