更新日: 2021.10.25 子育て
私立高校が無償化になる世帯収入はどのくらい?
私立高校に通う子どもを養育する家庭の負担が大きく軽減されることになりますが、この制度はどの程度の収入がある世帯を対象としているのでしょうか。
私立高校の無償化と世帯年収について見ていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
私立高校の実質無償化とは?
私立高校の実質無償化とは、高校などに通う生徒を対象に授業料の全部または一部を国が支援する「高等学校等就学支援金制度」を拡充し、支援の上限額を引き上げ、私立高校にかかる授業料も実質的に無償となるようしたものです。
この拡充による私立高校の実質無償化は令和2年4月からスタートしており、私立学校に通う子どもがいる子育て世帯が支援されています。
実質無償化の対象となる世帯収入はどれくらい?
私立高校の実質無償化がスタートしたとはいえ、全ての世帯が対象となるわけではありません。
保護者の市町村民税の標準課税額を基に、下記の計算式で判定基準額を算出し、合計額(両親2人の場合は2人分の合計)が15万4500円未満であれば、授業料が実質無償化となる年額で最大39万6000円(全日制私立高校)の就学支援金が受けられます。
判定基準=市町村民税の課税標準額×6%-市町村民税の調整控除の額
※政令指定都市の場合は調整控除の額に3/4を乗じて計算
判定基準額が15万4500円以上、30万4200円未満の場合は、実質無償化とまではなりませんが、支援金の基準額となる年額11万8800円が支給されます。
上記の計算式では、なかなかイメージがわかないこともあるでしょう。そこで、実質無償化の対象となる世帯と収入の目安について確認します。
例えば、両親の一方が働いていて高校生の子どもが2人いる世帯では、世帯年収640万円未満までが実質無償化の目安となり、950万円を超えると基準額の支給対象外となります。
また、両親が共働きで大学生の子こども1人と高校生の子ども1人の世帯の場合、実質無償化となる目安は世帯年収740万円未満まで、1090万円を超えると基準額の支給が受けられなくなります。
実質無償化(39万6000円の支給)となる世帯年収の目安については、下記の表を参考にしてください。
出典:文部科学省 「令和2年4月から私立高校授業料実質無償化がスタート!」
私立高校の実質無償化の適用を受けるには?
私立高校の実質無償化の適用を受けるには、世帯年収の要件を満たしているほか、申請の手続きをする必要があります。新入生であれば4月に、在校生であれば7月に毎年学校から案内があるため、手続きについては学校へ確認し、案内に従って行うようにしてください。
実質無償化について留意したいこと
注意したいのは、私立高校で実質無償化となるのはあくまでも授業料相当についてであり、学校にまつわる全ての費用が無償化となるわけではない点です。例えば、施設整備費や学校の行事にかかる費用などは無償化の対象には含まれていません。
そして、無償化によって支給される就学支援金は保護者に直接支払われるわけではなく、学校に支給され、本来は保護者に請求する授業料と相殺されるということも知っておいてください。
また、申請してから受給資格の認定まである程度の時間を要するため、その間に発生する授業料はいったん自己負担する必要があります。
私立高校が実質無償化となる世帯収入の目安は640万円から740万円
私立高校の授業料が実質無償化の対象となる世帯収入の目安は、家族構成などによって640万円から740万円程度になります。
手続きや対象となる世帯など制度の詳細については、学校からの案内や文部科学省のホームページなどを確認するほか、お住まいの都道府県へご相談ください。
出典
福岡県私学協会 私立高校授業料実質無償化
文部科学省 令和2年4月から私立高校授業料実質無償化がスタート!
文部科学省 高等学校等就学支援金制度
執筆者:柘植輝
行政書士