更新日: 2021.11.16 子育て

子どもが大学生になったら知っておきたい! アルバイトと扶養の関係

子どもが大学生になったら知っておきたい! アルバイトと扶養の関係
以前に比べて新型コロナ感染者は減少傾向にありますが、経済はまだ回復途上です。そんな中、どうしても働かなければならない状況の学生もいらっしゃるでしょう。
 
大学生や高校生のアルバイトで気をつけなければいけないのは、「稼ぎすぎ」です。年収が103万円を1円でも超えると、自分の所得税のみでなく、親など扶養者の税負担も増えて世帯全体の手取り額が減ってしまうことがあります。
 
ここでは、アルバイトで損なく稼ぎたいと思っている人のために、税金の仕組みや、稼ぎすぎるとどのような問題が出てくるかについてお伝えします。
 
「扶養家族」や「扶養控除」という言葉を聞いたことはありませんか? 実はアルバイトをしている人、特に学生のみなさんにとってはとても大事な知識なのです。
 
今回はアルバイトと「扶養親族」、そして「扶養控除」の関係についてご紹介していきます。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

そもそも扶養・扶養親族・扶養控除って何?

厚生年金の第3号被保険者といった社会保険でも「扶養」という言葉を使いますが、今回は、税務上の扶養についてのみのお話です。
 
扶養控除とは、納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられる仕組みで、その扶養親族とはその年の12月31日の現況で、次の4つの要件のすべてにあてはまる人です。

1.配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
2.納税者と生計を一にしていること。
3.年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。
 (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
4.青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと。

また、2.の「生計を一にする」ですが、これは必ずしも同居を要件とするものではありません。例えば、勤務、修学、療養等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
 
また、控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の人をさしますので、高校生や大学生は該当します。
 

扶養控除とアルバイトはどんな関係があるの?

扶養親族の定義のうち、学生のアルバイトとの兼ね合いが出てくるのは、「3.年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)」の箇所です。
 
すなわち、学生のアルバイトで給与が年間103万円(約8.5万円)を超えると扶養家族から外れることになります。そうなった場合、今まで親の所得から控除されていた当人分の扶養控除分の税金を親が支払うことになりますし、住民税の問題も出てきます。そうすることで家庭を基準とした場合の納税額が上がってしまいます。
 

学生の側だけの問題であれば勤労学生控除もある

しかし、学費や生活費をまかなうためにアルバイトをしなければいけない学生はたくさんいます。この働く学生のための控除が「勤労学生控除」です。
 
学生本人が扶養親族からはずれた場合でも、年間収入130万円までは所得税が控除されます。また、高校生や大学生だけでなく、学校教育法に規定されている専門学校や職業訓練校等の学生でも勤労学生控除が受けられます。ただし、控除を受けるためには確定申告をする必要があります。
 

親子間のコミュニケーションが家庭内の可処分所得を増やすポイント

学生を雇っている雇用主の中には、扶養から外れそうな金額になれば教えてくれる場合もあるかもしれませんが、一義的には学生自身が年間収入をしっかりと把握しておくことで、親に必要以上の納税をさせなくて済みます。
 
どれくらい稼ぐかは人それぞれですし、このコロナ禍で1円でも多く稼がなければいけない場合もあるかもしれませんが、ご自身も親も損をしたくないと考えている人は103万円までに抑えるほうが得な場合もあります。その際は親とどうするのが良いのか相談してみるのも手ですね。
 
特に親元を離れてなかなか話す機会がない学生にとって、親子でウィン-ウィンの話でコミュニケーションがとれる良い機会ではないでしょうか。
 
出典
国税庁「No.1180 扶養控除」
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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