更新日: 2022.01.25 暮らし

会社が倒産しても、給料を諦めない! 未払賃金立替払制度

執筆者 : 大泉稔

会社が倒産しても、給料を諦めない! 未払賃金立替払制度
依然としてコロナ禍が続いています。報道等によると、職を失ってしまう方も多くおられるようです。職を失った理由が勤め先の倒産等の場合、もし受け取っていない給料等があれば「未払賃金立替払制度」を利用できる可能性があります。
 
未払賃金立替払制度には、使用者(会社)と労働者(雇われている人)のそれぞれに条件があります。その条件とはどのようなものでしょうか?
 
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

未払賃金立替払制度を利用するための使用者(会社)の条件

まず、使用者(会社)の条件を見てみましょう。大きく分けて、「事業活動」と「倒産」の2つの条件があります。
 
■事業活動の条件
1年以上事業活動を行っていたこと
 
■倒産の条件
倒産の条件は、さらに以下の2つの場合があります。
 
イ.法律上の倒産
(1.破産、2.特別清算、3.民事再生、4.会社更生の場合)
この場合には、破産管財人等(会社の倒産の手続きをしている弁護士)に倒産の事実等を証明してもらわなくてはなりません。
 
ロ.事実上の倒産(中小企業)
(事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払能力がない場合)
この場合は、労働基準監督署に認定の申請をしなくてはなりません。
 

未払賃金立替払制度を利用するための労働者(雇われている人)の条件

続いて、労働者(雇われている人)の条件を見てみましょう。大きく分けて「時期」と「賃金」の2つの条件があります。
 
■時期の条件
「時期」の条件は、さらに「退職日」と「申請日」の2つに分けられます。まず、「退職日」の条件からみましょう。
 
以下のいずれかの日を起点日として、起点日の6ヶ月前から、起点日から2年目までの間に退職した方が対象となります。起点日は以下の2つのいずれかです。


<先述の使用者の条件イ.について裁判所に申し立てを行った日>

<先述の使用者の条件ロ.について労働基準監督署に申し立てを行った日>

例えば、起点日が2021年2月10日だったとすると、6ヶ月前は2020年8月10日、また2年目とは2023年2月10日、ということになります。
 
続いて「申請日」の条件です。申請は、以下のいずれかを起算日として、2年以内に行わなくてはなりません。


<先述の使用者の条件イ.について破産管財人等に倒産の事実等を証明してもらった日>

<先述の使用者の条件ロ.について労働基準監督署に認定日の翌日>

■賃金の条件
「賃金」の条件は、さらに「時期」と「額」の2つに分けられます。まずは、「時期」の条件から見ましょう。
 
時期の条件とは、未払賃金立替払制度の対象となる時期のことです。労働者が退職した日の6ヶ月前から立替払請求日の前日までに、支払期日が到来している給料と退職金等ですが、ボーナスは対象外です。
 
例えば、退職日が2021年2月10日だった場合、2020年8月10日が退職した日の6ヶ月前に当たります。続いて「額」の条件です。受け取っていない給料と退職金の総額が2万円未満の場合には、残念ですが対象外です。
 
また、受け取っていない給料と退職金のうち、80%は、独立行政法人労働者健康安全機構がその分の賃金債権を代位取得し、本来の支払責任者である使用者に求償します。退職した時の年齢に応じて88万円~296万円の範囲で上限の額が設けられています。
 

まとめに代えて

未払賃金立替払制度の請求は、独立行政法人労働者健康安全機構に行うことになっていますが、まずは最寄りの労働基準監督署に相談に行ったほうがよいでしょう。未払い賃金の立替事業の2020年度の実績は、立替払を行った企業数1791件、支給者数2万3684人となっています。
 
なお、正規雇用や非正規雇用の区別はありません。お勤め先が突然倒産してしまい、働いた分の給料をもらっていない場合、泣き寝入りすることなく、まずは労働基準監督署に相談しましょう。
 
なお、雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)は、未払い賃金の立替事業とはまったく別次元のお話です。雇用保険の基本手当はハローワーク(公共職業安定所)に相談しましょう。
 
出典
厚生労働省「未払賃金立替払制度の概要と実績」
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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