更新日: 2022.01.04 子育て
3歳差の兄弟姉妹。ダブル受験は1年でどのくらいの出費になる?
実際にダブル受験をする場合には、どれくらいのお金が必要になるのでしょうか。また、注意すべきことは、どのようなことなのでしょうか。
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
山場となるのは、中学・高校受験、高校・大学受験のタイミング
3歳差の兄弟姉妹の場合、最初の出費の山場となるのが下の子の中学受験と上の子の高校受験です。その後、大学進学を希望する場合はさらに費用がかかります。
※大学の初年度データは私立、国立を問わない
(生命保険文化センター「ライフイベントから見る生活設計/中学生にかかる教育費はどれくらい?・高校生にかかる教育費はどれくらい?・大学受験から入学までにかかる費用はどれくらい?」より筆者作成)
上の表を見ると、私立の中学校へ進学する場合の学習費の1年次の学費は、平均で162万4661円。公立へ進学した場合は、45万6582円となっています。
私立の高校へ進学する場合の学習費の1年次の学費は、平均で116万16円。公立へ進学した場合は、50万7980円です。
大学へ進学する場合は、進学する地域、学部によっても大きく違いが出てきます。例えば、自宅外通学をする場合の受験から入学までにかかる費用は、220万633円。自宅通学する場合では、158万3133円です。
これらを含めた場合、中高を私立で進学する場合は、初年度にかかる学習費は278万4677円。私立の高校、大学を自宅外通学した場合の学習費は336万649円となります。
受験をする場合、その他にも塾代、受験料がかかります。このデータでは、大学受験のための受験費用のデータのみ含まれますが、中学校、高校受験の費用は含まれていません。
また、学習塾に通う場合の費用は、受講する科目数によって費用は変わりますが、1年間の平均額は、私立の小学校が33.7万円、公立の小学校が13.6万円、私立の中学校が25.4万円、公立の中学校が29.3万円、私立の高等学校が33.8万円、公立の高等学校が28.3万円です(出典:生命保険文化センター「ライフイベントから見る生活設計/学習塾にかけている費用はどれくらい?」)。
これらのデータを踏まえると、少なくともダブル受験を想定した場合では、少なくとも受験から初年度の学習費総額として300万円は準備しておくべきだと思われます。
子どもの進学先にかかる費用を知っておく
ここまでは、平均値としての学習費を見てきました。ただし、進学する学校によっても入学金や校納金(PTA費、進路指導費、生徒会費、部活動などのこと)に差があります。子どもが進学を希望する学校ではいくらかかるのかをあらかじめ知っておき、準備しておくことが必要です。
塾の費用も平均額のため、低めに計上されています。受験直前の1年間では、少なくとも月額10万円程度を予算として組み入れておくようにしてください。
また、芸術系の大学へ進学する場合には、一般の塾代の他、専門科目のレッスンも行う必要があります。
例えば芸術系の大学でバイオリンを専攻したいと考えている場合、レッスン料だけでも月額10万~15万円。人によっては飛行機でレッスンに通うこともあるようで、交通費だけでも10万円近くかかるようです。あわせて楽器そのものもそれなりの楽器を準備しなければならず、例えばバイオリンの相場は300万~500万円、弓100万円程度のものを調達するのが一般的とのこと(バイオリン講師の方に取材)。
もし、芸術系の大学でバイオリンを専攻したいと希望している場合は、楽器の準備で600万円、レッスン費として180万円、塾代120万円、合計で900万円を上乗せして準備しておく可能性も考える必要があるかもしれません。
学資保険に加入するなら、下の子の保障を厚めにする
ほとんどの家庭では、子どもの教育費のために何とかお金を調達しようと、教育費として準備した以外の預金を切り崩して準備をします。ただし、このような“荒技”が使えるのは、上の子のときのみ。下の子のときには、すでに預金を切り崩してしまっており、準備するお金がないことがあります。
とはいえ、子どもに勉強や将来の夢を諦めてはほしくはないですよね?
そのような場合を回避する方法として、教育費の準備は、子どもごとに分けて管理をすることです。不足する場合には、切り崩す以外に方法はないのか、教育ローンを活用するのか、など考えてください。
また、学資保険に加入する場合は、お金が不足しがちな下の子の保障を厚めにしておき、万一、切り崩す預金がない場合でも、お金が用意できるよう、準備しておくことも大切です。くれぐれも、特定の子どもにだけ借金を負担させることは、避けてください。公平に向き合うことをお忘れなく。
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト