更新日: 2022.02.02 子育て
都内私立大学で奨学金をもらっている学生の割合はどのくらい?
奨学金について、どのようにすればもらえるのかが分からない人もいますし、どのような仕組みになっているのか、よく分からないという人もいます。
一方、私立大学は国公立大学に比べて学費がかさむため、奨学金を利用する学生は多い傾向にあります。
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
大学の学費は世帯年収の3割を占め家計の負担になっている
東京地区私立大学教職員組合連合の2020年度の私立大学新入生の家計負担調査によれば(調査の対象となった大学は、東京6校、神奈川、千葉、埼玉、各1校)、入学初年度にかかる費用は、自宅外通学者の場合、約295.5万円でした。この金額は前年に比べて4 万2200 円(-1.4%)減少しているものの、家計に占める割合は税込年収の31.9%におよびます。
学費などの不足分をカバーするためには、資産運用や学費保険を利用する方法がありますが、それだけでは足りないことも考えられます。そのようなときには、教育ローンを組む、奨学金をもらうなどして、乗り切ることも必要になるかもしれません。
奨学金は6割の人が希望している
日本学生支援機構が2020年に行った「平成30年度学生生活調査」によると、日本学生支援機構などの奨学金を「希望する」は全体で 56.9%であり、そのうち、実際に奨学金を「申請した」は 56.7%でした。
住居別では、自宅外通学者で奨学金を「希望する」は全体で 66.9%であり、そのうち、実際に奨学金を「申請した」は 65.1%。自宅通学者で奨学金を「希望する」は全体で52.3%であり、そのうち、実際に奨学金を「申請した」は 51.8%という結果になっています。
このデータは全国の大学が対象となっていますが、自宅通学者に比べて費用がかさむ、自宅外通学者の割合が多いのは、納得の結果なのではないでしょうか。
また、日本学生支援機構や大学などの奨学金をもらっている大学生などの割合では、私立大学生の割合が48.0%であるのに対し、私立短大生では55.1%であることが分かりました。一般的に学習期間が長い大学のほうが利用者は多いイメージがあると思うのですが、実情は違うようです。
ここで気になるのが、「なぜ奨学金を希望するにも関わらず、申請しなかったのか?」ということではないでしょうか?
最も多い理由は、申請基準にあわない53.3%、次いで返済義務がある22.2%、制度をよく知らない11.8%、その他8.5%、手続きが面倒4.2%です。
奨学金を受けるためには所得制限がありますし、成績なども影響します。つまり、お金が足りなくなりそうだから奨学金を受けたいと思ったとしても、あらかじめ計画しておかなければ、奨学金は受けにくいことが考えられます。
また、22.2%もの人が、返済義務があるために申請しないと決断しています。奨学金は借金でもあるため、働く前から借金を背負うことに負担に感じるのは、ある意味、当たり前のことであり、健全な感覚であるといえます。
給付型の奨学金なら返済不要
奨学金の中には返済義務がある貸与型(無利息型と有利子型あり)と返済義務のない給付型の2種類があります。当然のことながら、返済義務のない給付型に人気が集中します。
日本学生支援機構の奨学金が一般的に思い浮かぶと思いますが、その他にも大学独自で給付型の奨学金制度を設けている大学はいくつかあります。
たとえば亜細亜大学の場合、特待生となったときには、入学金・授業料が免除されます。その金額は経営学部:99万円、経済学部:99万円、法学部:99万円、国際関係学部:103万円、都市創造学部:103万円です(いずれも新入生の場合)。
その他にも、家計支持者の死亡等により家計が急変し学業の継続が困難な成績優秀者に対して、年額30万円以内を支給。この他にも家計困窮度に応じて授業料の全額または一部を免除する制度が整っています。
また、学習院大学では1都3県以外の入学希望者で学業成績および人物ともに優秀で、経済的支援が必要な学生を対象にして、初年度のみ100万円の給付型の奨学金があります。
ここで掲げている大学は一例に過ぎません。経済的に進学が困難なときには、奨学金の有無を確認してから進学校を選ぶのも、ひとつの方法といえるでしょう。
もちろん、教育ローンを組んで進学しても良いのですが、奨学金を受けられるチャンスがあることを知り、社会を生き抜く知恵を備えることも、今の時代に必要なスキルなのかもしれませんね。
(出典)
東京地区私立大学教職員組合連合 ホームページ
日本学生支援機構 ホームページ
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト