更新日: 2022.01.18 その他暮らし

様々なガン検診の受診

様々なガン検診の受診
ガンは、日本人の死亡原因上位の病気です。かつてはガン=死というイメージがありましたが、現在は早期発見・早期治療で治る病気になりつつあります。
 
早期発見のためには検診が欠かせませんが、さまざまなガン検診を選べる時代であるとは言え、費用や手間の問題から受診を控えてしまうこともあります。どのようにガン検診を選び、受診すれば、ガンの早期発見につなげられるか考えてみましょう。
西村和敏

執筆者:西村和敏(にしむらかずとし)

ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
宅地建物取引士

くらしとお金のFP相談センター代表 
https://fplifewv.com/
国家公務員や東京でのFP関連業の実務経験を積み2005年に出身地の宮城県仙台市で起業。

2010年から現在まで東北放送ラジオにてお金やライフプランについてのレギュラーコーナー出演中。

全国経済誌「週刊ダイヤモンド」の保険特集に毎年協力。独立起業後に住宅ローンを借りて、土地を購入しマイホームを建てた経験から、相談者にリアルなマイホーム購入・住宅ローンについてのアドバイスも行える。本当に安心して購入できるマイホーム予算についてアドバイス多数。

東日本大震災以前から防災・減災の観点からのマイホーム購入アドバイスを行い、相談者の減災につなげる。

自治体や企業等からのライフプラン研修の講師を務める際にはクイズ・ゲームを取り入れ受講者に楽しんでいただくことが得意。

2児の父であり、仙台で毎年「子育てママの家計塾」を開催して子育て中の家庭に実体験から育児の悩みに答える。

学習塾にほとんど通わせずに自身の子どもの進学校合格へ導いた経験から「お金をかけない子育て」についてもアドバイスを行っている。

基本は年に一度の健康診断

日本人は原則健康保険に加入していて、働いている方の場合は、勤務先が費用を負担して、労働安全衛生法に定められた健康診断の受診を勧められます。
 
自営業や退職後の方の場合は、年に一度の健康診断の受診を勧められることが多いです。
 
ただ、自発的な受診となるため、費用や手間の問題から受診を控えてしまう方もいらっしゃると思いますが、数千円程度の費用で毎年の自分の健康状態を最低限チェックすることは大切ですから、きちんと受診することが望ましいです。
 
検査項目は、年齢や性別、業種、また自身の希望によって追加されることがあります。例えば、腹部のエコー検査、便潜血検査、腫瘍マーカー、ピロリ菌検査などがあります。これらは費用負担も検査時の身体への負担も軽く受診しやすい検査で、ガンの早期発見につながる検査でもあります。
 
なお、胃のエックス線検査も多くの健康診断で実施されていますが、バリウムを飲むことへの負担を感じる方もいるでしょう。そのような場合は、胃の内視鏡(胃カメラ)の検査を定期的に受けるという選択もあります。検査への負担が少なければ、健康診断はより受けやすくなるのではないでしょうか。
 

新型コロナウイルス感染拡大時の自宅健診(検診)

新型コロナウイルスにより、医療機関がひっ迫し、密集を避けるため人数制限が設けられるなど健康診断を病院で受けることのハードルが上がりました。そのような環境下で、自分や家族の健康と命を守り、医療機関の負担も軽減する選択として、自宅で受けられる健康診断=自宅健診が注目されました。
 
自宅にいながら、自分自身で採血や採尿をして検査機関に郵送することによって、ガンなどの重大な病気のリスクをチェックできる方法です。
 

弱点と利点を理解して受診

自宅健診は、感染リスクが心配な際に、人混みを移動して病院を行き来しての健康診断を避けたい方が健康チェックできる一つの方法です。
 
しかし、自宅健診はわずかな血液や尿で病気の有無を診断する方法で、まだまだ改良が進められており、検査機関や検査結果について、どこまで信用できるかをよく調べる必要があります。
 
自宅健診はあくまで「スクリーニング検査」であり、ガン等の病気ではない人が病気の可能性が高いという結果が出る、反対に通常の健康診断であれば発見できたであろう病気を見落とす可能性もあるものです。自宅健診を選択する場合は、この認識を持ちながら検査方法・検査機関を選ぶようにしましょう。
 
また、新型コロナウイルスがおさまったとしても既往症やアレルギー等の体質がある人には、薬剤使用制限があるため内視鏡カメラ等による検査を受けるのが困難な方もいます。そういった方向けに、より精度と信用度の高い、簡易な検査が自宅・病院で受けられるような新しい技術の研究や医学の進歩に期待したいところです。
 

費用が高いか安いかは結果次第

筆者自身、2021年夏の新型コロナウイルス第5波の最中に自宅健診をしてみました。費用は1万円強で、さまざまなガンの兆候(スクリーニング検査)を調べるものでした。
 
スクリーニング検査の結果は「低リスク」ということで安心していましたが、その後、感染状況が落ち着いたタイミングで病院での健康診断を受診したところ、便潜血検査が陽性となりました。大腸内視鏡検査での精密検査を勧められましたが、病院が混んでいたのか検査は1ヶ月半以上先となりました。
 
便潜血検査が陽性だと大腸ガンの可能性もあるため、「もし大腸ガンだったらどうしよう。」という不安な気持ちを1ヶ月以上かかえてしまうところでした。しかし、先日受診したスクリーニング検査でのガンの兆候は「低リスク」という結果があったため、不安は軽減されました。そして、精密検査の結果、大腸ガンと思われるものはありませんでした。
 
なお、費用についてですが、約3年前に自ら希望して大腸内視鏡検査を受診したときは、何も見つからなかったため数万円かかりました。
 
今回は病変があったため、8000円程度(保険適用で3割負担)でした。朝の準備から約6時間という時間の負担はありましたが、大腸ガンリスクはほぼないという結果に一安心となりました。
 
最近はホームページなどに検査料金を明示しているクリニックも増えていますので、検査を考えている方は調べてみるとよいでしょう。
 

病院と自宅での健康診断を併用しつつ、短いサイクルで検診の意識を

私の場合は、1万円強の自宅健診のスクリーニング検査は意味がなかったと考えることもできますが、大腸ガン以外のガンは「低リスク」という結果により安心感を得られました。
 
もちろん、より正確性の高い診断のためには、PET検査等のより本格的なガン検診もありますが、費用は高額になります。金銭的な余裕があり、時間と体質的に問題がなければ、そういった検査を毎年受けるという選択もあるでしょう。
 
そこまでの負担は難しいということであれば、年に一度の病院での健康診断を受診しつつ、自宅健診などの併用を検討して、ガン等の早期発見への意識を持っていましょう。
 
執筆者:西村和敏
ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
宅地建物取引士

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