更新日: 2022.02.02 子育て

4月から変わる18歳成人、どんなことに気を付ければよい?

執筆者 : 黒澤佳子

4月から変わる18歳成人、どんなことに気を付ければよい?
いよいよ2022年4月1日より、成人年齢が18歳に引き下げられます。
 
高校生でも18歳になった人は「成人」として扱われ、親の同意なしに自己の責任のもとで、さまざまな契約ができるようになります。
 
これまでは、未成年者契約の取消権により、親の同意なしに行った契約は原則取り消すことが可能でした。これにより、詐欺をする側も18歳・19歳を狙いにくく、守られていたというわけです。若者の詐欺被害は20~25歳が多かったのも、この未成年者契約の取消権で18歳・19歳が守られていたからといえるでしょう。
 
「18歳成人」になると、どんな点に注意しなければいけないのでしょうか。本人の目線、親の目線で考えてみましょう。
黒澤佳子

執筆者:黒澤佳子(くろさわよしこ)

CFP(R)認定者、中小企業診断士

アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
自身の子育て経験を踏まえて、明日の子どもたちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性の起業,事業承継を中心に経営サポートを行い、大学では経営学や消費生活論の講義を担当している。

https://www.atharmony-office.jp/

本人の目線:「自由」には「責任」が伴うことを忘れないで

「18歳成人」となると、親の同意なしに、携帯電話の契約や部屋の賃貸契約ができるようになったり、クレジットカードが作れたりローンが組めるようになります。有効期限が10年のパスポートが取得できますし、親権も18歳で消滅しますので、自分の住む場所や進学・就職などが自分の意思で決定できます。
 
男性は18歳以上、女性は16歳以上とされていた婚姻は、どちらも18歳以上となり、それに伴い、未成年の婚姻時に必要であった親の同意は不要となります。非常に「自由」に感じますが、これは「成人」に責任遂行能力があるとみなされるからです。
 
注意したいのは、クレジットカードやローンなど支払い能力が必要な契約です。事業者側からすると、債務遂行されないと困るわけですので、本人の支払い能力を確認し、支払い能力が不足すると判断すれば、契約自体をしないのですが、収入がなく支払い能力がないにもかかわらず、契約ができてしまった場合には、多大な債務をかかえてしまうかもしれないのです。
 
携帯電話も本体や使用料の支払いがありますし、部屋を借りるのも家賃の支払いがあります。支払いができなければ、即契約解除となるでしょう。契約自体は自己責任のもとで可能でも、その後の債務履行を誰がすることになるのか、結局親がお金を出すのであれば、親の同意が不要といっても、親の承諾をもらうのは当然のことです。
 
成人したら行為能力者とみなされますので、自ら行った契約は自己責任の原則により、親や兄弟等の近親者が債務を負担することはありません。「もしものときは親が助けてくれる」などと思わないことです。自分で責任をとるのが「成人」だという自覚が必要で、とれない責任は負わないことが大原則です。
 

狙われる若者! 詐欺被害が急増するリスクがある

18歳でこのような契約や細かい法律の話がわかるのでしょうか。大人でも難しい話ですので、これを理解できる18歳は多くはないかもしれません。もちろん18歳成人に伴い、高校での金融経済教育が進められつつありますが、学習効果が出るには時間がかかるものなので、まだ十分でないのが現状です。
 
もともと若者を狙う詐欺の多くは、判断能力の欠如、交渉力や問題解決能力に乏しい部分をついてきますので、悪質な業者は、社会経験に乏しく、保護がなくなったばかりの成年を狙い打ちにする可能性があります。
 
教育が予防的措置だとすると、相談は発見的措置といえます。状況を把握し、改善策を与えてあげることができるので、諦めず怖がらず相談するようにしてほしいと思います。
 
相談は窓口や電話相談「188(イヤヤ/消費者ホットライン)」だけでなく、最近ではSNSを活用した相談が検討・試行されています。また、被害事例集もネットで紹介されており、自分は被害にあっているのかわからないという人も、似た事例を探すことで被害を認識し、対処方法を知ることができます。
 
「親や学校に知られたくない」という思いも若者の被害が拡大する要因ですので、まずは相談をしてほしいと思います。
 

親の目線:トラブルに巻き込まれないように見守るには?

最近では多くの高校生が自分のスマホを持ち、連絡はすべてSNS上で行うなど、親が子どもの交友関係を把握しきれない状況です。わが子がトラブルにあっていることに保護者が気づかず、発覚したときは大変なことになっている例が少なくありません。
 
若者の消費者トラブルは、学生特有の交友関係の中で起こることが多くあります。友だちから誘われたり先輩に勧められたりすると断れないという中で、被害が拡大する傾向にあります。
 
また、被害者になるだけでなく、知らず知らずに加害者側になっていることもありますので、注意が必要です。若者を狙う詐欺は、前途ある若者の人生を狂わせてしまうかもしれない重大犯罪なのです。
 
子どもが被害にあっているかどうかを大人から見極めるのは至難の業ですが、日々のコミュニケーションの中でいかに気づけるかが重要です。といっても、年頃の子どもとの双方向のコミュニケーションは難しいので、大人も最近どんな被害が多いのか、ニュースを気にかけておき、「最近こんなことがあったらしいよ」と話すきっかけをつくるとよいでしょう。
 
嫌がっているようでも、もし近しいことが身近にあれば、ひそかに耳を傾けていると思います。
 
執筆者:黒澤佳子
CFP(R)認定者、中小企業診断士

【PR】子どもの教育費はいくらかかるの?かんたん30秒でシミュレーション

ライターさん募集