もし、銀行が破たんしたらどうなる?
配信日: 2022.02.15 更新日: 2022.02.16
もし、銀行に万が一のことがあった場合、預金は、どのようになるのでしょうか?
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
銀行が破たんしたら
銀行の経営が破たんすると、最悪の場合、預金の払い戻しができなくなってしまいます。また、銀行が営業免許を取り消されてしまうと、銀行としての営業を続けることができなくなってしまいます。
預金保険
銀行が万が一経営破たんしても預金を守ることができるように、預金保険という制度があります。預金保険は銀行にお金を預けている人が加入するのではなく、銀行が加入する制度です。預金保険は保険会社ではなく、預金保険機構が運営しています。
預金保険が守ってくれるのは?
預金保険機構は、破たんした銀行の預金のすべてを守ってくれるのかというと、実は違います。以下の3つに大別されます。
■決済用の預金は全額守ってもらえる
決済用の預金なら、預けた金額に関わらず、預金保険が守ってくれます。決済用の預金とは、(1)決済サービスを提供できること、(2)預金者が払い戻しをいつでも請求できること、(3)利息がつかないこと、の3点を満たす預金のことで、具体的には当座預金や無利息の普通預金のことです。
■普通預金や定期預金、貯蓄預金は元本1000万円+その利息まで
普通預金や定期預金、貯蓄預金の場合には、元本1000万円+その利息までが、預金保険によって守ってもらえる金額です。しかし、1000万円を超える元本とその利息が「戻ってこない」ということではありません。
例えば、平成22年に経営破たんした日本振興銀行の定期預金は、当時としては高利率のものもありました。元本が1000万円でしたら、高利率は預金保険に守られたのでしょうか? 日本振興銀行の経営破たんの後、その業務は第二日本承継銀行に引き継がれました。
破たんした日本振興銀行の定期預金の満期日が引き継ぎ日前でしたら、高利率が維持され、預金保険機構に守られました。しかし満期日が、第二日本承継銀行に引き継がれた後ですと、引き継ぎ日以後、利率がカットされました。
また、満期日に関わらず、満期日前の中途解約の場合は、中途解約利率で計算されたました。
■預金保険の対象にならない預金は?
預金保険の対象にならない預金は、先述の普通預金や定期預金、貯蓄預金のうち、1000万円を超える部分と、外貨預金等が代表的です。これらは預金保険の対象外です。だからといって、銀行の経営破たん後、まったくゼロになるかというとそうではありません。経営破たんした銀行の財産に応じて、払い戻しがなされます。
まとめに代えて
近年銀行破たんはありませんが、コロナ禍ゆえに、いつ何が起きても不思議ではありません。万が一銀行が破たんした場合の対応を、念のため確認しておきましょう。
また、銀行が経営破たんしても、預金の払い戻しは「早い者勝ち」ではありません。平等に対応をしてくれますので、万が一の事態でも冷静に行動しましょう。
出典
預金保険機構 ホームページ
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役