更新日: 2021.10.28 子育て

家計が急変した場合、年度途中でも申し込みできる奨学金の「家計急変採用」とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

家計が急変した場合、年度途中でも申し込みできる奨学金の「家計急変採用」とは?
大学や短大、高等専門学校など、いわゆる高等教育を受けるために進学し、卒業するためには費用がかかりますが、特に現在は新型コロナウイルスの影響を受けて、学費の支払いに支障が出ているケースもあるかと思います。
 
今回は、家計の急変時に年度の途中からでも利用できる奨学金について解説します。
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奨学金とは?

経済的な理由から進学が困難な学生を支援する奨学金には、主に給付型と呼ばれる返済不要のものと、貸与型と呼ばれる返済が必要なものがあります。
 
国による制度をはじめ、地方自治体や民間団体、大学が独自で実施するものなど、さまざまな奨学金が用意されていますが、中でも比較的間口が広いと考えられるのは、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。
 
では、日本学生支援機構の奨学金について、どのような種類があるのか簡単にまとめます。
 

(1)給付奨学金

大学(学部)、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)で学ぶ学生に向けた就学支援新制度が実施されており、住民税非課税世帯、またはそれに準ずる世帯が対象。
 

(2)貸与奨学金

・第一種奨学金
利子なしで貸与する奨学金。特に優れた学生・生徒で、経済的な理由により就学が著しく困難な人が対象。
 
・第二種奨学金
利子付きで貸与する奨学金。優れた学生・生徒で、経済的な理由により就学が困難な人が対象。
 
給付奨学金の場合、支援の区分に応じて住民税非課税相当、または課税標準額を基に算定した基準額に該当することが必要です。一方、貸与奨学金は所得の上限が設けられています(第二種の方が基準が下がります)。
 
また、いずれの奨学金にも学力基準が設けられており、支援を受けるには所定の基準を満たしている必要があります。
 

家計急変時はどのような奨学金が利用できる?

日本学生支援機構の給付・貸与奨学金には、家計の急変時に対応した以下の採用が用意されており、年間を通じて申請が可能となっています。
 

●給付奨学金の場合 「家計急変採用」
●(貸与奨学金)第一種奨学金の場合 「緊急採用」
●(貸与奨学金)第二種奨学金の場合 「応急採用」

 

「家計急変採用」はどうすれば利用できる?

ここでは、返還不要の給付奨学金の家計急変採用について説明します。
 

1. 申込期間

通常、申し込みは年2回(春、秋)に限られますが、家計急変採用については年間を通じて受け付けています。ただし、家計が急変することになった事由の発生から3ヶ月以内に申し込みをする必要があります。
 

2. 対象となる学校

通っている学校が、国または地方公共団体から支給対象と認められていることも条件です。
 

3. 家計急変と認められる事由

(1)生計維持者の一方(または両方)が死亡
(2)生計維持者の一方(または両方)が事故または病気によって、半年以上就労が困難
(3)生計維持者の一方(または両方)が失職(非自発的失業の場合に限定)
(4)生計維持者が震災、火災、風水害などに被災した場合で、次のいずれかに該当

●上記(1)~(3)のいずれかに該当
●被災により生計維持者の一方(または両方)が生死不明、行方不明、就労困難など、世帯収入を大きく減少させる事由が発生

 
注意すべき点としては、生計維持者の離婚や失踪、定年退職など非自発的失業に該当しない離職、雇用保険に加入していない生計維持者(会社経営者など)の離職は対象外となることです。
 
なお、新型コロナウイルスの影響による家計の急変については、特例的に上記の(4)として扱われます。
 

4. 学業成績

(1)入学後1年を経過していない人(2020年度秋入学含む)で、次のいずれかに該当すること。

●高等学校等の評定平均値が3.5以上、または入学者選抜試験の成績が入学者の上位2分の1に属する
●高等学校卒業程度認定試験の合格者
●将来、社会で自立して活躍する目標を持って学修する意欲が、学修計画書などで確認できる

 

(2)入学後1年以上を経過した人で、次のいずれかに該当すること。

●GPA(平均成績)などが在学する学部等における上位2分の1に属すること
●修得した単位数が標準単位数以上で、かつ将来、社会で自立して活躍する目標を持って学修する意欲が、学修計画書で確認できる

 

5. 収入基準と資産基準

収入基準は課税標準額を基に設定されており、その基準によって支給金額が第I区分~第III区分に分かれます。
 
目安となる年間収入の上限は、家族構成などによっても異なりますが、例えば両親(給与所得者とパート勤務)、本人、高校生と中学生の子という世帯の場合、以下のようにおおむね年間収入550万円前後が基準になります。
 

第I区分 第II区分 第III区分
親(給与所得者) 321万円 395万円 461万円
親(パート) 100万円 100万円 100万円

 
※独立行政法人日本学生支援機構 「給付奨学金案内-家計急変採用-」を基に筆者作成
 
資産基準については、申込日時点での本人と生計維持者の資産の合計額が2000万円以上(生計維持者2名)、または1250万円以上(生計維持者1名)の場合は奨学金の対象外です。ただし、土地・建物など不動産は資産の対象とはなりません。
 
上記の条件を満たした人は学校から必要な書類を受け取り、インターネットで申請(書類は学校側に提出)、選考の結果、採用となれば奨学金が給付されます。
 
なお、給付奨学金は無条件で支給が継続されないという点にも注意が必要です。
 
家計急変採用の場合、3ヶ月ごとに収入基準の判定(適格認定)による見直し、学年末に学業成績などの判定が行われ、これらの適格認定を満たさない場合は奨学金の支給が終了となります。
 

まとめ

以上、日本学生支援機構の奨学金について解説しましたが、家計急変採用については給付奨学金だけでなく、貸与奨学金の第一種、第二種でも実施されているほか、学費減免等の支援制度も用意されています。
 
もし、コロナ禍などで家計が急変した場合、在学中の奨学金の申請を検討してみてはいかがでしょうか。
 
出典
独立行政法人日本学生支援機構 JASSO概要2021
独立行政法人日本学生支援機構 家計急変採用-給付奨学金(返還不要)
独立行政法人日本学生支援機構 給付奨学金案内-家計急変採用-
独立行政法人日本学生支援機構 被災・家計急変時の第一種奨学金(緊急採用)
独立行政法人日本学生支援機構 緊急採用・応急採用奨学金制度のご案内
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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