新政府誕生でわたしたちの生活はどう変わる?
配信日: 2021.11.02
今回は、経済政策や社会保険制度など、気になるポイントについてご紹介します。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
子育て世帯への支援
岸田氏の目指す政策は、岸田氏のホームページに公開されています(※)。
まず、岸田氏は、子育て世代への住居費や教育費支援を掲げています。子育て世帯にとって大きな負担となっているのは住居費や教育費です。これらを支援するために、子育て世帯の所得アップを目的とした、「令和版所得倍増」を目指すとしています。
「令和版所得倍増」は具体的にいうと、所得が多い世帯から少ない世帯へお金の分配機能を強化していくというものです。岸田氏は、「分配なくして次の成長はない」と格差是正を重視しており、「金持ち優遇」との批判に対し、金融所得課税の強化も打ち出しています。
看護師、介護士、保育士などの収入見直し
新型コロナウイルスの影響で、看護師、弁護士、保育士などエッセンシャルワーカーと呼ばれる方々の仕事の負担が大きく増えました。しかし、これらの方々の収入は公的に決まるにもかかわらず大幅な収入アップは行われていません。
そこで、新政府ではエッセンシャルワーカーの方々の仕事内容に対して、収入の大幅アップを目指す「公的価格評価検討委員会(仮称)」を設置する予定です。
勤労者皆社会保険の実現
現在、兼業や副業、正規や非正規など、働き方が多様化しています。岸田氏は、働き方で不公平感が生じないよう、雇用形態にかかわらず働く人が皆加入できる「勤労者皆保険制度」の実現を目標としています。
「勤労者皆保険制度」は、保険料負担者や保険金受取人を年齢で区切るのでなく、負担する能力のある人(収入がある人)には、積極的に支える側に回ってもらう政策となる予定です。
税金について
多くの日本国民が気になっている税金について、岸田氏は新型コロナウイルスの収束まで、しばらくは消費税の引き上げを行わない方針を発表しています。
岸田氏の政策としては、まず新型コロナウイルスの危機を乗り越え、平時の生活を取り戻し、経済を再生することを第一としています。経済が正常化するまでは、消費税の増税はしない方針です。
一方で、所得が多い世帯から少ない世帯へお金の分配機能を強化していく政策を発表しているため、その他の税金が上がる可能性があります。現在のところ、株式譲渡益や配当金などにかかる金融所得課税の増税が検討されているようです。
新内閣が掲げる政策について、本当に実現できるのか、実現までにどのくらい時間がかかるのか、まだ不明瞭な点が多いのは事実です。しかし、新内閣が誕生すると、今後私たちの生活が大きく変わる可能性があります。
普段、あまり政治に関心がない方でも、新内閣の方針のポイントを押さえておくだけで、今後の子育て支援や経済政策など、さまざまなニュースへの理解度がアップするかもしれません。
今回ご紹介した内容を参考にしながら、特に私たちの生活に関わる「お金」に関わる政策について、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。
出典
(※)衆議院議員 岸田文雄 公式サイト
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者