更新日: 2022.02.08 その他暮らし

2022年に変わること。主な制度改正とそのポイントまとめ

2022年に変わること。主な制度改正とそのポイントまとめ
2022年にも、いくつかの大きな制度改正が予定されています。
 
その特徴をまとめると、「少子高齢化や労働力人口減少への対応」「長寿命化社会を踏まえた社会保障制度や税制の整備」といったところでしょうか。つまり、現状を踏まえ、将来にも大きな影響を及ぼす環境整備のための制度改正といえるかもしれません。
 
ここでは、2022年に予定される主な制度改正についてポイントを確認してみたいと思います。
 
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

成年年齢が18歳に(2022年4月)

民法改正により、これまで20歳とされてきた日本の成年年齢が18歳に引き下げられます。
 
選挙権年齢はすでに18歳となっていますが、飲酒や喫煙、公営ギャンブルの投票券の購入などは、これまでどおり20歳からとなります。
 
また、女性の婚姻年齢(結婚可能年齢)が16歳から18歳に引き上げられ、男女の区別なく18歳に統一されることになります。これにより、未成年者が婚姻によって成年と見なされる「成年擬制」や、未成年者の婚姻についての「父母の同意」の規定は削除されています。
 
世界的には18歳を成年年齢とする国が主流となっていますが、法定代理人(親)の同意なしにローンの契約やクレジットカード作成などの契約行為ができるようになるため、さまざまなトラブルの発生には十分に注意する必要があるでしょう。
 

年金の繰下げ受給の年齢が75歳までに(2022年4月)

年金制度改正法により、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給開始年齢を60歳から75歳までの間で選択できるようになります。
 
実質的には、これまでの繰下げ受給の上限年齢である70歳を75歳まで5年間引き上げることになりますが、これに伴い、繰上げ受給による1ヶ月当たりの減額率が0.5%から0.4%に縮減されます。なお、繰下げ受給による1ヶ月当たりの増額率は0.7%で変わりません。
 
最大75歳まで繰り下げると、65歳で受給を開始した場合と比較して、84%増の年金受給額となります。健康でお金に余裕のある高齢者の方は、年金の受給開始年齢を繰り下げることが主流となっていくのでしょうか。
 
年金については、このほかにも在職老齢年金の見直しや在職定時改定の新設などが予定されています。
 

iDeCoの加入可能年齢が一部で65歳未満に(2022年5月)

現在、個人型確定拠出年金(iDeCo)には60歳未満の国民年金被保険者が加入することができますが、2022年5月からは、60歳以降も国民年金に加入する任意加入被保険者と第2号被保険者を対象として、65歳未満まで加入が可能となります。
 
ただし、第1号被保険者と第3号被保険者は原則、これまでどおりの60歳までしか加入できません。前述の年金受給開始年齢の拡大などの流れもあり、60歳以降も働く方に対して、加入の幅を広げる措置となります。
 
ほかにも、企業型確定拠出年金(企業型DC)については加入年齢が現行の65歳から70歳に拡大されます。
 

従業員100人超で健康保険・厚生年金の加入義務(2022年10月)

現在、アルバイトやパートなどの短時間労働者の方に対し、健康保険・厚生年金保険の加入が義務付けられているのは、従業員501人以上規模の企業となっています。
 
この従業員数が2022年10月に101人以上、2024年10月に51人以上と、段階的に拡大されていきます。
 
昨今は夫婦共働きが当たり前となっていますが、これまで一方の配偶者の扶養に入っていた場合などでは、2022年10月から自身で健康保険・厚生年金への加入が必要となるケースが増えることが考えられます。
 

後期高齢者で医療費が2割負担となる人も(2022年10月)

現状の後期高齢者(75歳以上)の医療費については、原則として窓口負担の割合が1割、現役並みの所得がある方のみ3割となっています。
 
2022年10月以降は、1割負担の方のうち、所得が28万円以上、かつ単身世帯で年収200万円以上の方などが2割負担となります。これにより、約20%の方が1割負担から2割負担の対象者に変更となることが想定されています。
 
2022年以降は、いわゆる「団塊の世代」が後期高齢者となることにより、その人数や支援金の増加が懸念されています。そのため、後期高齢者にも一部負担の増加をお願いする形となります。
 

まとめ

今回紹介したほかにも、2022年中にさまざまな制度改正が予定されています。
 
いずれにしろ、2022年の制度改正の多くは、現状で日本が抱えている課題を踏まえ、将来にわたって発展していける道筋を作ることに主眼が置かれているように思います。
 
ただ、平易に表現すれば、「老若男女、元気なうちはできる限り働いて、お金を稼ぎなさい!」ということなのかもしれません。
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
 

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