長年貯めてきた貯金箱の硬貨を預金に入金するとき、手数料が掛かるって本当?

配信日: 2022.02.14

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長年貯めてきた貯金箱の硬貨を預金に入金するとき、手数料が掛かるって本当?
スマートフォンなどの携帯端末の普及や新型コロナウイルス感染症の影響も相まって、ここ数年でキャッシュレス決済の利用率は格段に向上しました。最近では、買い物や食事に出掛ける際にも財布を持たず、スマホしか持ち歩かない人もいるようです。
 
ここでは、このごろすっかりその存在感が低くなりつつある「硬貨」について、銀行などの金融機関における取扱手数料の動向を確認してみたいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

ゆうちょ銀行でも手数料が掛かるようになりました

2022年1月17日 より、最後のとりでともいうべきゆうちょ銀行でも、一定数以上の硬貨の取り扱いについて手数料が掛かるようになりました。
 
ゆうちょ銀行(郵便局)は地域に密着した金融機関として、特にお年寄りの方にとってはお財布代わりともいうべき役割を担っていますが、同じタイミングで、郵便局内設置のATMを除く、駅、ショッピングセンター、コンビニなどに設置されているATMでの預け入れや払い戻しの手数料が一部有料となっています。
 
一定数量以上の硬貨の取扱手数料の設定については、ゆうちょ銀行に先駆け、銀行や信用金庫などの各金融機関において2020年頃から既に開始されています。
 
メガバンク3行と、ゆうちょ銀行の手数料の内訳は図表1のとおりですが、各金融機関によって無料となる枚数の上限や手数料の設定などが異なります。
 
また、「硬貨入金整理手数料」、「大量硬貨取扱手数料」など、名称もそれぞれ異なっています。
 
【図表1】


※2022年2月10日時点の情報を基に筆者作成
 

金融機関を取り巻く厳しい環境変化

前述のとおり、硬貨の取り扱いに手数料が設定された背景としては、キャッシュレス決済の普及が1つの要因と考えられますが、根本には長期化する超低金利の環境を要因とした金融機関の収益構造の悪化が挙げられると思われます。
 
昨今では、金融機関同士の合併をはじめ、支店(店舗)の合併・閉鎖や人員の整理などが積極的に進められています。
 
また、硬貨を大量に取り扱うためのコストの増大も大きな要因といえるでしょう。
 
窓口に持ち込まれた大量の硬貨の預け入れや振り込みを受け付ける場合、硬貨の枚数を種類ごとにカウントするオートキャッシャーという専用機器が使われます。持ち込まれる硬貨の中に古い硬貨や、変形・汚れなど状態がひどいものが含まれると、機器の故障にもつながります。
 
現に、ゆうちょ銀行の手数料開始の前日(2022年1月16日)には、駆け込みで大量の硬貨が持ち込まれたため、機器が故障してしまったというニュースも報道されました。
 

手数料の影響が出やすいと思われること

ゆうちょ銀行を例に考えると、仮に1円玉を100枚、窓口に預け入れのために持ち込んだ場合、100円の預け入れのために硬貨手数料が550円掛かることになります。これは極端な例かもしれませんが、実に450円の赤字となってしまいます。
 
大量の硬貨を保有するケースや、その預け入れなどを必要とする例を挙げると、以下のような場合が想定されるでしょう。
 

・硬貨を長年貯めてきた貯金箱
・神社のおさい銭
・募金箱や街頭募金で集まった募金
・商店街の小規模店舗などの売上金やつり銭
・駄菓子屋など安価で薄利な商店

など

 
ほかにも大小さまざまな影響が考えられますが、例えば、神社と地元商店街が連携して硬貨を交換する動きがあったり、一定の募金活動に対しては手数料を徴収しないなど、金融機関による取り組みもあるようです。
 

まとめ

個人的な見解ですが、ふと冷静に考えると、ATMでお金を引き出したり預け入れたりするだけで、なぜ手数料が取られるのだろうと不思議に思うことがあります。
 
その作業自体はすべて機械が行っているわけですから、一部のメンテナンスや監視などの業務を除けば、人件費はそれほど掛かっていません。
 
つまり、私たちは機械(その維持費用を含む)に対して、当たり前のように手数料を支払っているともいえるのです。
 
今後さらにAI技術などが進展し、人間が行っている業務のほとんどが機械による作業に置き換わるといわれています。そのような流れで、「機械の維持コストを人間が稼いだお金で負担する」という風潮は、ますます強まっていくのではないでしょうか。
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
 

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