低所得者が頼れる教育支援制度とは?
配信日: 2022.01.11
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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低所得者とは?
低所得者とはどのくらいの収入がある人なのでしょうか。厚生労働省によると、「住民税非課税世帯」が低所得者であると位置づけていますが、住民税非課税世帯とは、どのくらいの収入なのでしょう。
■住民税が非課税となる要件
住民税には収入に関係なく課税される「均等割」と、所得に応じて課税される「所得割」があります。そして、住民税非課税となるには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
1.生活保護法による生活扶助を受けている
2.障害者・未成年者・寡婦またはひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)
3.前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下
ちなみに3の額は住んでいる自治体によって異なりますが、東京23区内の場合の場合、以下のようになっています。
・同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
「35万円×(本人・同一生計配偶者および扶養親族の合計人数)+31万円」以下
・単身世帯の場合
45万円以下
高等教育の修学支援新制度
低所得者に設けられている教育支援制度の1つが「高等教育の修学支援新制度」です。この制度を利用することにより、給付型奨学金の支給および授業料等の免除または減額を受けることができます。
■対象者
この制度を受けることができる人とは、以下に当てはまる学生です。
・世帯収入および資産要件を満たしている人
・学ぶ意欲がある学生
■手続方法
給付型奨学金:年2回、毎年の春と秋に、在学中の高等学校もしくは大学などを通じて日本学生支援機構へ申し込む
授業料等減免:入学時に進学先の大学などに申し込む
■給付金額
給付金額は、住民税非課税世帯か、もしくはそれに準ずる世帯かによって異なります。住民税非課税世帯の場合は以下のとおりです。
ちなみに、住民税非課税世帯に準ずる世帯の場合、この金額の3分の2もしくは3分の1が支給されます。
生活福祉資金貸付制度(教育支援資金)
また、前述した「高等教育の修学支援新制度」以外にも、低所得世帯の方が大学などに修学するために必要な経費を貸し付けする制度が設けられています。「生活福祉資金貸付制度」のうち教育支援資金がそれに該当します。
■対象者
住民税非課税世帯もしくはそれに準ずる世帯で、教育のために必要な資金を他から借り受けることが困難な方。
■貸付金額
高校:月3万5000円以内
高等専門学校:月6万円以内
短期大学:月6万円以内
大学:月6万5000円以内
特に必要と認める場合は、上の各上限額の1.5倍まで借りることができます。無利子で借りることができ、返済期間は据置期間経過後20年間となっています。また、保証人は不要となっていますが、上限額の1.5倍まで借りる場合は、世帯内で連帯借受人が必要です。
■申し込み方法
各自治体の社会福祉協議会に申し込みます。
まとめ
低所得者が利用できる教育支援制度には、上に挙げた国の制度のほか、民間企業が提供している制度も利用できます。
給付型奨学金は返還不要の奨学金ですが、生活福祉資金は貸し付けですので、借りた後は必ず返済する必要があります。ただ、返済期間も20年と長期に設定されており無利子で借りることができますので、無理なく返済できるのではないでしょうか。
また、独自の奨学金制度や授業料減免制度を設けている学校もありますので、進学先を決める際にはその学校が独自の制度を用意していないかどうかを確認することも大切です。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で収入が激減し、教育費用の捻出ができないと悩んでいる方もいらっしゃると思います。もし、収入減により、住民税非課税世帯もしくはそれに準ずる世帯になった場合は、これらの支援を受けられる可能性がありますので、詳細を確認しながら利用してみましょう。
出典
(※1)文部科学省「高等教育の修学支援新制度」
(※2)厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員