更新日: 2022.01.07 子育て
私立高校は授業料以外でも公立高校よりお金がかかる? 授業料以外の費用について
私立高校に進学した場合、授業料以外にどのような費用がかかるのか、平成30年度の学習費調査から調べてみました。
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
高等学校の学習費総額
文部科学省が公表している「子供の学習費調査」(平成30年度)の結果から、公立高校と私立高校の1年間の学習費総額を比べてみると、私立高校は公立高校の2.1倍の学費がかかることが分かります。
●学習費総額の比較
学習費総額 | 公立高校 45万7380円 |
私立高校 96万9911円 |
---|---|---|
学校教育費 | 28万487円 | 71万9051円 |
学校外活動費 | 17万6893円 | 25万860円 |
※文部科学省 「結果の概要-平成30年度子供の学習費調査」より筆者作成
何にいくらかかるか、学校教育費と学校外活動費の内訳も確認しておきましょう。
学校教育費の内訳
学校教育費は、公立高校が約28万円、私立高校が約72万円です。内訳を比較すると、その全ての項目で公立高校より私立高校が高くなっています。
特に差が大きい授業料(※)以外では、私立高校の「学校納付金等」が公立高校と比較して4倍近い差があります。私立高校では、入学検定料や入学金が高くなることや、冷暖房費、保健衛生費などの学校の施設設備を維持するための費用を納めることなどから、こうした結果となっているようです。
(※)令和2年4月から私立高校の授業料の実質無償化制度が導入されていますが、以下の表は制度導入前の平成30年度の調査結果となります。
●学校教育費の内訳の比較
学校教育費 | 公立高校 28万487円 |
私立高校 71万9051円 |
---|---|---|
・授業料 | 2万5378円 | 23万26円 |
・修学旅行・遠足・見学費 | 3万5579円 | 5万3999円 |
・学校納付金等 | 5万5360円 | 21万5999円 |
・図書・学用品・実習材料等 | 4万1258円 | 4万2675円 |
・教科外活動費 | 4万427円 | 5万6224円 |
・進学関係費 | 7万9432円 | 11万4043円 |
・その他 | 3053円 | 6085円 |
※文部科学省 「結果の概要-平成30年度子供の学習費調査」より筆者作成
学校外活動費の内訳
学校外活動費は、公立高校が約18万円、私立高校が約25万円です。内訳では学校教育費の納付金等ほど大きな差はありませんが(平成30年度の調査結果のため授業料は除く)、こちらも全ての項目で私立高校の方が高くなっています。
学校外活動費のうち「補助学習費」は、塾代や家庭教師代など進級や進学のための支出であり、公立と私立のどちらの高校に進学しても一定程度の金額は必要となります。
また、補助学習費と比較すると少額にはなるものの、体験活動や芸術文化活動、スポーツやレクリエーション活動などにかかる「その他の学校外活動費」について、私立高校は公立高校の2倍近くとなっています。
●学校外活動費の内訳の比較
学校外活動費 | 公立高校 17万6893円 |
私立高校 25万860円 |
---|---|---|
補助学習費 | 14万7875円 | 19万3945円 |
・家庭内学習費 | 1万6769円 | 2万7205円 |
・家庭教師費等 | 1万2836円 | 2万20円 |
・学習塾費 | 10万6884円 | 12万9313円 |
・その他 | 1万1386円 | 1万7407円 |
その他の学校外活動費 | 2万9018円 | 5万6915円 |
・体験活動・地域活動 | 2140円 | 6098円 |
・芸術文化活動 | 8507円 | 1万4696円 |
・スポーツ・レクリエーション活動 | 5784円 | 1万5101円 |
・教養・その他 | 1万2587円 | 2万1120円 |
※文部科学省 「結果の概要-平成30年度子供の学習費調査」より筆者作成
まとめ
学習費調査は、保護者が支出した子ども1人当たりの学校教育および学校外活動の年間経費を、保護者調査・学校調査の内容に基づいて推計したものであり、授業料や学校納付金は学校によって、学校外活動費は学校や保護者の考え方によって金額は異なってきます。
子どもが私立高校への進学を希望した場合、「私立はお金がかかるから無理」と否定する前に、学習費の総額がどのくらいかかるのか、志望する高校や中学の進路担当の先生などに確認をし、進学後の家計負担について把握しておくことが大切です。
出典
文部科学省 「結果の概要-平成30年度子供の学習費調査」
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント