更新日: 2022.01.07 子育て

見直される児童手当。児童手当特例給付の廃止で影響を受ける年収はいくら?

執筆者 : 宿輪德幸

見直される児童手当。児童手当特例給付の廃止で影響を受ける年収はいくら?
少子高齢化社会の問題解決のためには、子どもを育てやすい環境を整えることが重要になります。
 
現在の児童手当には所得制限があり、限度額を超えた方には不支給となる代わりに「児童手当特例給付」が支給されます。児童手当か児童手当特例給付を受給できるのですが、2022年10月からは、どちらも受けられなくなる方が発生します。
 
宿輪德幸

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

CFP(R)認定者、行政書士

宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
相続専門の行政書士、FP事務所です。書類の作成だけでなく、FPの知識を生かしトータルなアドバイスをご提供。特に資産活用、相続トラブル予防のため積極的に「民事信託(家族信託)」を取り扱い、長崎県では先駆的存在となっている。
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児童手当

児童手当は、子どもの健全な育成および資質の向上のために保護者が受け取る手当です。
 
1972年に創設された当初の支給額は月額3000円で、支給対象は5歳未満の第3子以降でしたが、改正を重ねて支給対象や支給金額が拡大されてきました。2010年に「子ども手当」と名称が変更されましたが、現在は「児童手当」が正式名称です。
 
児童手当の内容は以下のとおりです。
 
●支給対象:中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方。
 
●支給金額

児童の年齢 児童手当の額(一人当たり月額)
3歳未満 一律1万5000円
3歳以上
小学校終了前
1万円
※第3子以降は1万5000円
中学校 一律1万円

※内閣府 「児童手当制度のご案内」より筆者作成
※「第3子以降」とは、高校卒業まで(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の養育している児童のうち、3番目以降の子をいいます。
 
●所得制限

扶養親族等の数 所得制限限度額 収入額の目安
0人
(前年末に児童が生まれていない場合 など)
622万円 833万3000円
1人
(児童1人の場合 など)
660万円 875万6000円
2人
(児童1人+年収103万円以下の配偶者の場合 など)
698万円 917万8000円
3人
(児童2人+年収103万円以下の配偶者の場合 など)
736万円 960万円
4人
(児童3人+年収103万円以下の配偶者の場合 など)
774万円 1002万円
5人
(児童4人+年収103万円以下の配偶者の場合 など)
812万円 1040万円

※内閣府 「児童手当制度のご案内」より筆者作成
 
第3子以降の加算が無い場合、1人当たりの総支給額は198万円(1万5000円×36月+1万円×144月)で、1972年当初と比較するとずいぶん充実された制度になっています。これを教育費としてコツコツ貯蓄しているご家庭もあることでしょう。
 
児童手当の支給を受けるには申請が必要ですが、通常は出生届と一緒に申請するため、もらい忘れは少ないようです。ただし、引っ越しをした場合には手続きが必要となるので忘れないように注意してください。
 

児童手当特例給付

所得が上記表(所得制限)の額以上の場合、特例給付(児童1人当たり月額一律5000円)が支給されます。
 
現在、特例給付には所得の制限は無いのですが、2022年10月から「本人と配偶者と子ども2人のケースで年収が1200万円を超える」場合は、特別給付を受けることができなくなります。年収は世帯合計ではなく、両親のうち収入の高い方で判定されます。

(例1)夫婦と子2人、夫の年収1300万円、妻の年収100万円
→児童手当特例給付は不支給。
 
(例2)夫婦と子2人、夫の年収900万円、妻の年収1100万円
→児童手当特例給付は支給。

年収1200万円を超えない方については、児童手当・児童手当特例給付はこれまでどおり支給となります。
 
なお、具体的な所得制限については、今後制定される児童手当法施行令で明らかになりますので、廃止対象の収入に近い方は情報が公開され次第、確認してください(所得制限は前年の所得で判定されます)。
 
内閣府の資料「子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案の概要」によると、この見直しにより影響を受ける児童は61万人(全体の4%)で、財政効果は370億円と見込まれています。
 
少子高齢化による社会保障費急増のため、財源を確保する必要があるのは明白ですが、370億円は子育て支援のために有効に活用してもらいたいものです。
 
出典
内閣府 児童手当制度のご案内
内閣府 子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案の概要
 
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士

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