「18歳成人」で可能になるクレジットカード、こんなことに注意して!
配信日: 2022.03.04
「大人として扱ってもらえる」「親に内緒で自由にできる」などワクワクする若者たちもいらっしゃるかと思いますが、なかでも、「自分名義のクレジットカードがあると、ネットショッピングが楽」など身近に感じるメリットに目を向けているかもしれません。
これまでは、高校生がクレジットカードを作ることは原則できませんでした。高校生がクレジットカードを持つには、親に家族カードを作ってもらうなどの手段しかなかったのですが、4月1日以降、法的には18歳で、親の同意なしにクレジットカードが作れるようになります。
しかし、メリットがある一方で、何かあったらすべては自己責任です。注意しなければいけないことを知っておきましょう。
執筆者:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士
アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
自身の子育て経験を踏まえて、明日の子どもたちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性の起業,事業承継を中心に経営サポートを行い、大学では経営学や消費生活論の講義を担当している。
注意その1:クレジットカードには審査がある
そもそもなぜ高校生はクレジットカードが作れなかったかというと、クレジットカードは「借金」だからです。
クレジットカードで買い物をすると、クレジットカード会社がその代金を払ってくれています。そして後日クレジットカード会社から代金の請求があり、それを支払うまでの間は、クレジットカード会社からお金を借りていることになるのです。
お金が借りられるのは、お金を返す能力があると認められているから。返す能力のない人=収入のない人に、お金を貸す人はいない、ということ。つまり、クレジットカードを作るには、お金を返す能力があるかどうかの審査に通る必要があります。
「自分で契約できる」といっても、学生の場合は、基本的に収入がないため、通常申し込みの際には、バイト収入だけでなく、親の年収等を記入します。何かの際には親に連絡がいくことがありますので、クレジットカードを持つことは伝えておいたほうがよいでしょう。
また、カード利用代金の支払口座は本人名義でないと設定できませんので、自分の銀行口座が必要になります。
注意その2:クレジットカードの使い過ぎ
クレジットカードは、今、手元にお金がなくても、欲しいものを手に入れることができる手段です。それは非常に魅力的である反面、使いすぎてしまう危険性を秘めており、若者だけではなく、りっぱな大人でもつい使いすぎてしまいがちです。
クレジットカードには「利用限度額」があるのですが、中には限度額が100万円のカードもあり、その範囲内で利用していても、常に100万円の借金を抱えているのと同じです。
学生の場合は「利用限度額」が10~20万円程度に抑えられているカードもありますが、それでも20万円となると、アルバイトをいくつも掛け持ちしないと払えない金額ですね。また買い物だけでなく、キャッシング機能もあり、自分の銀行口座からATMで現金を引き出す感覚で、現金を借りることができてしまいます。
もちろんキャッシングには利息がかかりますし、分割払いやリボ払いの際にも金利分の手数料がかかっています。つまり、使った分以上の金額を支払う能力(収入)と、その資金繰り(収入と支出の時期)を管理する能力が必要なわけです。
注意その3:カード利用代金の延滞
買い物をしてクレジットカードで払った場合、翌月または翌々月にカード会社から請求があります。通常は銀行口座の自動振替なので、毎月決まった日に引き落としになるのですが、その際に口座の残高が1円でも不足していると、銀行は引き落とし処理ができず、「延滞」となります。
その延滞情報は利用履歴の中に記録され、クレジットカードの利用が止められるだけでなく、延滞が繰り返されると、別のカードを作る際に審査に通らなくなります。
将来的に車や家のローンが組めなくなることもありますので、延滞はしないように気を付けましょう。
注意その4:詐欺に狙われやすくなるかも?!
クレジットカードが持てるということは、ローンの審査も通るかもしれません。法的には、ローンの契約も18歳以上で可能になります。そこを狙って近づく悪徳業者や詐欺などに十分注意しましょう。
これまでは「未成年者取消権」があり、守られていた18歳・19歳が、成人として扱われることで、あくどい商売の標的になりやすいことが懸念されます。「未成年者取消権」は、未成年者が親の同意なしに行った契約は、原則取り消すことが可能、というものです。
これまでは、未成年者をうまくだまして高額な契約を結んだとしても、「未成年者取消権」により取り消されてしまうかもしれないので、詐欺は容易に近づこうとはしなかったかもしれません。しかし、今後は違います。詐欺がだまそうと狙うのは、お金持ちのお年寄りだけでなく、まだよく社会を知らない、しかしローンが組めるようになった若者も対象なのです。
「お金返す能力のない=収入のない人に、お金を貸す人はいない」はずなのに、お金を貸してくれる人は、親切などではなく、お金を返してもらうために何でもさせる人なのかもしれません。「絶対儲かる話」はありません!注意しましょう。
執筆者:黒澤佳子
CFP(R)認定者、中小企業診断士