更新日: 2022.02.02 その他暮らし
教育訓練給付金って? どんな人が対象?
キャリアアップを目指し、その結果収入を増やすことにもつながる教育訓練給付制度の利用を検討する方も増えています。教育訓練給付金制度は、働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されるものです。
転職を考えている人や収入を増やしたい人は、この制度を活用してより充実した社会生活を送ることができるかもしれません。
執筆者:高畑智子(たかばたけ ともこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者
教育訓練の種類
教育給付金の対象となる教育訓練は、現在、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類に分類されています。
「専門実践教育訓練」は、特に労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象となり、受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6ヶ月ごとに支給されます。
資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給されます(※1)。
「特定一般教育訓練」は特に労働者の速やかな再就職、および早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象となり、受講費用の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給されます。
「一般教育訓練」はその他の雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練が対象となり、受講費用の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給されます。
給付対象
受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6ヶ月ごとに支給される「専門実践教育訓練」は「医療・社会福祉・保健衛生関係の資格や講座」や「その他、大学・専門学校等の講座」で利用できる制度です。
「医療・社会福祉・保健衛生関係の資格や講座」
看護師、准看護師、助産師、保健師、介護福祉士(実務者養成研修含む)、美容師、理容師、保育士、栄養士、歯科衛生士、歯科技工士、社会福祉士などです。
「その他、大学・専門学校等の講座」
職業実践専門課程(商業実務、文化、工業、衛生、動物、 情報、デザイン、自動車整備、土木・建築、スポーツ、旅行、服飾・家政、 医療、経理・簿記、電気・電子、ビジネス、社会福祉、農業など)、専門職学位課程(ビジネス・MOT、教職大学院、法科大学院など)、職業実践力育成プログラム(保健、社会科学、工学・工業など)が挙げられます。
受講費用の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給される「特定一般教育訓練」は、「輸送・機械運転関係の資格や講座」や「医療・社会福祉・保健衛生関係の資格や講座」、「専門的サービス関係の資格や講座」が多く設定されています。
「輸送・機械運転関係の資格や講座」
大型自動車第一種・第二種免許、中型自動車第一種・第二種免許、大型特殊自動車免許、準中型自動車第一種免許、普通自動車第二種免許、けん引免許などです。
「医療・社会福祉・保健衛生関係の資格や講座」
介護職員初任者研修、介護支援専門員実務研修等、特定行為研修、喀痰(かくたん)吸引等研修、福祉用具専門相談員、登録販売者試験が挙げられます。
「専門的サービス関係の資格や講座」
社会保険労務士、税理士、行政書士、司法書士、弁理士、通関士、ファイナンシャルプランニング技能検定が挙げられます。受講費用の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給される「一般教育訓練」は「事務関係の資格や講座」、「情報関係の資格や講座」が多く設定されています。
「事務関係の資格や講座」
実用英語技能検定、TOEIC、TOEFL、中国語検定試験、日本語教育能力検定試験、建設業経理検定、簿記検定試験(日商簿記)などです。
「情報関係の資格や講座」
Webクリエイター能力認定試験、Microsoft Office Specialist2010、2013、2016、CAD利用技術者試験、建築CAD検定、Photoshopクリエイター能力認定試験などが挙げられます。
詳細につきましては、下記の図で確認ください。
(出典:厚生労働省「教育訓練給付制度」(※2))
以上のように、非常に幅広い分野で給付金が設定されています。
まとめ
上記のように、補助率に差があります。これは、政府が力を入れたい分野に高い補助率を設定することにより、求められる人材を育成しようとしているのです。今回記載した給付対象は一部ですので、厚生労働省のホームページ(※2)を見て、興味のある分野で目標とする資格を探していただければと思います。
注意いただきたいのは、この給付金を活用できる人は、雇用保険の被保険者の期間が3年であるなど条件があります。条件によっては1年の場合もありますので、自分が対象となるか厚生労働省のホームページやハローワークなどで確認をしてください。
また、上記に記載されている資格取得については、事前に登録をしている学校でなければ給付されないことにも注意が必要です。目指す資格取得を決めるとともに、学校選びも事前に行っていただければと思います。
(※1)失業状態にある方が初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する場合、受講開始時に45歳未満であるなど一定の要件を満たせば、別途、教育訓練支援給付金が支給されます。
(※2)厚生労働省「教育訓練給付制度」
執筆者:高畑智子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者