更新日: 2022.02.04 子育て

困窮家庭とそれ以外の家庭でこんなに変わる、見過ごせない「子育て格差」とは? 政府の支援策もおさらい

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

困窮家庭とそれ以外の家庭でこんなに変わる、見過ごせない「子育て格差」とは? 政府の支援策もおさらい
世界的に厳しい経済情勢が続いています。ここ数年で貧富の差が明確になったという話も聞こえてきます。
 
経済的に余裕がある家庭とない家庭では、子どもが体験できる機会も大きく変わってくるようです。
 
NPO法人チャリティーサンタが発表した、「コロナ禍における、子どもの体験についての調査」の結果(※1)をひもといてみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

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困窮家庭で家族旅行に行けたのはたったの5%。子どもの体験格差とは

この調査は、2994世帯の子育て家庭に対して行われたものです。そのうち、「困窮する子育て家庭」は2118世帯、「それ以外の子育て家庭(一般家庭)」は876世帯でした。
 
子どもの体験を通じ、両者の格差が明らかになったようです。
 

【家族での過ごし方について、この1年間で行ったもの(複数回答)】

<困窮家庭>

1位:誕生日のお祝いする 80.0%
2位:公園で遊ぶ 71.9%
3位:クリスマスのプレゼントをあげる 44.6%
4位:ショッピングセンターに遊びに行く 37.8%
5位:博物館・科学館・動物園などに行く 21.4%

<一般家庭>

1位:誕生日のお祝いする 94.6%
2位:公園で遊ぶ 88.9%
3位:クリスマスのプレゼントをあげる 82.8%
4位:ショッピングセンターに遊びに行く 70.7%
5位:月1回以上の頻度で外食をする 60.1%

ランキングの内容はほぼ同じですが、その割合は大きく違うことがわかります。TOP5を見ただけでも、困窮家庭の子どもの体験の少なさが一目瞭然です。
 
また、困窮家庭と一般家庭の格差が大きい項目の上位3つは以下のとおり。

1位:月1回以上の頻度で外食をする 差:46.7ポイント
2位:家族旅行に行く 差:46.4ポイント
3位:クリスマスのプレゼントをあげる 差:38.2ポイント

「家族旅行に行く」の項目では、引き続きコロナ禍であった2021年でも、一般家庭の51.4%が家族旅行に行っているのに対し、困窮家庭ではわずか5.0%でした。
 
この10倍の差を考えると、経済事情がいかに子どもの体験に関わってくるかが伝わります。
 

体験できなかったことにも大きな差が

逆に、体験できなかったことにはどのようなものがあったのでしょうか。
 

【新型コロナ以降、家庭の中で足りなかったこと(用意・利用ができなかった)(複数回答)】

<困窮家庭>

1位:キャンプなどの屋外体験 60.8%
2位:家庭内でのアクティビティの準備※ 56.0%
3位:新しいおもちゃの購入 52.5%
4位:イベントへの参加 44.7%
5位:新しい書籍の購入 42.0%

<一般家庭>

1位:イベントへの参加 35.3%
2位:キャンプなどの屋外体験 33.5%
3位:特に足りなかったことはない 28.2%
4位:支援団体や地域団体の提供サービス 27.0%
5位:家庭内でのアクティビティの準備※ 25.3%

※おうちキャンプ、家庭用プールなど
 
こちらは困窮家庭のほうが全体的に数値が高いことがわかります。困窮家庭においては、半数以上が「新しいおもちゃの購入」ができず、4割以上が「新しい書籍の購入」もできていないという状況。
 
一般家庭ではおよそ3割が「特に足りなかったことはない」と回答していることを考えると、この違いは見過ごせない問題といえるでしょう。
 
家庭での体験の調査を通じ、困窮家庭と一般家庭の経済的な差が明らかになりました。
 

生活を支えるための国の支援

困窮家庭のこのような問題を解消するひとつの手段が、国の支援です。(※2)
 

【低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金】

低所得の子育て世帯に対し、児童一人当たり一律5万円の支援を行うもの。
 
2021年4月分の児童扶養手当受給者(ひとり親世帯)と、2021年4月分の児童手当または特別児童扶養手当の受給者で、2021年度分の住民税均等割が非課税である低所得の子育て世帯については、申請不要で支給されています。
 
上記の条件以外の場合でも、申請すれば支給の対象になることもあり、こちらの申請は2022年2月末(自治体により異なる場合アリ)と迫っていますので、気になる方はお住まいの自治体まで早めの問い合わせをおすすめします。
 

【償還免除付のひとり親家庭住宅支援資金貸付】

児童扶養手当の支給を受けているか、同等の所得水準にある方、かつ、母子・父子自立支援プログラムの策定を受け、自立に向け意欲的に取り組む方が対象。
 
住居の借り上げに必要となる資金について、償還免除付の無利子貸付が行われます。貸付額は、月上限4万円×12ヶ月です。
 
詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
 

【生活困窮者自立支援制度】

生活困窮世帯の子どもの学習・生活支援はもちろん、家計改善支援や住居確保給付金の支給など、さまざまな支援が受けられます。
 
お困りごとがある際は、お住まいの自治体にお問い合わせください。
 
2022年も、世界的な情勢はまだ厳しいものが予想されます。子育て世帯の格差を少しでも縮めるような支援策が増えることに期待したいものです。
 
出典
※1 NPO法人チャリティーサンタ「コロナ禍における、子どもの体験についての調査」
※2 厚生労働省リーフレット「生活を支えるための支援のご案内」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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