更新日: 2022.02.09 子育て

コロナ禍で学生の退学や休学が増加。今からでも受けられる学生の経済支援制度はどのようなものがある?

執筆者 : 柘植輝

コロナ禍で学生の退学や休学が増加。今からでも受けられる学生の経済支援制度はどのようなものがある?
文部科学省の調査によると、令和3年度4~8月で大学などを中退、または令和3年8月末時点で休学している学生のうち、経済的困窮を理由とする方の割合が最も多くなっています。
 
特にコロナ禍以降、親や自身の収入が減少したことで、退学や休学を選択する学生の方も増えていると思いますが、ここでは今からでも受けられる経済支援策について、その一部を紹介します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

日本学生支援機構の貸与奨学金

日本学生支援機構の貸与奨学金(無利子・有利子)は、学生の2.7人に1人が利用している奨学金です。
 
世帯の収入と学生の通学形態などによって貸与額に上限額があるものの、必要な学費を無利子(第一種奨学金)、または上限を3%とした有利子(第二種奨学金)で借りることができます。
 
基本的に貸与奨学金は年1回の募集となっているのですが、被災・家計急変時の緊急(第一種)・応急(第二種)採用を随時受け付けています。
 
対象となるのは、生計維持者の失職や破産、事故、病気、死亡などのほか、火災や風水害などの災害によって家計が急変した場合で、新型コロナウイルスの影響も含まれます。
 
家計急変の事由が発生してから12ヶ月以内という期限のほか、家計や学力の基準といった要件もあるため、申し込みについては在学中の学校へご確認ください。
 

高等教育の修学支援新制度

高等教育の修学支援新制度とは、令和2年4月から新しく始まった制度です。
 
世帯収入や資産要件などを満たす学生に対し、授業料や入学金の免除・減免、給付型奨学金の支給が行われており、給付金額は世帯収入や学校の分類、通学形態などによって異なります。
 
申込時期は原則として春と秋の年2回で、在学中の学校を通じて申し込みます。ただし、新型コロナウイルスの影響を受けている方の場合、随時、支援が受けられます。詳細や申し込みについては在学中の学校へご相談ください。
 

緊急特別無利子貸与型奨学金

令和4年1月末時点で、令和4年3月末までの限定的な貸し付けになりますが、日本学生支援機構の緊急特別無利子貸与型奨学金によって、第二種奨学金と同額の貸与を受けることができます。
 
この制度は本来、有利子である第二種奨学金の利子分を国が補てんしてくれるもので、新型コロナウイルスの影響を受けて収入が大幅に減少した、大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専修学校専門課程に在学中の方が対象となります。
 
申込時点で第二種奨学金を利用していない、推薦基準を満たしている、生活費・学費に占めるアルバイト収入の割合など、細かな要件が設定されているため、申し込みをする際は在学中の学校に確認しておく必要があります。
 

学生等の学びを継続するための緊急給付金

まだ申請が始まっているわけではありませんが、今後、大学や短期大学、専門学校生、高等専門学校に通っている学生のうち、新型コロナウイルスの影響で世帯収入やアルバイト収入が減少して修学の継続が困難な学生に、一律10万円を給付する「学生等の学びを継続するための緊急給付金」の受付が開始されます。
 
この給付金は、自立してアルバイトなどで学費を賄っている学生の方のうち、原則として前述の貸与奨学金(第一種奨学金)や高等教育の修学支援新制度(利用予定含む)、大学独自の奨学金などを利用している方が対象で、要件や申請内容を基に学校の判断による推薦の上、支給が決定されるようになっています。
 
申請期限など詳細については、通っている学校へお問い合わせください。
 

学校独自の支援制度

学校によっては独自の学生支援制度を設けているケースもあります。
 
例えば、九州大学では「九州大学緊急学生支援プラン」と銘打って、新型コロナウイルスの影響により保護者や本人の収入が減少し、生活に大きな影響が生じている学生に対して授業料の免除(高等教育の修学支援新制度の利用者は対象外)や、学生1人当たり3万円の給付を実施しています。
 
学校独自の支援制度については、通学している学校へご確認ください。
 

退学や休学で悩んだら、まずは経済支援策の確認を

日本学生支援機構や学校独自の制度など、コロナ禍の学生が学びを続けるための支援策を利用することで、経済的に困難な状況であっても退学や休学という選択をせずに学業を修了できる場合があります。
 
学生の方を対象とした経済支援は「生活福祉資金貸付制度(教育支援資金)」など、今回紹介した以外にもあります。
 
コロナ禍において学業の継続が難しいと感じる学生や保護者の方は、学生向けの経済支援策の確認と利用についての検討を行ってみてください。
 
出典
文部科学省 新型コロナウイルスの影響を受けた学生への支援状況等に関する調査(令和3年8月末時点)
独立行政法人日本学生支援機構 貸与奨学金(返済必要)
文部科学省 学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)
独立行政法人 日本学生支援機構 『緊急特別無利子貸与型奨学金』について
文部科学省 『学生の学びを継続するための緊急給付金』申請の手引き(学生・生徒用)
九州大学 新型コロナウイルス特設ページ 学生の皆さんへ
文部科学省 新型コロナの影響を受けた学生等の経済支援
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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