更新日: 2021.11.29 その他暮らし

身近な人が亡くなったとき、いつまでに何をするの?いざというときのために知っておきたい手続きの流れ

身近な人が亡くなったとき、いつまでに何をするの?いざというときのために知っておきたい手続きの流れ
身近な人が亡くなったとき、遺族は役所や金融機関などへの届け出や手続きについても、葬儀などと並行して次々に行うことになります。これらの手続きの内容や期限について、おおまかにでも知っておけば、悲しみや混乱の中でも少しは余裕を持って進めることができるかもしれません。
 
そこで今回は、身近な人が亡くなった日からやるべきことを時系列で整理し、お伝えしたいと思います。
藤丸史果

執筆者:藤丸史果(ふじまる あやか)

ファイナンシャルプランナー

相続、投資信託など、身近なファイナンスを中心に活動している。

すぐに行う必要がある手続き

・死亡診断書(死体検案書)の手配
病院や自宅で亡くなった場合、医師から死亡診断書を交付してもらいます。不慮の事故などの場合には、警察に連絡して監察医や医師から死体検案書を交付してもらう形になります。どちらも、通常は亡くなった日か翌日に交付してもらいます。
 

7日以内に行う手続き

・死亡届、埋火葬許可申請書
死亡日から7日以内に提出する必要があるのが「死亡届」です。提出先は(1)故人の死亡地、(2)故人の本籍地、(3)届け出をする人の所在地、いずれかの市区町村役場です。
 
この死亡届と同時に、火葬を行うための「火葬許可申請書」を提出して交付されるのが「火葬許可証」で、これは火葬場に提出します。火葬後に火葬済みの印が押されて返却されたものが「埋葬許可証」となり、納骨時に墓地に提出します。
 
なお、火葬は原則として死後24時間が経過しないと行えず、また多くの火葬場は友引の日は休業となるので、葬儀日程を調整する際に考慮しなくてはなりません。こういった手続きは葬儀社が代行することもあります。
 

14日以内に行う手続き

葬儀に関することが終わるのは死亡後7日程度ですが、必ず行わなければならない事務手続きの多くは14日以内を期限としています。
 

【10日以内】

年金の受給停止
故人が年金を受け取っていた場合、国民年金は亡くなってから14日以内、厚生年金は10日以内に「年金受給権者死亡届(報告書)」を提出しなくてはなりません。提出先は年金事務所や街角の年金相談センターです。
 
日本年金機構にマイナンバーが収録されていた人は、原則、この手続きを省略することができますが、収録されていない場合は死後も年金が支給され続けることもあるので、速やかに手続きしましょう。
 
なお、年金支給は2ヶ月に一度ですので、亡くなったタイミングにより、まだ支払われていない年金については「未支給年金・未支払給付金請求書」を提出することで、故人と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。
 

【14日以内】

(1)健康保険・介護保険の資格損失
故人が加入していた健康保険が国民健康保険であれば、自治体によっては死亡届で手続きが行われるところもありますが、そうでない場合は遺族が資格喪失届を出します。届け出先は市区町村役場です。
 
健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぼ)の健康保険に加入していた場合は、事業主が手続きを行います。
 
(2)世帯主変更
世帯主変更届(住民異動届)は、15歳以上の遺族が2人以上いる場合に提出が必要になります。
 

【14日程度】

公共料金、サブスクリプションなどの解約や名義変更
電気・ガス・水道などの公共料金、NHK受信料、固定電話、携帯電話、インターネット契約などの名義変更や解約などの手続きは、期限が決まっているわけではありませんが、なるべく早めに手続きしたいところです。
 
クレジットカードは年会費が生じることもありますし、サブスクリプションなど定額制サービスの料金が自動引き落としになっていることもあります。通帳や利用明細書などから確認して、早めに手続きしましょう。
 
最近は、「故人がサブスクリプションに加入していたことを知らず、会費を払い続けてしまった」、あるいは「パスワードや暗証番号が不明で解約できない」といったトラブルも増えています。パスワードなどを調べてくれる業者もあるようですが、まずは消費者センターに相談してみましょう。
 

相続の手続きは3~10ヶ月以内

遺産相続の手続きも進めていかなくてはならないのが、この時期です。遺言書の有無や、相続人、相続財産の内容によって手続きも変わってきます。
 

【3ヶ月以内】

(1)遺言書の確認
遺言書は、遺産分割に大きな影響を及ぼすものです。故人から遺言書の存在について聞いていなければ、まずは自宅などに「自筆証書遺言」がないか探してみましょう。
 
さらに、最寄りの公証役場で「公正証書遺言」が作成されていないか、法務局で「自筆証書遺言」が保管されていないかどうかを確認します。
 
(2)相続人や相続財産の特定
被相続人、つまり故人の戸籍を出生からさかのぼって、誰が相続人であるかを確認します。
 
また、相続財産を確認する際には、銀行の通帳、生命保険の証券、金融機関からの通知などを手掛かりにしましょう。そして「残高証明書」、「固定資産税評価証明書」などの申請を行います。さらに、借金などのマイナスの財産も忘れずに確認しましょう。
 
(3)相続放棄と限定承認
相続人と相続財産が特定したら、相続放棄、あるいは限定承認を選択する人がいるか確認し、その場合は3ヶ月以内に家庭裁判所に申述をしなければなりません。限定承認の場合は相続人全員で申述を行うことになるため、期限については特に注意が必要です。
 

【4ヶ月以内】

準確定申告
故人が自営業者、年間2000万円を超える給与所得があったなど、条件に当てはまる場合は、相続人が代わりに「準確定申告」を税務署に行う必要があります。
 

【10ヶ月以内】

(1)遺産分割・相続財産の名義変更や移転登記
相続財産が確定した際に、遺言書があればその内容が優先となります。遺言書がなければ、相続人全員でどのように分割するか協議して決定し、「遺産分割協議書」を作成しますが、もしまとまらなければ家庭裁判所に調停を申し立てることができます。
 
なお、不動産を相続した場合、これまで任意とされていた「相続登記」が今後は義務化されることになりました。これは2021年4月に改正法が成立し、2024年に施行予定となっていますので注意が必要です。
 
(2)相続税の申告・納付
相続税については、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内が申告と納付の期限となっています。納税額がまったくなければ原則不要ですが、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例を受ける場合には申告が必要になりますので確認しましょう。
 

まとめ

今回は、身近な人が亡くなった際の手続きについて、主なものを時系列でお伝えしました。
 
特に期限の定められている手続きについては、慌ただしさの中で忘れてしまわないよう、優先順位をつけて進めたいところです。手続きしなければもらえないお金、忘れてしまうと無駄に支払うことになるお金についても、しっかりと確認しておきましょう。
 
突然の不幸は、誰にでも起こり得ます。日ごろから家族や親族とコミュニケーションをとって後悔のないようにするとともに、もしもに備えて各種手続きに必要なものや相続について、よく話し合っておくことも大切だと思います。
 
執筆者:藤丸史果
ファイナンシャルプランナー

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